必ず被害者を守る
毎週日曜あさ6時25分からオンエアのニッポン放送「ひだまりハウス〜うつ病と認知症を語ろう」
きょうのゲストも先週に続きいじめを本気でなくすために活動するT・I・U総合探偵社代表で通称〈いじめ探偵〉の阿部泰尚さんでした。
文部科学省が発表した令和3年度のいじめ実態調査によると小中高と特別支援学校におけるいじめの認知件数は61万5321件。
コロナで休校した期間もあり前年よりも減ったそうですが、命や心身、または財産に危害が及んだり、学校に行けないなどの重大事案は702件もありました。
いじめは大人の社会の問題を映すと阿部さんは先週指摘していましたが、コロナ禍によるストレスの影響はこれから現れることは間違いなく
すでに阿部さんへの相談は増えていて、いじめによる被害が深刻になるのは、予感を超えて現実になってきていると心配していました。
年間1000件あまりの調査依頼を受ける阿部さんが大切にしているのは、必ず本人から話を聴くこと。簡単に子供は心を開いてはくれませんので
1週間、毎日6時間部屋にいて一緒にゲームをしたり漫画を読んだりして、無理に話を聴き出そうとせずに、まずは自分の存在に慣れてもらうようにするとのこと。
ぬいぐるみみたいな感じと阿部さんは言っていましたが「おじさん仕事しなくていいの」と次第に話しかけてくれるように。
学校の先生が忙しいということはずっと指摘されています。ですが時間がないは言い訳であり、見て見ぬふりをしたせいで尊い命が失われていいわけがありません。
スクールカウンセラーが学校には配置されていますが、何かしたいと思っているカウンセラーさんはいるけれど、学校長や教頭に気を遣わざるを得ないのが現状です。
何故ならスクールカウンセラーは教育委員会から派遣されていて、しかも単年度雇用という不安定な立場だから。
また教員に協働文化がない、つまり担任がなんとかしろという空気の学校があったり、いじめの件数が少ない方が評価に繋がるなど
組織を守ることを優先させ、1番大切であるはずの子供の方を見ていない教育現場の哀しい現実に、憤りを感じずにはいられませんでした。
いじめを見逃している学校や一緒になって誤魔化そうとする保護者がいたならば、その行為はいじめを許容することであり
「親が尻拭いをしてくれる」や「悪いことをしても見つからなければ大丈夫」という誤った成功体験を子供に持たせることになっていると阿部さん。
「いじめ予防教育」の必要性も阿部さんは訴えています。まずは何がいじめなのかを先生達がきちんと理解し、法律やガイドラインを守ること。
またいじめには被害者、加害者、傍観者が存在しますが、本当は「いじめは嫌だ」と思っている傍観者の子供達が、NOと声を上げられるようにすることも重要です。
声を上げていじめが止まるという実体験を重ねることで、子供同士で「それはいじめだから」と言えるようになり、学校の環境は必ず変わっていくと阿部さんは語ってくれました。
私もヤングケアラーの支援について学校関係者とも話しをしますが、学校の先生の力だけで全てが解決できるとは考えていません。
まずは学校が限界を自覚すること。そして保護者、地域住民、カウンセラーなど様々な関係者とチームになって、いじめ問題やヤングケアラーの支援に取り組んで欲しい。
心を殺し時に命を奪ういじめは殺人です。本気でいじめをなくそうと活動している阿部さんから先生へのお願いは2つ。
「必ず被害者を守ること」「加害者を真っ当な人間にすること」いじめをなくすためにはまず人から変わっていく必要があります。
阿部さんの著書「いじめを本気でなくすには」は全ての学校関係者に読んで欲しい一冊です。ニッポン放送「ひだまりハウス」もぜひお聴き下さい☞
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