
鳥居を抱く瀬戸の海…
〈思い立ったら旅に出よう〜宮島・尾道吟行① 神を斎き祀る島へ〉
また吟行の季節がやってきました
中尾ミエさんに誘われて始めた俳句の会では年に1度、吟行に出かけていますが、今回は宮島から尾道を巡りました。
まず向かったのは宮島の厳島神社。前回行った時は改修中、しかも滞在時間が非常に短かったので、今回はゆっくり巡ることが出来て良かったです。
「神を斎き祀る島」という語源のように、古くから島そのものが神として信仰されていた宮島。その海上に建っている厳島神社は1996年世界遺産に登録されています。
潮の満ち引きのある場所にわざわざ建てたのは、木を切ったり土を削るなどして、神の島である"ご神体"を傷つけないため。参拝した時は引き潮でした。
厳島神社を厚く信仰した平清盛により現在の寝殿造りの海上社殿が造営されたと言われ、伝承されている舞楽も清盛によって大阪四天王寺から移されたもの。
東と西の廻廊、高舞台、火焼前、能舞台、反橋などで構成される厳島神社。床板には隙間が空いていて、高潮時の海水の圧力を弱めたり、廻廊に上がった海水を流す役目が。
まるで海に浮かんでいるように見える厳島神社の大鳥居。真下までは行けませんでしたが、高さ16.6m、棟の長さ24.2m、主柱回は9.9m、総重量は約60トンの鳥居は圧巻。木造では日本最大。
大鳥居の屋根下の笠木と島木は箱状になっていて、中に約4トンもの小石が詰められているそうです。月光(三日月)の金具が付いている部分が笠木で、東側は日光(太陽)とのこと。
宮島のホテルに宿泊したので夕景と日の出を見ることが出来ました。こちらは夕映えの中には佇む大鳥居です。
早朝は鹿と私だけ…という感じでほとんど人気がなく、時折り聞こえる夏鶯の声と浜に打ち寄せる瀬戸内の細波の音が心地良く。そこでニ句…
夕映や 鳥居を抱く 瀬戸の海
明易や 朱鮮やかに 神の島
〈思い立ったら旅に出よう〜宮島・尾道吟行②蒼空の広島へ〉に続く🍀
そこに在るだけで私達の救いに…
NODA・MAP第28回公演「華氏マイナス320°」を観劇。"正しくない科学に基づいた、正しくないSF(サイエンス・フェイクション)”と銘打った2年ぶりの野田秀樹さんの新作です。
55歳で無垢な少年を演じても違和感なし、異彩を放つ阿部サダヲさん、初舞台が野田さんで今回で3回目の舞台となる広瀬すずさんの、全ての光を集めたような眩しさに目を奪われました。
広瀬さんとは初共演の深津絵里さんは、野田さんと出会ったのは22歳の時だったそう。それから30年、透明感は全く変わらず、儚さと凜とした強さを合わせ持つ研究者などを。
「〈神の領域〉に踏み込んだ」は人間が探究する科学や医療に対して使われる常套句ですが、長らく医療を取材してきた私にとって今作が投げかけるテーマは、ずっと向き合ってきた問題。
橋爪功さん演じる神がバベルの塔を建てた傲慢な人間を滅ぼすと宣言。そこに待ったをかけるのは堕天使(あくまで天使)の広瀬すずさん。果たして人間の欲望はどこに行き着くのか。
開幕前から始まっている洞窟での発掘作業。探しているのは人類の夢を叶える研究に必要な〈謎の骨〉。リーダーはバイオテクノロジーを専門とする深津さん演じる窮理教授。
自分を生き長らえさせてくれた科学に恩返しがしたいと研究所の助手を務めている阿部さん演じるタスケテ。キーアイテムのひとつが〈骨〉で、窮理教授が唱える「人は骨で繋がっている」という骨伝導理論や
何者かの骨とタスケテの骨が共鳴する不可思議な現象が起き、タスケテは骨の謎を追って古代、中世、現代を行き来することに。辿り着いた中世の実験室にいたのは
若さを求める老年の科学者ファウスト。演じる橋爪さんは84歳。意図的だとは思いますが、絶妙なセリフ回しで人間が避けられない老いを体現していました。
現代でも古代でも権力争いをしている姉弟を高田聖子さんと橋本さとしさん。2人がオーナーを務める製薬会社は、窮理教授のスポンサーで、遺伝子研究で若返りの新薬を作ろうと目論んでいます。
そして物語の重要な鍵を握るハーメルンの笛吹き男役は大倉孝二さん。現代では飄々とした研究所の清掃員で、研究に使われるネズミに同情する優しさを見せています。
真面目な顔で笛を吹いているだけなのにクスリとさせる大倉さんは流石です。笛の音に導かれ崖の下に落ちていくネズミ達。その姿を見ていて考えが次第に変わっていくハーメルン。
ハーメルンの笛吹き男といえば130人の子供達をどこかへ連れ去ったというドイツの古い伝説。街に残された子供達のことを思い出しハッとしました…。
深津さんは古代ではお腹の中の赤ちゃんの未来を言い当てるヒ巫女役も。ある妊婦に告げた「天使が生まれてくる」の天使とは、実は障害がある子供のこと。
また〈天使病〉は「15歳くらいまでしか生きられない」先天的な謎の病で、タスケテもこの天使病でした。ヒ巫女の占いは現代の出生前診断をイメージさせますし
「クレオパトラの受精卵」は精子提供、不妊治療、出自を知る権利など、様々な倫理問題をはらむ生殖医療に対しての疑問を暗喩しているのだと思います。
