事を共にする〈共事者〉 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

事を共にする〈共事者〉

人権教育啓発推進センターが発行する月刊誌「アイユ」2月号、福島県いわき市で地域の食や福祉など様々な企画や運営、情報発信を続ける地域活動家の小松理虔さんインタビュー後半ですメモ



実は奥様と結婚したのも震災がきっかけだったそう。震災後にいわき市に引っ越しますが、妻を小名浜の名所に連れて行きたいのに港もボロボロで、なんでこんな姿の故郷を案内しなくてはいけないのだろうと悲しい気持ちになった小松さん。



そんな小松さんに奥さんは「あなたにとっては傷ついた港かもしれないけれど、私にとってはこれがスタートラインだから、ここから立ち直っていけばいい」と言葉をかけてくれたそう。



本当は「悲しいよね」と寄り添ってもらいたいという気持ちもありましが確かにそうだなと感じた小松さん。「俺の悔しい気持ちは君には分からない」ともしこの時に自分が言ってしまったら



精一杯エールを送ろうとしてくれている彼女を傷つけることになると思ったそうです。この出来事が「あなたには分からない」や「あなたは震災の時に福島いなかった」という言葉を誰にも言わないと決めるきっかけに。



小松さんは著書「新復興論」の中で〈共事者〉という表現を使っています。当事者という言葉を使うとどうしても非当事者と当事者が生まれてしまいます。そこで事を共にする共事者という言葉を思いついたそう。



小松さん自身も福島にいますが漁業者ではありませんし、家族が被災したわけではなく家もあるので、関心はあるけれど当事者じゃないという理由で及び腰になっている人が少なくありません。



そんな人達が「私は私なりにこの問題についてちゃんと考えて発信しよう」と思えるようになったら、世の中はもう少し居心地良くなるのではと小松さんは言っていました。



関係人口という言葉がありますが復興に向けた議論を閉ざされたものにしないためにも、緩やかでも良いので関わる人の存在や色々な外部の人達との対話が必要だと小松さんは考えています。



「復興は地域づくり」が信念の小松さん。自分に期待されている役割は専門的な知見を伝えることではなく、0を1にすることや一緒にやってみようよとみんなの背中を押すこと。



どんな地域に住んでいても、どんな障害があっても個人の尊厳が守られて、誰かを支えて誰かに支えられて、自分らしく最後の瞬間まで生きていくということがベースにある街作りをしたいと小松さん。



心の復興のためには、故郷が新しく作れたり、自分の居る場所に故郷が生まれていくという、柔軟な考え方が出来たらという言葉が印象的でした。



かけがえのない故郷も大事にしながら、第二、第三の故郷で新しく人生を始めるということも悪くないと思える、寛容性みたいなものが福島から生まれたらとも。



他者との対話が復興に繋がったと小松さんは話していましたが、震災後に娘さんが生まれさらに他者を意識するように。何故なら被災者で無ければ分からないと言ってしまったら、娘さんに伝えたいことを伝えられなくなってしまうから。



過去、現在、未来を生きる全ての人の想いや声に耳を傾けて活動を続ける小松さんの言葉には、「復興」だけでなく「地方再生」のヒントが沢山詰まっていましたクローバー



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