生きて死にたい。。。
【芸術の秋〜忙しい時ほど心にゆとりと栄養を
】
ちゃんと仕事はしてますのでご安心をコロナ禍の2020年にも観劇した市村正親さん主演のミュージカル「生きる」を新国立劇場にて再び観てきました。
市村さんが演じる渡辺勘治は規則正しく毎日毎日ただ繰り返しの日々を生きている公務員。そんな中で定年を目前に進行した胃がんと分かり自分の余命を知ることに。
ただ時代が70年ほど前なので病院は本人には病名を告げず、勘治は息子には何も話しませんでした。でもやはり自分では運命は分かるものなんですよね。。。
妻を早くに亡くし男手ひとつで息子を育てながら、波風立てずに過ごしてきた勘治ですが「このまま何も残さずに死んでいいのか」と自問自答します。
市村さん自身もがんを経験していますし、私の父も同じ胃がんでした。市村さんは完全復活しましたが、父はがんは大丈夫だったにも関わらず母を失った悲しみから命を縮めてしまいました。
〈生きて死にたい〉と新たな人生を歩むことを決めた勘治のように、父にも生きて欲しかったなと叶わぬ願いですが「生きる」を観る度に思ってしまいます。
人の命には限りがあるからこそ、最期の時まで命を輝かせることが出来ると私は母からは教わりました。そしてその命の輝きはささやかな幸せの積み重ねにより輝きを増すということも。
病気になる前は見て見ぬふりしていた市民の声に向き合う決意をした勘治。命をかけて成し遂げたことは他でもない愛する息子のためでした。
父親が亡くなった後に、勘治の病気や彼が市民のために力を尽くしたことを知らされる息子。舞台では再現が出来ますが、やはり大切なことは生きている間に言葉にして伝えなければと思わされます。
「誰かを想い誰かのために生きる」華々しい生き様でなくとも、ひたむきに生きる姿は人の心を揺さぶり影響を与えるはず。
私の父も不器用で母や子供達に素直に想いを伝えられない昭和の人でした。ヤングケアラーの講演会では父の悪口ばかり言っていますが
学校の先生だった祖父は30代で亡くなっていて、看護師をしていた祖母が女手ひとつで父兄弟を育ててくれたそうです。苦労をしていた父が母と若くして家庭を持ち
私達3人を育てながら必死に生きてきたことは理解してきたつもりでしたが、もっともっと父と色々な話しをしておけば良かったです。
ちょっぴり私の父に似ている市村さん。70代になっても衰えを知らないどころか、ますます伸びやかになっていると感じる歌声に感動
市村正親さんと鹿賀丈史さんWキャストのミュージカル「生きる」は新国立劇場にて今月24日まで上演してますのでぜひ足をお運び下さい