知らないことは罪
![クローバー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/054.gif)
「コエール」は親を頼れない子どもを取り巻く問題を解決するため、かつて親を頼れなかった経験を持つ若者がそれぞれの立場でスピーチを行う啓発イベント。
一緒に司会をしてくれた"ヤスくん"こと俳優の古原靖久くん。ヤスくんも児童養護施設出身の当事者のひとりです。
5回目の今回スピーチをしてくれた〈イルミネーター〉はチャンプとしまの2人です。虐待や貧困など死を意識するほど過酷だった日々を振り返る作業は簡単ではなく2人が辞退。
スピーチは1人で作るわけではありません。約5ヶ月という長い時間をかけて、イルミネーターをサポートするボランティアと一緒にチームで作業をします。
また過去に参加した当事者が相談相手として当日まで伴走しています。辞退した2人も難しいハードルを超えようとしてくれたことに感謝。
そしてこうしている今も声を上げられずにいる子供達に光を当てようと勇気を出してスピーチしてくれた2人にエールを。
「居所不明児童を知っていますか」と切り出したチャンプ。居所不明児童は住民登録されているのに親が乳児検診や学校に行かせなかったり、登録された住所に住んでいない子供のこと。
チャンプの父親は気性が荒く彼や母親に暴力を振るうこともあったそう。小学1年の時に両親が離婚しそんな父親と2人で暮らすことに。
仕事が続かず住む家を失い車上生活が始まります。生きることに必死で3日ぐらいご飯を食べられないこともありましたがチャンプにとってはそれが当たり前。。。
学校も行けず転々としていたので誰かに相談するという選択肢もなく、まして父親はチャンプにとって絶対的な存在で逆らうことも出来なかったそう。
車上生活が3年目になったある日。チャンプの目の前で父親が倒れます。「住む家を見つけて必ず学校に行かせる」倒れるまで諦めずに自分を守ってくれたと振り返ります。
たった1人の家族であり"大好きな父ちゃん"だったと言っていましたが、その父親が倒れるという出来事がきっかけとなり社会に見つけてもらえたチャンプ。
居所不明児童はチャンプのように貧困のために住む場所を失うケースだけでなく、家に監禁されて学校にも行かせてもらえない場合など状況は様々。
共通しているのは社会との接点がないことで、6割の子供が虐待を受けていたというデータもあります。そして保護されても児童には負の影響が残ってしまいます。
一応、この20年間で対策は取られていて統計上の「1年以上の居所不明児童」は年間1000人以上だったのが100人前後になっているそうです。
ただし役所による現地調査で所在が確認できなかった場合、一定期間が経つと住民票から抹消されてしまい、その後の追跡はほぼ出来ない状況に。
もし学校に不登校の子供がいた場合、家庭訪問や児童相談所に連絡し立入調査、警察に捜索願となっているそうですが、チャンプは3年間見つけてもらえませんでした。
たまたま父親が倒れたので発見に至りましたが実態はより深刻であり、居所不明児童の存在を知らなければ法の力は発揮されないとチャンプ。
「知らないことは罪」まず学校の先生はじめ全ての人に居所不明児童の存在を知って欲しいとチャンプ。そして周りの子供に目を向けて欲しいとも。
学校がある時間や夜中に出歩いていたり、夫婦喧嘩の怒鳴り声や子供の鳴き声が聴こえてたり、少しでも気になったら迷わずに通報して下さい。
チャンプもそうでしたが置かれている環境がどんなに異常でも、子供はそれを当たり前だと思っていますのでSOSを出すことさえ出来ません。
(第2部に登壇した先輩イルミネーター達)
大切な命や暮らしが失われる前にできることがあります。それは「見て見ぬふりをしないこと」これまでコエールでスピーチをしてくれた虐待を経験したイルミネーター全員が訴えてきたことです。
現在、フィットネスクラブでトレーナーをしているチャンプ。起業することを目標に掲げていて着実に歩みを前に進めている姿が頼もしい。
倒れるまで踏ん張っていたチャンプの父親もSOSを出せなかったひとり。今年のコエールは「親を助けて欲しかった」という過去のイルミネーターの声を受けて親への支援も考えました。
「たった1人で子供を育てると決めた母親の覚悟を知ろうとしたことがありますか」と問いかけるイルミネーターしまのスピーチ報告に続きます