言葉ではなく感情を。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

言葉ではなく感情を。。。

きのうは第7回〈「共に生きる」認知症を考えるオンラインセミナー~Talk with 話そう。認知症のこと。〉のお手伝いでした音譜




最初にお話してくれたのは認知症のお母様の介護をしていた脳科学者の恩蔵絢子さん。NHKスペシャルを観た方もいるかもしれません。



ピアノの先生をしていたお母様が認知症と診断されたのは65歳の時。仕事も趣味も楽しみながら、家事も全てきちんとやってくれていたそうです。



お味噌を買いにいったのに別のものを買ってきたり、私がやっておくねと言っていたことをやっていなかったりと「母が母でなくなってしまうかも」という不安でいっぱいに。



ですが1番身近にいて母のことをよく知っている自分が、海馬の問題だから仕方がないと諦めるのではなく、ゼロから考えれば認知症のことも分かってくるかもと恩蔵先生は考えました。



お母様がこだわっていた料理を続けられるように一緒に台所に立つようにし、手順を忘れた時には味噌汁を作ってるんだよと、さりげなく声をかければ作業を続けられることに気づきます。



3回はお母様とご飯を作るようにするなど工夫を重ねていくことで、認知症でも出来なくなっていくばかりではないことが分かったと恩蔵先生。



またご飯を作り終えると「チビちゃんはどこ?」と言うお母様。実はこのチビちゃんは娘の恩蔵先生とお兄さんのことで、母親としての感情はちゃんと残っていたのです。



「その人が大切にしていたものが見える病気」と恩蔵先生。お母様にとって子供の存在が大きいことは認知症になっても変わっておらず診断から2年目の時に



家を出る時に「仕事頑張ってね」と言ってくれたそうで、覚えられないこともあるけれど母親として娘を応援する気持ちは忘れていませんでした。



さらに恩蔵先生を見送った後に少し経ってから玄関の扉の鍵を閉めるやり方も、自分が子供の頃と変わらなかったそう。これは締め出されたと思わせないための母親の配慮。。。



名前を忘れたり出来ないという能力や言葉にばかり注目していると本質を見逃すことになる。その人を見るということは「感情を見ること」だと恩蔵先生は話していました。



そして松本診療所(ものわすれクリニック)院長で精神科医の松本一生先生は、認知症の専門医として診断された後の本人や家族の相談に乗りひとりひとりの暮らしに伴走しています。



そんな松本先生は祖母、義母、両親を介護した経験があり、現在はパーキンソン病の奥様と共に歩んで10年が経ちます。「介護家族が医師免許を持っているだけ」と語る松本先生。



ご自身も介護により諦めなければならないことが沢山あり、自暴自棄になったり無気力になった時もあったそうです。怒りの塊みたいになったこともあり限界を感じたこともあったと正直に話してくれました。



絶望の先に希望を見出した介護家族の当事者の松本先生。医師として支援や寄り添いをしているつもりでしたが多くの当事者や家族に支えられていることに気がつきます。



認知症や介護は特別なことではなく当たり前の〈わがこと〉として受け止めることが大事だと話す松本先生は、ちょっとのユーモアも大切にしています。



奥様からはいつも命令されていて!?尻に敷かれていますとのことおーっ!この日も美味しいお惣菜を買ってきてと指令を受けていて新幹線でとんぼ返りで帰られていました。



専門家という立場を超えた眼差しで家族を見守ってきたお2人の話から気づかされることが沢山あるはず。後ほどアーカイブで見られるようになりますのでまたお知らせしますクローバー