一緒に老いていく幸せ…
毎週日曜あさ6時25分からニッポン放送でオンエアしている「ひだまりハウス〜うつ病と認知症について語ろう〜」
今週と来週は編集者として数多くの本を世に送り出している著述家の石黒謙吾さんをお迎えして、最新刊「犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム」について伺いました
この本は日本で初めて犬や猫と一緒に入居することを可能とした、神奈川県横須賀市にある特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」で、入居者と共に暮らす犬や猫の姿を写真に収めたフォトエッセイ。
映画化もされたノンフィクション作品「盲導犬クイールの一生」の著者でもある石黒さん。NHKでオンエアされた人を看取る犬〈文福〉を観て、このホームのことは本に残さなければと思ったそう。
終末期が近づくと数日前から部屋のドアの前から離れず中を向いて座る文福。そしてベッドの脇でずっと寄り添い、その時が迫ってくるとべッドの上に上がり顔を舐めるそうですが
入居者は落ち着いた心持ちになるのか穏やかな表情で旅立っていくとのこと。ホームに来てから10年以上、必ず同じ行動を取っている文福。施設長の若山三千彦さんは偶然ではないと話します。
保護犬だった文福は殺処分になる1日前にホームに引き取られましたが、それまで処分されていく仲間のそばに身を置き、死に逝く他の犬達から何らかのメッセージを受け取っていたのかもしれません。
そんな文福の行動によりスタッフは最期のケアの準備ができますし、死が避けられない現実ならば残された時間の中で、本人や家族の最期の願いを叶えることにも繋がっているそうです。
文福のエピソード以外にも入居する際にペットと引き離されてしまった認知症の人が、再び一緒に暮らせるようになり記憶が戻り喋れるようになったり
愛猫のおかげで重度の衰弱から回復した女性など、老いた人間と老いた犬と猫が手を取り合って生きているホームの日常を石黒さんはこんな風に表現しています。
人が人をいたわり
人がどうぶつをいたわり
どうぶつが人をいたわり
どうぶつがどうぶつをいたわる
若山施設長が保護犬や保護猫の受け入れを思い付いたのは、実は石黒さんが関わった犬の殺処分の問題を取り上げた書籍「犬と、いのち」を読んだからだったそう。すでにお2人の縁は繋がっていたのです
石黒さん自身もセンパイという18歳になる豆柴とコウハイという元捨て猫と暮らしています。彼らとは血が繋がっていますと真面目な顔で話すくらい愛情を注いでいます
残念ながらペットと一緒に過ごせる特別養護老人ホームはほとんどありません。そんな中で〈人と犬と猫〉の境目がなく、まるで長屋のような暮らしを実現している「さくらの里 山科」。
日曜あさ6時25分からオンエアのニッポン放送「ひだまりハウス」著述家の石黒謙吾さんのインタビューぜひお聴き下さい
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