数字の先の可能性を。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

数字の先の可能性を。。。



介護付きホームが日々取り組んでいるケアを向上させるための事例を発表する〈介護付きホーム研究サミット2023〉が


晴天に恵まれた神田明神ホールで開催され、全国から集った9組のホームが4年ぶりにリアル発表を行いましたメモ



優秀賞に選ばれた9ホームの中からグランプリと準グランプリが決まりましたが、グランプリに選ばれたのは



「『ライフマップ』を活用した施設生活での生きがい作り〜人生に対する「想い」のこもった目標設定を可能とする、アセスメントツール『ライフマップ』の活用促進〜」です。



この「ライフマップ」は九州を中心に全国で様々な介護サービスを提供する〈さわやか倶楽部〉が2014年度から進めてきた九州大学等との共同研究の中で生まれたコミュニケーションツール。



利用者さんの人生の道のりを描いたボードに、様々なエピソードや趣味を表すマグネットやコメントを貼りながら、過去の人生を振り返ると共に



従来のアセスメントシートでは引き出せなかった、今まで大事にしてきた気持ちや想いに寄り添いながら、これからの目標や生き甲斐を含むライフプランを作成します。



このライフマップを使って聴き取りをしたところ、ホームに入る前に家庭菜園をやっていたことが分かった94歳の女性。早速ホーム内の小さな畑に野菜を植えて育てることに。



定期的な水やりや草むし、野菜の成長を気にかけて毎日自主的に見に行くことで脚力の向上にも繋がりました。また花を見に行かないかと他の入居者を誘うなどコミュニケーションも豊かに。



収穫した野菜で漬物を作ったり料理をしてみんなに振る舞うことで、この女性は役に立っているという充実感も持つことが出来たそうです。



ケアの原点は〈その人〉を知ることからはじまります。スタックと一緒にライフマップを作成するプロセスもまた心動かす大切な作業だと感じました。



「希望していることを全て実行するという当たり前のことは難しい」と本音もこぼしていましが、暮らしの中の生きがいや願いは実はとてもささやかですクローバー



ホームだから出来ないと諦めずに「やりたいことを出来る」に変えた、さわやか倶楽部の取り組みが見事グランプリに選ばれましたクラッカークラッカークラッカー



また今回もデータに基づいて仮説を立て課題を解決しようという事例がいくつかありましたが、これは科学的根拠に基づいたケアが求められている流れを受けたもの。



2021年に利用者の基本情報やケア内容などのデータを登録し、集められたデータを分析して、ケア改善に関するフィードバックを行うという〈LIFE〉という情報システムが厚生労働省により導入されました。



LIFEのデータの入力に時間がかかるやフィードバックで全国の平均が分かってもどうしたら良いのか。。。という疑問の声が現場からは上がっていますが



そんな状況を受けた「LIFEICT委員会による業務改善と自立支援〜LIFEフィードバックによる継続的な取り組みと効果〜」という取り組みが準グランプリを獲得。



フィードバックされたデータと施設独自のデータを比較して差の大きいものをピックアップ。睡眠、排泄、服薬に着目して経過や効果が分かるアセスメントシートを作成し改善に繋げたそう。



LIFE導入の目的は経験の浅い介護スタッフでも、しっかりと科学的根拠に基づいた介護ができるようにボトムアップすること。ですのでLIFEで示されるデータはゴールではなくあくまでもベーススキル。



医療の世界でも1990年代にEBM〈科学的根拠に基づく医療〉が提唱されましたが、今は患者ひとりひとりに合わせた個別化医療の実現を目指しています。



介護現場ではすでにひとりひとりに寄り添った個別ケアが実践されていますので、データは大切ですが数字に翻弄される必要はありません。



重度なのはデータを読み解く力であり、データを上手に活用しながら、数字の先にある人間の可能性を引き出すケアをして欲しいと思います。



また事例発表は単に素晴らしいことをしたと自画自賛するものではなく、目の前の1人の人間に真摯に向き合い、どうしたら課題を改善できるかを全員で考え実行した結果です。



そのプロセスを共有することに大きな意味があると毎回お手伝いをしていて感じています。私がよく使う言葉ですが。。。今を変えなければ未来は絶対に変わりません。



より良いケアを目指し未来のために努力し続ける〈介護付きホーム研究サミット2023〉で優秀賞を受賞した事例はこちらから見られます☞


https://www.kaigotsuki-home.or.jp/schedule/2023/398


特別講演には「もし余命半年と宣告されたら。。。」そんなもしものための話し合いをするきっかけを作るための「もしバナゲーム」を開発した



医療法人鉄蕉会亀田総合病院の蔵本浩一先生、はな医院の原澤慶太郎先生など一般社団法人iACPのみなさんが登壇してくれました。蔵元先生とは来月またご一緒しますのでまた詳しくはその時にキラキラ



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