行く道を照らすのは… | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

行く道を照らすのは…

ブランドサッカー選手を主人公にした初の朗読劇『VOY!VOY!VOY!〜新たなる光をまとって〜』を先日観てきました音譜


 以下ネタバレになりますが、ぜひまた再演してもらいたいという願いを込めてレポートしますキラキラ


主人公はサッカーのユースチームでエースストライカーを務める杉崎優。才能はありますが自意識過剰で傲慢なところがあり、大切な試合で相手チームの選手の挑発に乗りレッドカードを受けて退場処分に…。



反省しないばかりか「俺は悪くない」と大人気ない態度の優に謹慎を命じるコーチ。さらに自らのこの行いが原因で夢だったプロへの道も遠のいてしまいます。



謹慎中に自転車をがむしゃらに走らせ交通事故を起こしてしまう優。意識が戻るも「電気つけて」という一言で視力を失ったことが分かります。



人生そのものだったサッカーが出来ない絶望。周りが悪くないことは分かっているものの自分に気をつかう父親や妹、尋ねて来てくれた恋人にも辛く当たってしまいます。



家の中なのに1人でトイレにも辿り着けない情け無い自分…。そんな優の苦しみ、哀しみ、怒り、そして大きな喪失を声優の田中光さんが迫真の朗読で表現。



荒んでいく兄が立ち直るのをそばで見守る妹役の葵あずささんも良かった。兄の行動を否定せずに全身で受け止めようとする必死さが優の心を動かします。



父親に勧められたブランドサッカーの練習を妹と一緒に渋々見学しにいきますが、俺が目指していたサッカーとは違うと始めは馬鹿にする優。



まずは身体で感じてみろとキャプテンに言われピッチに出ますが、音だけを頼りにボールを扱うことは簡単ではなく、何度も転んでしまい思うようにプレーできません。



この場面ではブラサカの選手達の目の代わりになる監督、晴眼のゴールキーパー、ガイドの役割を上手に説明していて、ブラサカの試合をまだ観たことがない人にも分かりやすかった。



手も足も出なかった優ですが、帰り道にチームのサポーターだという牧村少年に声をかけられます。「僕がブラサカを教えてやる」と生意気な口ぶりですが



転んでもぶつかっても立ち上がっていた優のガッツを見ていた牧村少年は、お兄さんになら出来ると優の背中を強く押してくれます。



嫌がっていた白杖も練習に行くためならとすんなり受け入れた優は、牧村少年のアドバイスを素直に聴きながら練習に励み、1週間でチームメイトも驚くほどに上達



そしてスタメンに選ばれた優は突っぱねてしまった父親や恋人、コーチなどを試合に呼びたいと妹に頼みます。がすでに連絡済みで、さすがお兄ちゃんのことがよく分かってますキラキラ



さあ格好良い姿を見せてくれと思ったら…。実は恋人とコーチの仲が深まっていて、そのことを知ってしまったことや、昔を知ってくれている人達を前に身体が思うようにプレーが出来ませんでした



以前とは違いそんな自分の気持ちを素直に吐露する優を温かく見守るブラサカメンバー達。信頼できる仲間がいるからこそサッカーが出来ることを優は再確認します。



仲間とボールを蹴る優達を目に焼き付けるように見守る牧村少年。実は目の病気を患っていて、成功率が非常に低い手術を受けることになっていました。



「素敵な光景を自分の頭の中にリスト化しておく」だから見えなくなっても怖くないと強がる牧村少年を演じたのは大熊和奏さん。小さな身体にいっぱいの覚悟と勇気が詰まっていることが伝わる熱演。



そして手術を終え白杖をついて優の前に現れた牧村少年。もう教えることはないと別れを告げようとする牧村少年にボールを蹴ってみろと促す優。


障害のあるなしに関係なく行く道を照らすのは間違いなく〈人〉と〈出逢い〉だと確信させる素晴らしい朗読劇でしたクローバー



作・演出の塩塚晃平さんにお話を伺ったところ、本当はもっと長編だったそうですがギュッと凝縮したとのこと。



企画したのはドラえもんのしずかちゃんやサザエさんのワカメちゃんの声優でお馴染みの野村道子さんで、何度もブラサカの試合を観戦したそうです。ぜひ再演してもらいたいと思いましたビックリマーク



ブラサカ日本代表は東京パラリンピックは開催国枠での出場でしたが、パリパラリンピックは実力で出場を決めていますのでぜひ注目して下さい音譜