違うを繋げてみんなの強みに!
私の高校の同級生で元ヤングケアラーの河合麻美ちゃんが代表を務めるNPO法人ReMindが主催する「インクルーシブフェスタ」の開催日が近づいてきました
「医療と地域をつなぎ、障がいがあってもなくても安心して暮らせる包含社会」を目指して活動しているNPO法人ReMind。
これまでも町の保健室などの地域事業、育児と仕事の両立、女性の働き方支援などの対人援助支援事業を軸として活動してきました。
「ちがうをつなげて、みんなのつよみに」をテーマに、9月28日(土)にさいたま新都心駅前のけやき広場で開催する「インクルーシブフェスタ」は
様々な理由で生き辛さや孤独を感じている方やご家族、サポートしたいと活動する専門職はじめ支援団体、行政、企業、インクルーシブ社会を創りたいと願う皆さんを繋ぐイベントです。
脳卒中サバイバー、若年性認知症当事者、手話ダンスなどのパフォーマンスイベント、マルシェ、ワークショップ、インクルーシブスポーツ体験、相談会と盛り沢山な内容となっています
私もステージイベントの司会でお手伝いします
9月28日(土)にさいたま新都心駅前のけやき広場で開催する「インクルーシブフェスタ」参加費は無料ですのでぜひ足をお運び下さい
https://inclusive-festa.nporemind.org/
がん医療の未来のために…
先日、東京国際フォーラムで開催された日立グループ主催の〈Hitachi Social innovation Forum2024 JAPAN〉にて
「デジタルで進化するがん医療の最先端」をテーマにしたセッションのファシリテーターを務めさせていただきました。
パネラーはがんゲノム情報などの医療データを集約・管理し、適切に活用することを目的として国立がん研究センターに設立された
がんゲノム医療を実現するための日本の拠点の〈がんゲノム情報管理センター(C-CAT)〉のセンター長を務める河野隆志先生と
「がんを恐れることのない社会」の実現を目標に掲げ、診断・治療の装置開発を強みに、デジタルを掛け合わせることでヘルスケアの進化に貢献する日立ハイテクの高木 由充さん。
全世界でのがんの死者数は年間990万人以上、日本でも2022年は約38万5000人が亡くなっていて死因の第一を占めています。
コロナ禍でようやくオンライン診療が前進しましたが、がん医療の分野においても<デジタル化>はこれからは必須です。
AIなどデジタル技術の導入によるデータ解析の精度の向上は正確な診断に、がんのゲノム情報の解析は個別化医療の推進にも繋がっていきます。
がんに関わる複数のがん関連遺伝子の変化を調べる検査が〈がん遺伝子パネル検査〉で、日本では2019年に健康保険の適用対象となりました。
従来の検査では分からなかった変化や遺伝子の変化の組み合わせが明らかになることで、患者1人ひとりに適した治療に繋がることが期待されています。
ただし保険診療で行われるがん遺伝子パネル検査が受けられるのは標準治療がない、もしくは標準治療が終了した固形がんの患者さんになります。
遺伝子変異が見つかった場合は、その遺伝子変異に対応した薬があれば、臨床試験などでその薬を使用することを検討でき、さらに新たな治療法の開発などに繋がる可能性があります。
ただし遺伝子の変化が見つからなかったり、適した薬剤がない場合もあり、検査を受けて治療に繋がる患者さんの割合は、河野先生によると9.4%とのこと。
標準治療を終えた後では患者さんは厳しい状況はあり、初回の診療から実施できないのかという声もありますが、標準治療を受ける時にも一部のゲノム検査は実施されていて
そもそも問題なのは標準治療で使える薬剤が日本ではまだ承認されていない〈ドラッグ・ラグ〉や国内では薬の開発さえされない〈ドラッグ・ロス〉だと河野先生は指摘。
がんゲノム医療を担っている病院は全国に266あり、そのうち「がんゲノム医療中核拠点病院」と「がんゲノム医療拠点病院」
そして指定された一部の「がんゲノム医療連携病院」では、がん遺伝子パネル検査の解析結果を検討する委員会〈エキスパートパネル〉を開催します。
メンバーはがん薬物療法や遺伝医学を専門とする医師、遺伝カウンセリング技術を有する医療スタッフ、病理専門の医師、分子遺伝学やがんゲノム医療の専門家です。
患者さん1人ひとりに合わせた個別化医療を実施するためには、これからは治療する医師だけでなく様々な専門性を持つ人材育成も欠かせなくなっています。
がんゲノム情報管理センターには8万例の臨床データが蓄積されていますが、難治性がんや希少がんなどの治療法確立のためには10倍ぐらいのデータが必要だと話していました。
日立ハイテクではデジタル技術活用によりがんの検査や診断の高度化、AIによる診断の進化などに貢献するデバイスの開発に力を入れています。
保険適用されることで多くの人が平等に検査を受けられるようになりますので、そのためには<薬事承認・保険収載>されたデバイスを世に出ていくことが必要だと河野先生は指摘。
民間企業とアカデミアがパートナーシップを組んで、最先端のデバイスを実装していく体制が重要だと高木さん。現在、不足しているゲノム構造異常の診断薬の開発など、未来のがん医療のためのチャレンジもしています。
ゲノム医療の進化によりこれまで臓器別に承認されてきた薬剤が、遺伝子レベルで個々人に合わせて適用を判断する時代になりました。
20年以上前からがん医療を取材してきましたが、オーダーメイドの治療が行われる時代がやってくると確信していたことは間違っていませんでした。
〈究極の個人情報〉とも言われているゲノム。がんだけではなく様々な病気になる可能性なども分かるようになりますので、医師と患者の対話もより重要になってきます。
ゲノム医療の恩恵を全ての人が受けるためには、患者1人ひとりが正しく「知る」ことも必要です。他人事ではなく〈自分事〉としてがん医療、ゲノム医療を捉えて共に進化を支えて欲しいと思います