気にかけて声をかけ続ける…
品川区の社会福祉協議会の「ヤングケアラーをとりまく環境と社協に求められること」をテーマにした研修でお話させていただきました。
品川区とはご縁があり今回も品川区の子ども家庭支援センターでヤングケアラーコーディネーターを務めている当事者のひとりでもある小林鮎奈さんと
数年前から区内の小中一貫校や区民や専門職を対象にした講演や研修会を企画してくれている社会福祉法人品川総合福祉センター"しなふく"の齊藤恵里さんとご一緒しました
小林さんは品川区が実施した実態調査から聞こえる子供達の声を紹介してくれました。多様な感情と向き合っている小学生、子供であることの喪失や無自覚な負担を負っている中学生
将来への不安と心身の影響が大きい高校生というように、年齢によりケアの受け止め方や抱えている悩みや課題は違ってきます。特に18歳以上のケアラーは責任や負担が大きくなります。
まさに我が家は母が倒れた時、私は高校3年で進学のタイミングに重なりましたし、逃げ出すことも出来ずに、全てを背負うことになりました。
「どんな状態でも家に帰ってきてくれたことが嬉しい」と幼かった小学生の妹が障害を負った母を1番自然に受け入れられていました。私はそんな妹が羨ましく、そして彼女に救われました…。
また「子供らしく過ごす」ことが難しかったのは中学生だった弟です。誰にも相談せずに経済的な理由から進学を諦め就職を選択してくれました。もっともっと私に力があったら…。
家族以外で一緒に考えてくれる大人が必要という小林さんの言葉はまさにその通り。ヤングケアラーは子供時代をなんとか過ごしたとしても「勉強する時間がなかった」「進学の選択肢がない」
「忙しくて同級生とあまり遊べず人間関係が苦手」「孤立・孤独感からメンタルヘルス不調に」など、大人になってからの心理的、社会的影響が大きいということも分かっています。
ヤングケアラーに「必要なもの」として、安心できる環境、助けになる情報や将来のモデル、つながりや他者からの理解、選択できる未来を小林さんは挙げていました。
地域の大人に出来ることは「気にかけて声をかけ続けること」。誰かが「気づいてくれていた」「支えてくれた」と感じられる経験は、これからの人生を支える力になります
社会福祉法人品川総合福祉センター"しなふく"の齊藤恵里さんとは、ALS患者のIT支援をしている長年の知り合いからの紹介でご縁が繋がりました。
"しなふく"はヤングケアラーだけでなく、地域の高齢者、障害者、児童や家庭を総合的にサポートする事業をしていますが、齋藤さんが中心となりほとんどの企画を考えてくれています。
ヤングケアラーについて知ってもらう講演からスタートし、去年は「ヤングケアラーサポーター養成講座」を実施。私も講師を務めましたが、ヤングケアラーの存在に気づき繋ぐための具体的な方法を学ぶ講座です。
また地域の人の第三の居場所として〈しなふく食堂〉を開催。一人暮らしの高齢者や若いファミリーなど、大人から子供まで多世代が参加してくれたそうです。
相談を前提にはしていませんが民生委員や子ども家庭支援センターとも連携して、繋がりを作る機会にしていきたいと齋藤さん。今年は〈しなふく食堂〉を定期的に開催しています。
「ヤングケアラーサポーター養成講座」はぜひ各自治体で取り入れて欲しいと思いますし、まだ少ないですが実施している団体もありますので足を運んでみてください。
ヤングケアラーについて知りたいという方ぜひ連絡下さい全国どこでも駆けつけます
まずはひとりひとりに出来ることから、一歩を踏み出していただけたらと思います。しなふく"の活動報告はこちらを参考にして下さい☞
https://tokyo-koueki.jp/torikumi/torikumi-403/
SARA'S GARDEN もりのひろば♪
雑誌で対談させていただいたのをきっかけにご縁が繋がったソーシャルワーカーの加藤雅江さんが素敵な居場所をオープンしました🏠
井の頭公園の池のほとりに建つ落ち着いた佇まいの一軒家で名前は「SARA'S GARDEN もりのひろば」。
自然豊かな井の頭の森の本当に目の前で、デッキでのんびりするのも良し、地下室もある広々とした室内は子供だったら絶対にかくれんぼをしたくなるお家です。
実際に男の子がずっと駆け回ってましたビールを飲んでなかったら本気で追いかけたのですが…。次回は一緒に真剣に遊びたいと思います
子供が子供らしく過ごせて、子育て中のママパパがホッと一息つけて、そしてそんな親子を応援したいと思っている人達が、ゆるく繋がっていく広場にしたいと加藤さん
ここに集う人達と一緒に創っていく「SARA'S GARDEN もりのひろば」8月はおやこひろばを平日にお試しでオープンさせるそうです散歩がてらふらっと立ち寄ってみてください☞
初めてのことを始めよう!
