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ニーズから考える

在宅医療カレッジin札幌パート②】


今回のテーマは「人口減少時代における持続可能な医療・ケア」2人目のパネラーは、北海道の十勝地域で訪問看護などに取り組む〈訪問看護ステーションかしわのもり〉の松山なつむさん。



看護師で保健師でもある松山さんの活動は多岐にわたっていて、インフォーマルサービスの医療的ケア児に関する様々な支援をしている〈いぇ〜るinとかち〉や



就学前から小学3年生を対象に出来る出来ないではなく、ひとりひとりの強みを伸ばすための体験型プログラムを提供する〈ここから実験室〉



さらに鹿追町の空き家をリノベーションし、認知症高齢者特化型デイサービスや医療的ケア児がいつでも来れるカフェなどを併設した複合施設〈れんがの家プロジェクト〉の建設も現在進行中。



〈れんがの家〉のコンセプトは誰もが入ってみたくなる「入りやすさ」と松山さん。2018年の在宅医療カレッジin札幌に参加してくれたstudio-L代表の山崎亮さんがコーディネートしているそう。



「施設でどんなことがしたいか」「どういった機能があったらいいか」など意見を交わす地域住民とワークショップを重ねて創られていく〈れんがの家〉が、地域で暮らす人達が集まる拠点になること間違いなしひらめき電球



都心と比べて医療や介護資源が圧倒的に足りていない北海道では足し算のケアは難しく、だからこそ引き算のケアを心がけていると松山さん。



そんな松山さんもかつて終末期を迎えている患者さんに対して、家族の希望もあり命が繋がると思い点滴をしたことがあったそうです。



点滴の針が刺さらない状態の中で、ルートを確保できた瞬間に安堵した家族からも拍手が。。。「あの時はありがとう」と家族からは声をかけてもらえるそうですが



今思うと本当に申し訳なかったと振り返っていました。間違っていたのかなかったのかは分からないけれど、常に自分自身に問い続けることを忘れずに学びを大事にしている松山さん。


学びは暮らしを丁寧に丁寧に積み重ねている地域の人の姿からも。毎年100200本の漬物を作っている人に「食べ切れないのでは?」と聴くと当たり前のように「地域の人に食べてもらうため」との返事が。



大事なのは〈専門性より関係性〉〈治療より暮らし〉〈薬より参加〉。ケアのヒントはひとりひとりが大切にしてきた暮らしの中にあることが分かります。



「システムを先に作るのではなく先ずは地域のニーズから考える」十勝などの地方ではシステムに当てはめていたら何もできません。



人口減少時代においてこの指摘は実はとても重要です。何故なら医療介護の現場はこれまで私達が経験したことのない状況に直面することになるから。



公的なサービス以外という意味で使われる〈インフォーマルサービス〉。松山さんも沢山実践していますが、既存の制度やシステムの使い勝手が悪いために



目の前に困り事を抱えた人がいるのに救えないという理由で、各地で様々なインフォーマルサービスが誕生しています。



新しいニーズに対応して生まれたインフォーマルサービスを持続可能なものにするための支援が絶対に必要ですし、同時にニーズに合わない制度は柔軟に変えていくべきです。



最後に「正解はないので失敗を恐れずに」というメッセージをくれた松山さん。困り事はニーズであり、解決するためにどうしたら良いのかみんなで考えていけたらと思います。



時間が短く話し切れなかったのではと思いますので、〈れんがの家〉が完成したら十勝にお邪魔してまた詳しく伺いたいですキラキラ音譜



☞在宅医療カレッジin札幌パート③へ続きます。