I am here 私はここにいる… | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

I am here 私はここにいる…

日生劇場60周年イヤーの締めくくりとなるミュージカル「カム フロム アウェイ」を先日観劇してきましたキラキラ音譜



2001年9月11日アメリカで同時多発テロが発生したあの日、カナダ最東端にある島の小さな町ガンダーで起こった実話を元にした希望溢れるミュージカルです。



奇跡のようなキャスティングで全員ミュージカル界を代表する実力派の俳優さんばかり。個性豊かなのにぶつかり合わず調和が取れているのも名優揃いだからこそラブラブ



ガンダー町長役などを大好きな橋本さとしさん、いかつい風貌の警察官などを吉原光夫さん、受け入れ側のリーダー的存在のビューラなどを柚希礼音さん



アメリカン航空初の女性機長などを濱田めぐみさん、乗客で消防士の息子を持つハンナなどを森久美子さん、テキサスからきたシングルマザーのダイアンなどを安蘭けいさん



ダイアンと良い雰囲気になるイギリスからやってきた独身のニックなどを石川 禅さん、恋人同士役を浦井健治さんと田代万里生さん



その他に加藤和樹さん、咲妃みゆさん、シルビア・グラブさんという錚々たるキャスト12人が、100人近くのキャラクターを100分間ノンストップで次々に演じていきます。



アメリカ同時多発テロが発生したことを受けてアメリカ領空が急遽閉鎖。実際に飛行機の往来がストップし帰れなくなった同僚もいましたし



当時、報道局にいたのでワールドトレードセンターに飛行機が激突する映像など現地から届く信じられない情景を目の当たりにしていました。



テロを受けアメリカへと向かっていた航空機38機が目的地を失い、総勢7000人の乗客がカナダのニューファンドランド島にあるガンダーという小さな町に緊急着陸。



登場人物の多くは実在のモデルがいて名前もそのままだそう。キャスト全員で歌い上げる迫力のオープニングナンバー「Welcome to the Rock」から、割れんばかりの拍手が客席から巻き起こり鳥肌が立ちました。



ガンダーの人口はわずか1万人。一夜にして人口が約2倍になるという事態を前に、躊躇することなく食事や寝場所を提供するために、町中の物資をかき集めるなど島の住民達が力を合わせます。



何が起きているか分からず大きな不安を抱えている乗客達。しかも人種も国も宗教も言語も異なる7000人もの人達が、実際5日間この島で過ごしたそう。



そんな見知らぬ土地で過ごす日々の中で、町の住人と乗客が違いを超えて、お互いに助け合い心を通わせていく姿にグッときました。



見所のひとつは女性機長のビバリーが歌う「Me and the Sky」。ビバリーは実在の人物で差別を乗り越えて機長になるという夢を叶えた彼女の仕事への誇りと



大切な飛行機が人の命を奪う自爆テロの手段に使われたことへの、痛烈な悲しみが込められたこの歌を濱田さんが熱唱。



大きなセット転換や衣装チェンジはなく、帽子や上着などの小道具と声音だけで演じ分ける役者の力量と音楽だけで魅せていくシンプルな演出ですが



キャストは出ずっぱりで自ら椅子を移動させて場面転換をしながら役柄も変え歌わなければならなかったそうで、まさにニューファンドランド島の人々が助け合う姿に重なりました。



民族楽器も使ったケルト民謡やカントリーミュージックは、深刻な事態が起きている中で、島のおおらかさや希望を感じさせる素敵な楽曲ばかり。



島を離れる時に乗客達がせめてお礼をと申し出ますが、ガンダーの住人は「必要ない。貴方だって同じことをしたでしょう」と断ります。



「人の優しさはどんな悲劇でも乗り越える」この出来事を追ったドキュメンタリーでガンダー町長が語っていた言葉だそうですクローバー



全て実話であることが救いであり希望の光だと感じると共に、「I am here」私はここにいる…生かされているということが何と尊いことなのかと思わずにいられませんでした。



多くの命が奪われた悲劇の裏で生まれた小さな町で起きた奇跡の物語「カム フロム アウェイ」は日生劇場で今月29日まで上演していますキラキラ