〈人生100年時代の幸せな生き方~"幸福寿命"を延ばすために私たちができること~〉オンライン座談会無事に終了しました

座談会では高齢者施設で2020年からサントリーウェルネスがスタートさせた「Beサポーターズ!」という施設のみんなで地元のJリーグチームを応援することで
心と身体を動かす参加型プロジェクトを事例として取り上げました。現在、全国230施設、のべ1万人が参加しているそうです。詳細はこちら☞
https://www.suntory-kenko.com/besupporters/
1番身近で利用者に接しているケアリーダーの稲田麻里さんがBeサポに参加したみなさんの変化を報告してくれました。
笑顔も少なくコミュニケーションも取れない状況だった女性が、Beサポに参加したことで笑顔が増えただけでなく人間関係も改善したり
車椅子に座っても正しい姿勢が取れずリハビリにも消極的だった女性は、選手を応援することで意欲が向上し、無理に動かさなくても両手が上がるように。
さらに認知症の症状もあり日中はほとんど部屋で寝ていた107歳の女性は、推しの選手を見つけ、さらに母国語で応援したいとポルトガル語の勉強を始めたそうです。
サッカーのルールなんて分からないから楽しめないと決め付けず、高齢でも認知症でも新しいことも覚えられるし、挑戦ができるということをBeサポは証明しています。
日々の業務で忙しい中でBeサポの活動を始めるのはハードルがあったのではと思いますが、利用者さんのポジティブな変化は嬉しい驚きであり、稲田さんは「一歩を踏み出して良かった」と言っていました。
推しのチームにエールを送り、推しの選手の活躍に心躍らせる。私も舞台が大好きで推しがいますが、〈好き〉なヒトやモノやコトがあると、幾つになっても心ときめかせることが出来ます。
一緒に応援することで一体感も生まれ、より繋がりが強まっているのも伝わってきましたし、利用者だけでなく職員も笑顔になっているのも印象的で「幸せは伝播する」と感じました。
認知症の専門医で「早合点認知症」の著者でもある内田直樹先生が、こんな事例を挙げてくれました。高齢者に「どんなロボットが欲しいか」と聞いたところ
「失敗するロボットが良い」との答えが返ってきたそうです。普段は周りに迷惑をかけてばかりだから、失敗するロボットなら自分が世話を焼くことができるから。
支えられる側からJリーグのチームを支える側になるBeサポの活動は、誰かの役に立ちたいと思っている高齢者の願いを叶えているのです。
〈幸福寿命〉を伸ばすために大切なのは、自分で決めることが出来ることと内田先生は言っていましたが、Beサポはみなさんが自ら進んで参加しているのもポイント。
在宅医療に取り組む悠翔会の佐々木淳先生は、「何かあったらどうするのか」という周囲の心配が高齢者の暮らしや生き甲斐を奪ってしまっている現状があると指摘。
医師はどうしても病気を中心に診てしまいますが、在宅の目的は病気を治すことではなく、その人らしく生き切ることを支えること。何を幸せと感じるかはひとりひとり違っていると佐々木先生。
その幸せを支えるためには医療や介護の多職種連携も大事ではありますが、Beサポの企業やJリーグ、ゆめ旅の学生のボランティアなど、関係人口を増やしていくこともこれからは必要です。
人手も足りないし忙しいから…高齢だから認知症だから…という理由で勝手に周囲が諦めてしまうことで、当事者から可能性や幸せを奪っていないでしょうか。
座談会ではテルコさんのエピソードが共有されましたが、地元神戸の推しの選手が850キロも離れた鹿児島に移籍することに…。実は鹿児島はテルコさんの故郷でもありました。
推しの選手から「待ってます」というメッセージをもらったテルコさんの冒険を実現するために介護職も奮闘し、なんと鹿児島のサポーターも応援してくれました。
帰れないと思っていた故郷に再び戻れたテルコさんの目には涙が。そして鹿児島のサポーターが出迎えてくれて推しの選手にも会うことが出来ました。
ウェルビーイング専門メディア「Wellulu」編集長の堂上研さんは「初めてのことを始めること」それがウェルビーイングの第一歩だと言っていました。
人生100年時代をどう生きるか。例えば人生を50年で区切ると考えれば、50歳になったらゼロからのスタートと捉えることが出来るのではと堂上さん。
まず行動することが大切で、動くことで〈気づき〉と〈運〉を運ぶことが出来るとも。テルコさんの推しの選手も「奥深い経験で、お互いにパワーを与え合えた」と言っていました。
重度障害に末期がんという過酷な状況でも笑顔で「感謝だわ」と言葉に出来た母。母の笑顔と存在自体に私達家族は救われ、励まされ、勇気づけられていました。
幸せは身近にありとてもささやかなもの。貴方の〈幸せ〉は何ですか…。私もまだ模索中ではありますが、母のように周りを笑顔に出来る存在になれたらなと思います