描かずして描く。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

描かずして描く。。。

〈思い立ったら今年は旅に出よう〜京都編パート⑥〉


昔ながらの情緒豊かな花街の京都祇園の花見小路通を通り抜けた先にあるのが〈建仁寺〉日本に初めて臨済宗を伝えた栄西によって、1202に源頼家の援助を受けて建立された日本最古の禅寺です。



建仁寺で楽しみにしていたのは俵屋宗達の「風神雷神図屏風」本物ではなくレプリカではありますが、高精細デジタルでの複製で金箔の輝きは本物と見紛うほど。



屏風に落款がありませんが俵屋宗達の真作とされている「風神雷神」をテーマにしたちょうど原田マハさんの小説「風神雷神」を読んだばかり。絵師の人生に想いを馳せながら鑑賞できました。




この屏風絵が素晴らしいのは大胆に余白を活かしているところ。決して大きくない作品ですがこの「無限の空間」が風神と雷神をさらに躍動させています。



また金箔の上に描かれた雲は「たらしこみ」の技法が使われていて、宗達が初めて日本画に用いたと言われています。



重要文化財でもある方丈の襖絵も複製ですが、安土桃山時代から江戸初期にかけて活躍した画家・海北友松の作品「雲竜図」「山水図」「竹林七賢図」が展示されています。

 


「雲竜図」の雲の間から顔を覗かせる龍は身体の一分しか描かれていないにも関わらず、今にも襖から飛び出してきそうなほどの迫力でした。



方丈の「大雄苑」は昭和初期に庭師の加藤熊吉氏により作庭された枯山水式庭園。織田信長の弟である織田有楽斎が信長の供養のために建立した石塔や赤松が配置されています。



もうひとつの「潮音庭」は2005年に公開された平成生まれの枯山水。苔と紅葉が美しいとのことでまた秋にも訪れたいです。



また「○△□乃庭」は禅宗の四大思想である「地水火風」を庭という形で表現したもの。井戸はで「地」、苔はで「水」、白砂はで「火」を表しています。



別名「拈華堂」とも呼ばれる法堂は1765年に建てられた歴史ある建築ですが、天井の「双竜図」は建立800年を記念して2002年に描かれたまだ新しい作品です。



108畳分の大きな水墨画を描いたのは小泉淳作画伯で、この双龍図を制作するために北海道にある廃校の小学校に2年間住み込んでたった一人で描き上げたと説明書きにありました。



海北の襖絵の描かずして描く画法とは違い鱗11枚も丁寧に描き込まれていますが、高い位置にある天井から浮かび上がり間近に迫ってくるような龍でした。



まだ墨の香りがしそうな真新しい「双龍図」100年後200年後と年月を重ねて風合いが増した双龍が人々を魅力する日が来るに違いありません。



多くの禅宗寺院の法堂の天井に描かれている雲龍図。龍は仏教を守護する神様のひとつで法の雨(仏教の教え)を降らせると言われています。



修行の場を見守ってくれるようにとの願いや、龍神は水を司ることから寺院を火災から守るとも伝えられていて、これからこの双龍図が建仁寺の守神に。



少し肌寒い京都でしたが2日目の夕方には太陽も顔を出してくれました。澄み切った空に走る一筋の飛行機雲と建仁寺で一句。。。



〈桜東風 双龍も舞う 建仁寺〉



久しぶりの京都で少し欲張ってしまいましたがそれでも見切れませんでしたあせるあせる魅力溢れる名所がまだまだ沢山ある京都。また旅したいと思いますキラキラ音譜