真実はたったひとつ。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

真実はたったひとつ。。。

三谷幸喜さんが3年半ぶりに書き下ろし作・演出を手がける舞台「オデッサ」を東京芸術劇場 プレイハウスで観劇してきました音譜



登場人物は柿澤勇人さん、宮澤エマさん、迫田孝也さんの3人だけ。そして言語は日本語と英語の2つ、真実はひとつだけという、密室で繰り広げられる男と女と通訳の会話バトル。



物語の舞台はアメリカテキサス州オデッサ。1999年に1人の日本語しか話せない迫田さん演じる日本人旅行客の児島勘太郎が、ある老人が殺害された事件の容疑で勾留されてしまいます。



捜査にあたるカチンスキー警部を演じる宮澤さんで日系人でありながら日本語が話せず。そこで通訳として駆り出されたのは柿澤さん演じる語学留学中の日本人青年スティーブ日高。



 当て書きをしただけあり宮澤さんは流暢な英語を、迫田さんは完璧な鹿児島弁、そして通訳の柿澤さんは見事な英語と日本語で演技。両方が入り混じるわけですが字幕が巧みに使われているので、全く混乱せずに観られました。



また英語監修は宮澤さんが担当し、英語の台詞を日本語の字幕にいかに近づけるか工夫し、柿澤さんの膨大な英語台詞も少しでも分かりやすくなるようにしたそう。



宮澤さん演じるカチンスキー警部はスティーブと話す時は、英語の翻訳劇のように日本語で台詞を話しますが、容疑者の児島が登場する場面ではスティーブとは英語で会話をします。



さらにスティーブの出身地も実は児島と同じ鹿児島で2人は鹿児島弁で喋りますが、この故郷が一緒だったこともポイント。同郷だと話も盛り上がりやはり親近感が湧くものです。



オデッサというアメリカの小さな町で偶然巡り合った日本人が犯人のわけがないと思った柿澤さんは、「俺がやった」と自ら自白する児島の言葉を全く違う英語に訳していきます。



なんだかすごく長く話していたのに通訳が一言でまとめてしまい「あれそれだけ!?」と感じたことありませんか。宮澤さんもはじめは訝しがりながらも



次第に柿澤さんが必死に捻り出す英語訳に丸め込まれていき、さらに俳句や蕎麦などの日本の文化の話に心くすぐられてスティーブと児島との距離が縮まっていきます。



身振り手振りで犯行の様子を語る迫田さんに、出鱈目な通訳をつけ続ける柿澤さん、騙されていく宮澤さんに客席は大爆笑の連続でした。



また笑いだけでなく3人が抱えているアイデンティティの揺らぎも描かれていてさすが三谷さん。アメリカに根強く残るアジア系への差別と向き合ってきたカチンスキー警部。



アメリカ人として認められるために警官の道を選びながらも、母親の故郷である日本への望郷の想いも見え隠れしていたり、シングルマザーで働く母親の気持ちなども伝わってきました。



また英語を活かした仕事がしたいと夢を抱きアメリカにやってきた青年のスティーブ。カチンスキー警部から「あなたレベルの英語では。」と厳しく指摘されたり



ちょっと笑える日本語の名前なのですが「スティーブと呼ばれて喜ぶなんて日本人としての誇りはないの」と言われてしまいますが



目の前にいる困っている人を見逃せない優しさが滲み出ていて、身の丈も分かっている普通の青年を好演して、色々な舞台を観ていますが柿澤さんはまり役でした。



ドラマで大活躍の迫田さんもやはりただのバックパッカーでは終わらない曲者ぶりを見せてくれていますが続きは劇場でキラキラ



そして最後にナレーターのクレジットで横田栄司さんのお名前が出ましたが、こちらも嬉しいサプライズでした。本格復帰を楽しみに待ちたいと思います音譜



三谷幸喜さんが「こういうものをやりたかった」と自信たっぷりの舞台「オデッサ」は池袋にある東京芸術劇場では今月28日まで上演しています音譜