そこがケアの最前線! | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

そこがケアの最前線!

先日、都内で開催された社会福祉法人長岡福祉協会が主催した〈第1回福祉サービス実践・研究発表会〉にて基調講演をさせていただきました音譜



長岡福祉協会のはじまりは重症心身障害児施設の開設で、それから45年あまり「自分や家族、親しい友人が必要としたときに利用したい施設」という理念の下、長岡市を中心に高齢者や障害者の施設を県内外に展開しています。

 


認知症や高齢者ケアの事例報告は様々な団体が実施していて私も色々参加してきましたが、長岡福祉協会の研究発表の特徴は障害者支援施設などによる障害者ケアに関する実践の事例が多かったこと。



当然のことですが障害を持つ人も年を取ります。障害者支援施設でも利用者の高齢化と重度化が進んでいる現実があることが各施設の事例報告からも伝わってきました。



まずは特別発表をしたのは「最期まで自分らしく生活できる社会」を目指して活動する〈生活を支える看護師の会〉の小林悦子さん。私が尊敬する看護師さんのひとりで大好きなお姉さまですがキラキラ



小林さんは特別養護老人ホームでの看取りが当たり前になるように長年活動をしてきましたが、さらに新たな挑戦をしています。それが「知的障害者支援施設での看取り援助」です。



終の住処として暮らしているはずなのに「制度がないから」と障害者支援施設では看取りが出来ないと言われたことが小林さんの原動力に。



障害者の場合は親が先立つことも少なくありません。病院ではなく長く暮らしたホームで生き切る支援が出来ないかと施設のスタッフや家族と共に小林さんは実践を積み重ねていますクローバー



続く分科会では誤嚥性肺炎による入院をきっかけに身体機能が低下し、入院前はほぼ自立だったのに全介助になり食事が難しくなった知的障害を持つ方の事例報告がありましたが



病気は治ったのに暮らしが奪われて急性期病院から施設に帰ってくるということが、高齢者だけでなく障害者でも起きているのは看過できません。本当に病院の在り方を見直して欲しいですおーっ!



「食べたい」という意欲はありますが「リスク」が伴う食事をどうするか?この施設では「好きな物を食べることが生き甲斐」という本人の意志を尊重しようと



姿勢の保持、口腔ケア、トロミ剤を活用した炭酸飲料や加工したあんぱんなど、食べられる工夫をして諦めずに取り組み食事が出来るようになりました。



そのほかにもひとりひとりの障害の特性に応じた口腔ケアの取り組みをしている施設やフレイル予防として栄養摂取と運動を取り入れた事例などがありました。



これからは障害者支援の現場でも高齢者と同様の介護技術のスキルアップなど、〈ケアの専門性〉を高めていく必要があると感じる現場からの報告でした。



「障害者の高齢化」のように縦割りでは対応できない複合的な課題を抱えたケースはこれから確実に増えていきます。生活困窮、児童福祉、教育、介護医療などの問題が重なるヤングケアラーもそのひとつ。



長岡福祉協会の障害者の相談支援センターでは分野や世代を超えて連携する「世帯まるごと支援」を実現するために、地域作りの一環として行政や教育機関などに挨拶回りをすることからスタート。



また「高齢・障害連携プロジェクト」を立ち上げ、相互理解のための勉強会を開催し仕組みの違いや共通点などを共有。地域の中で包括的な支援が出来るネットワークや体制が構築できたそう。



課題があるということはそこが〈ケアの最前線〉だということです。全国各地の高齢者・障害者支援事業者が参加した貴重な第1回の実践報告会に立ち会えて光栄でしたキラキラ音譜