さらに引用されたアイルランドのジャガイモ飢饉のエピソードは物語の核心。大量に採れる優秀な品種のジャガイモばかりを育てたために病原菌が広がった時に、結果的に壊滅的な被害に遭ったというもの。
優生思想がもたらした矛盾。これがもし人間だったら…。ある花が咲く古代の洞窟の中でタスケテが辿り着いた天使たちの骨の真実とは。繰り返される〈命の選別〉がもたらす悲劇。
タイトルの「華氏マイナス320°」は摂氏だとマイナス196度で、これは液体窒素が沸騰し気化する温度です。不妊治療ではこの液体窒素を使って受精卵、精子や卵子を一瞬で凍らせ保存します。
約20年前に未婚のがん患者さんが強い副作用がある抗がん剤治療を受ける前に、卵子を凍結保存するこの技術を取材したことがありました。当時は安全性の確立が課題でしたが
患者さんが希望を持って生きるために必要な技術だと私は確信していました。今は当たり前に実施されていて、ある意味で意図的に「永遠に時を止める」ことが出来る技術です。
そして何故、華氏の表記なのか。広瀬さん達が「マイナス320°」を発音する時に、「さんびゃくに」で不自然に区切っているのが気になっていましたが、それが摂氏ではなく華氏を選んだ理由…。
臓器移植、生殖補助医療、遺伝子治療などこれまで取材してきた先端医療は、常に倫理の問題が伴っていて、患者さんと向き合う時に「自分ならばどうするか…」と自問自答を繰り返してきました。
人間のエゴや欲望のために科学技術が濫用されることがあってはなりませんが、タスケテのように救われる命があるのも事実。ただ科学は万能ではなく常識が覆ることもあります。
残念ながら人間も愚かであることを大国のリーダーが証明してしまっています。大切なのは正しいか正しくないかをジャッジすることではなく、正しく使われるように見守ること。
私が18歳の時に病のため重度の障害を負った母は、障害による不便はあっても不幸ではないこと、全ての人間に生きる価値や意味があることを身を持って教えてくれました。
価値や意味は大袈裟なものではなく、1番大変だったはずの母が笑顔でいてくれたこと、最期まで母が感謝を口にしていたことなど、そこに"在る"だけで母の存在は私達家族の救いであり希望でした。
「分からない」「わからな愛」と繰り返し繰り返し手話で投げかけてくるアンサンブルのMISAKIさんと阿部さん。静寂に包まれた舞台が投げかけるのは答えのない問い。
脳をフル回転しても野田さんの思考に追いつかないのは当然ですが、相変わらず胸を締め付けてくるNODA・MAP「華氏マイナス320°」は、東京芸術劇場にて今月31日まで上演しています
まあいっかと受け流すこと
毎週日曜あさ6時25分からオンエアのニッポン放送「ひだまりハウス〜うつ病と認知症について語ろう〜」
あすのゲストも元アイドルの小池美由さんです。先週は中学時代にいじめに遭った時に「学校に行かなくても死なない」というお母さんの言葉で救われたお話を伺いました。
学校の先生はいじめに気づいていたかもしれないけれど、結局小池さんは直接相談することはできず、学校に行かなくなってから電話がきたそうです。
勉強は好きだった小池さんは通信制高校を選択します。全日制も夜間もあり通信制から変更することも可能で、体育祭や文化祭もありますが自由参加で良かったそうです。
苦手な"みんなでの行事"をパスできたのも良かったと言っていました。そしてコスプレの活動を始めたのは、細かい作業が苦にならず、衣装をチクチク縫って作ったり、ウィッグをカットしたり
メイクの練習も楽しかったから。またアニメ化されていない漫画のキャラクターの絵から、背面はどうなっているのか想像するのも面白く、好きなことを形にできたのがコスプレでした。
イベントには同じモノを好きな人が集まっていますので、年齢、出身、職種などが違っていてもノリも話も合うので居心地が良かったそうです。
「人には合う合わないがある」無理に誰かに合わせる必要もなく、嫌なことなどを全部受け入れなくても良いと大人になって思えたと小池さん。
学校はとても狭い世界です。私も高校生を対象に講演をすることがありますが、子供は目の届く範囲の物事にどうしても囚われてしまいます。私もそうでした。
世界はもっと広いということを知って欲しいですし、小池さんのように好きなモノや夢中になれるコトを見つけて欲しい。
自分の選択に良い意味で無責任で良いと小池さん。大事なのは「自分で選択する」ということ。やってみなければ分からないので、合わなかったりダメだったら変えても良いんです。
嫌なことがあった時にも、そのことを引きずってしまいランチが不味くなったら悔しいから、「まあいっか」と受け流すとご機嫌でいるコツを教えてくれました。
私は見かけによらず小さなことを気にするタイプ。考えても仕方がないと分かっていても、切り替えが上手く出来ない時があります。
「またいっか」をそんな時のおまじないにしたいと思います。ニッポン放送「ひだまりハウス」小池美由さんのインタビューぜひお聴き下さい☞
https://www.1242.com/hidamari/































