魂を取り戻すまで。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

魂を取り戻すまで。。。

人権教育啓発推進センターが発行する月刊誌「アイユ」のインタビュー取材で、性犯罪、性暴力のワンストップセンターであるSARC東京の協力弁護士を努めている川本瑞紀さんにお話を伺いました。



〈魂の殺人〉とも言われる性犯罪。2017年に性犯罪に関する刑法がなんと110年ぶりに改正されましたが、実態に即したものではないと見直しを求める声が高まり今年さらに改正が行われています。



「法律の根拠がないと何も出来ない」と正直に語る川本さん。刑法が実態を反映していないために、被害を訴えても多くのケースが構成要件に当たらず刑法で問えないそう。


 

精神的な大きなショックから急性ストレス障害やPTSDを発症している被害者は、重要な情報や記憶を思い出せなくなる「解離」の状態になります。



この解離は異常な事態に対する正常な反応であり、弁護士としてその被害者の訴えを証言に値するものに整理していくことだと多くの性被害者と向き合ってきた川本さん。



元々、犯罪被害に取り組みたいと考えていた川本さん。刑事裁判で被害者が参加できる制度が導入された時は修習生だったそう。



私も2000年から報道局社会部で記者をしていましたが、当時は遺影を法廷に持ち込むことさえ拒否されるなど犯罪被害者は「蚊帳の外」に置かれていました。



犯罪被害者等基本法が成立したのは2004年で、被害者参加制度が出来たのは2008年のこと。制度がスタートしたばかりの時は全てが手探りな状態だったそうです。



刑法の改正についてはそもそも100年以上前の法律が現代社会に合っているわけがないと指摘。これまでは児童福祉法や条例でカバーしたり、別途リベンジポルノなど場当たり的に法律ができている状態で



事件が増えるごとに法律が建て増しされ、どこに何があるか分かりにくくなっているのが性犯罪に関する法律とのこと。



2017年の改正では女性に限られていた強制性交等罪の被害者に男性を含めるという変更も加えられ、男子の被害を訴えてくる親御さんが増えたそうです。



また新たな改正では強制性交等罪と準強制性交等罪を合わせて「不同意性交等罪」に名称変更が行われました。



これまでは暴行や脅迫により無理やり性交が行われたことが証明できなければ、刑法上の強制性交等罪に問うことは出来ませんでしたが「不同意」は被害者の内心ではなくて状態をさし



被害者が同意しないという意思を形成することが困難であっても不同意と認められることに。つまり〈同意〉のない性交は罪に問われる可能性があるということになります。



暴行や脅迫、アルコールの作用、睡眠、拒絶するいとまを与えない、あと経済的、社会的関係上の地位を利用することなど8つ要件があり、前より明確になったと川本さん。

 


そして最近、大きな問題になっている未成年に対する〈性的グルーミング〉に関しては、SNSで未成年に面会を要求している段階で警察が介入できるようになり、画像を要求しても犯罪になります。

 

 

川本さんによりますとグルーミングをする人は優しいのが特徴で、自分のやることを全部受け入れ味方してくれる包容力のある大人が、まさか自分を性的な目で見ているなんて思ってないとのこと。



グルーミングによる性被害を防ぐためには普段から親子間でコミュニケーションを取って、SNS上での知らない人とのやりとりのリスクを子供にきちんと伝えていく必要があります。



「被害者が思っていることを法律の言葉に変換し、裁判官や検察官に伝わる言葉にして届けていく」あくまでも弁護士は脇役だからと川本さん。



被害者の気持ちを分かりたいと思い続けること、分かるまで努力を続けること、そして自分は決して分からないという謙虚な気持ちを絶対忘れないようにしたいとのこと。

 


川本瑞紀さんのインタビューは月刊誌「アイユ」の8月号に掲載されています。冊子は有料の定期購読になりますが関心のある方はこちらから☞


http://www.jinken.or.jp/allyu