人として在るために。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

人として在るために。。。

人権教育啓発推進センターが発行する月刊誌「アイユ」の取材で10代の若者への性教育に長年、取り組んでいる広島にある河野産婦人科クリニックの河野美代子先生にインタビューさせていただきました。


現在も日常の診察の合間をぬって全国各地で講演をしている河野先生は産婦人科医になって50年。これまで正しい知識を持っていないために望まない妊娠をした10代の少女達に寄り添ってきました。


傷つき涙を流す少女達が後を絶たないのは何故か。河野先生は「恥ずかしながら」と言いたくなるほど世界から遅れている日本の性教育に原因があると指摘。



日本の学校現場でも性教育の重要性が叫ばれ1992年には小学5年から理科や保健を中心に性に関する指導が取り入れられ「性教育元年」とも呼ばれた時代がありました。



ですが1998年の学習指導要領の改訂で、中学校では避妊や性交については教えないという「はどめ規定」が設けら、性交には一切触れずに性感染症については教えろという矛盾した内容に。



さらに2000年のはじめに東京都議らが起こした七生養護学校の問題など、全国で公権力の介入や組織的な性教育に対するバッシングが相次いだことにより後退したままです。



10代の若者は「自分達はもう知ってるよ」という言い方をするそうですが、実際には自分の身体の基本が全く分かっていないのは今も昔も変わっていないと河野先生。


 

知ることにより望まない妊娠や性感染症、しいては性被害をなくすことに繋がります。一人一人が本当に大切にされる社会を目指す人権の視点をしっかり持った上での性教育は<命の教育>です。



きちんと学ぶことで子供達自身がお互いの命や人権を大切にしていくことを理解していくわけですが、その意味で日本では<人権教育>も出来ていない現状だということになります。

 

 

望まない妊娠の理由は避妊などに関する正しい性知識を持っていないからですが、10代の若者だけではなく婚姻関係にある夫に避妊を頼めないという女性も実は少なくありません。



多くの女性が避妊に関して自己決定できていないことも大きな問題であり、これも性教育の遅れが影響していると河野先生。10代の少女のパートナーの多くは社会人の男性でありながら、妊娠が分かっても出産を選択しないとのこと。



予期せぬ妊娠をした時に心も身体も傷つくのは女性です。女性と男性の決定的な違いは妊娠するのは女性だけだということ。手術台に乗るのは男性ではありません。



全ての女性には「自分の身体を大切にし、自分の身体に責任を持つこと」そして男性には「女性の身体を大切にし、女性の身体に責任を持つこと」を伝えるために性教育の必要性を訴え続けています。



性教育も含めて〈知ること〉は全ての人に与えられた権利であり人権教育です。特定の思想を持つ団体や一部の政治家により



命を大切に育むための教育や正しい情報が子供達に届かず、世界からも日本が取り残されたままで良いわけがありません。

 


本来<性>とは「悲しい」ものではなく「喜ばしい」ものであり「素晴らしい」ものだと河野先生は1985年に出版した著書「さらば、悲しみの性」に綴っています。



胸を喜びいっぱいにして新しい命の誕生を迎えられる、そんな人間関係やコミュニケーションを学ぶことが性教育であり



愛するということについて、生きるということについて深く考えられるように性教育の必要性をこれからも訴えていくとのこと。



産婦人科医として、そして1人の人間として傷ついた少女達に寄り添ってきた河野先生。これまで出逢った少女達とは今でも縁が続いているそうです。



河野先生は性被害の支援にも取り組んでいますが、望まない妊娠のパートナーの多くは社会人であり、性被害の加害者が親や先生など身近な大人であるという話は



「人を尊ぶ」ことを学んでいない大人がいかに多いかという現実を突きつけます。人が人として在るために性教育が必要だということを<貧しい性>知識しか持たない大人こそ自覚すべきだと感じたインタビューでした。

 

 

また冊子が出来上がりましたらお知らせします。人権教育啓発推進センターが発行する月刊誌「アイユ」はこちらから☞


http://www.jinken.or.jp/information/jigyou/allyu