元に戻れなくとも。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

元に戻れなくとも。。。

少し時間が経ちましたが新宿に新しく誕生した東急歌舞伎町タワーの中にある「THEATER MILANO-Za」にて「劇団新感線」いのうえ歌舞伎「天號星」を観てきました音譜



ちょっと久しぶりの「劇団新感線」でしたが期待を裏切ることなく面白かったビックリマークなんと言っても今回注目だったのは早乙女太一さんと友貴さん兄弟の「劇団新感線」での初共演。



2人は「どっちも「ちょっとバカ」が似合う」と話す古田新太さん。ちょっとバカができるのは新感線にとっては大事な要素で、言われたことができる早乙女兄弟はとてもチャーミングとのこと。



お互いにぶつけても構わないという遠慮なしの早乙女兄弟の立ち回りのスピード感はもはや神技。最近はドラマでも大活躍の太一さんですが、古田さん演じる半兵衛と雷に打たれて中身が入れ替わるという難役に挑戦。



半兵衛は口入れ屋の藤壺屋主人。実は藤壺屋の裏稼業は世のため人のため悪党を始末して引導を渡すその名も〈引導屋〉。半兵衛は元締めと呼ばれていますが本当の元締めは女房のお伊勢。



顔が強面なのを買われ婿に入っただけで、実は気が弱くて虫も殺せぬただの置き物。太一さんが演じるもうひとつの役は金さえ積めば誰でも斬り殺す〈狂犬〉ことはぐれ殺し屋の宵闇銀次。



銀次役がはまるのは当然ですが、古田さんと入れ替わった時のへっぴり腰でオタオタしている臆病ぶりや、2人の娘との会話も見た目は太一さんなんですが、次第に父親に見えてくる演技力に脱帽。



2人の娘のひとり早風のいぶきを演じるのは山本千尋さん。藤壺屋の女将お伊勢の連れ子で自らも引導を渡す裏稼業に携わっている女剣士。半兵衛にとっては義理の娘で親子関係はいまいち。



彗星のごとく現れたアクション俳優の山本さんに中島かずきさんが当て書きした役なだけあって、水を得た魚とはまさにこのことかと思うほどの華麗な立ち回りは圧巻で、縦横無尽に舞台を駆け回っていました。



もう1人は昔関係のあった渡り占いの弁天の娘みさきで、演じるのは乃木坂46の久保史緒里さん。みさきは入れ替わりの原因となる存在であり物語の鍵を握る神降ろしの巫女。半兵衛は自分の娘だと思っていますが実は…。



半兵衛の命を狙う銀次と入れ替わるので周囲の人間は翻弄されますが、見た目は太一だけれども必死に家族を心配する様子から半兵衛の言葉を信じる弁天と娘達。



そして厄介なのは銀次ともう1度斬り合うために上州からやってきた友貴さん演じる人斬り朝吉。剣捌きから銀次と半兵衛が入れ替わっているのを見抜いたのは流石ですが



見た目が半兵衛で中身が銀次は身体のキレが悪く「こんな俺を斬って満足するのか?」「銀次の外見をした半兵衛を鍛え上げて切れば良い」と唆され納得する破天荒ぶりも良いおーっ!!?



自らの野望を叶えるために家族や仲間を裏切り非道を尽くす中身が銀次の半兵衛。見た目が半兵衛なので全て半兵衛の罪に…。奴を倒すためには自分が強くならないといけないと朝吉の挑戦を受ける中身が半兵衛の銀次。



ですが半兵衛を切れば2度と元の自分には戻れないということに。血が繋がっていなくとも大切な娘と家族を守るために半兵衛が選んだ運命があまりにも切ない。



胸が張り裂けそうな切なさと家族への全力の愛を全て背負い演じきった太一さんの素晴らしい演技に拍手が鳴り止みませんでした。ラストシーンのタイトル演出に鳥肌の劇団新感線「天號星」また再演があったら絶対に観に行きますクローバー