死者に近づくために。。。
毎週木曜あさ6時30分から8時50分まで生放送のラジオ日本「町亞聖のスマートNEWS!」きのうの「気になる話題」のコーナーで
今月15日にポレポレ東中野にて公開される映画「骨を掘る男」を撮った奥間勝也監督に電話でお話を伺いました。
第二次世界大戦中に凄惨な地上戦により20万人の尊い命が失われた沖縄。〈ガマフヤー〉と呼ばれる具志堅隆松さんは
この沖縄戦で亡くなった戦没者の遺骨を40年以上にわたり手作業で収集し続けています。しかもたったひとりで。
暗闇の中で遺骨を掘る具志堅さんは決して孤独ではありません。なぜなら姿は見えない戦没者がすぐそばにいるから…。具志堅さんも祈るように静かに小さな遺骨に語りかけています。
右足は靴を履いているのに左足は裸足。「手榴弾の引き金を引いて自爆したのかな」と残された遺骨からどんな最期を遂げたのかを浮かび上がらせる具志堅さん。
遺骨が見つからない時はそこでは誰も死んでいないということ。遺骨を見つけることが目的ではなく、より死者に近づくために掘り続けている行為を〈行動的慰霊〉と具志堅さんは表現しています。
「出逢ったことのない人の死を悼むことが出来るのか」と問いかける奥間監督も沖縄出身で大叔母を沖縄戦で亡くしています。大叔母には会ったことはなく遺骨は見つかっていません。
具志堅さんに密着している間に大きな出来事が起きました。それはまだ多くの遺骨が残されている島の南部の土砂を辺野古基地移設のために使うという国の暴挙…。
70年以上もの間、誰にも見届けられることも語りかけてもらうこともなかった遺骨を埋め立てに使ってはいけない。戦没者の尊厳を守るためにハンガーストライキを決行した具志堅さんの姿を追う奥間監督。
そして2022年から有志により始まった「平和の礎」に刻まれた24万人の死者の名前を読み上げる集いも丁寧に撮影しています。世代も国籍も違う人々がひとつひとつの生命に想いを馳せ名前を呼ぶ行為も行動的慰霊。
「誰かの父、母、子供だったと考えるとより存在が近くなった感じがする」と読み上げに参加した戦争を知らない若い世代も話していました。
今年も今月1日から23日の沖縄慰霊の日までの23日間、名前の読み上げが1日11時間もかけて行われています。読み上げの様子や集いの詳細は以下のホームページから見ることが出来ます☞
知らないだけで沖縄は骨の上で暮らしているという具志堅さんの指摘にハッとさせられます。奥間監督も具志堅さんと一緒に過ごしたことにより沖縄の見方が変わったと言っていました。
「最大の慰霊は2度と戦争を起こさせないこと」終わりなき慰霊を今も続けている具志堅さんですが、終わらせなくても良いのかもと思っているそう。
残された戦争の痕跡をしっかりと目を開いて見続けることで、今まで見えていなかったものが見えてくるから…。
地球上から戦争が無くならないどころか、日本にも戦争の足音が近づきつつある今だからこそ観て欲しい映画「骨を掘る男」は今月15日からポレポレ東中野などで上映されます
●映画「骨を掘る男」公式サイトはこちら☞
●ラジオ日本「スマートNEWS」木曜日の奥間勝也監督のインタビューはradikoから☞
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