人と人が向き合えば。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

人と人が向き合えば。。。

〈芸術の灯をともし続けよう~舞台にエール音譜


2018年のアメリカ演劇界で最も権威のあるトニー賞にてノミネートされた11部門のうち作品賞を含む10部門を独占した「バンズ・ヴィジット」は


2007年に公開された映画「迷子の警察音楽隊」(制作イスラエル/フランス)をもとにしたミュージカルで日本版を日生劇場で観劇してきましたひらめき電球



エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊がイスラエルへ演奏旅行に行ったものの、言語の違いからか目的地の町の名前が上手く伝わらず乗るバスを間違えてしまい



たどり着いた辺境の街で一夜を過ごす様子が描かれますがストーリーはたったそれだけ。大きな事件も何も起こらず大どんでん返しもありませんが、とても優しい時間が流れる良質な素晴らしい音楽劇でしたクローバー



ターンテーブルになった舞台は背景も場面転換に使われる可動式の背の高いフェンスも全て真っ赤で中東の灼熱の暑さをイメージさせます。



そんな町に迷い込んだ警察音楽隊を率いるトゥフィークを演じるのはミュージカル挑戦が今回で2回目となる風間杜夫さん。前回で懲りたと話す風間さんですが



今回は踊りはありませんが濱田めぐみさんとのデュエットは全編アラビア語!?間違っても分からないと開き直って歌い上げた歌は大人の魅力たっぷりでした。



濱田さんが演じるのは迷子になった警察音楽隊を快く受け入れる食堂の女主人ディナ。砂漠で逞しく生きる人間の太陽と土の香りを感じさせながらも、妖艶さと孤独を滲ませられるのはさすが濱田さん。


 

孤独は共鳴するもの。実は心に深い傷を負っているトゥフィークはあけっぴろげなディナに心を許し胸のうちを打ち明け、彼女に女性としての魅力を感じながらも自制するのも大人。



若い楽隊員のカーレドを演じるのはブロードウェイでこの舞台を観て、この役をやりたいと熱望していた新納慎也さん。新納さん以外は楽隊のみなさんはおじ様なので、一際目を引きますが素敵だったのはジャジーな歌。



言葉は彼女の耳へ送るキス。境界線も壁もない水は溶け合い海になる〜♪恋に奥手な2人に送る「Haled’s Song About Love」は耳に心地よくメロディーを口ずさみたくなる甘いラブソングを歌い上げます。



楽隊のおじ様達は実はみなさん第一線で活躍するミュージシャン。警察音楽隊として舞台上で芝居をしながら、様々な場面で生演奏を繰り広げるのも、このミュージカルの大きな魅力のひとつ音譜



切なくて温かいノスタルジックな中東の音楽に心が少しずつ静かに揺さぶられ物語の中に誘われていく感覚が本当に心地よかった。



そしてお笑い芸人のこがけんさんが演じる公衆電話の前で彼女からの連絡をひたすら待ち続ける電話男。漫才がこんな形でミュージカルで生かされるとはビックリマークビックリマーク



物語の終盤で歌う名も無き電話男のこがけんさんの「声を聞かせて」は人恋しさを募らせる効果抜群で、思わず涙腺が緩んでしまいました。



町に住む人達は変化のない日常に退屈を感じていてはじめはどこかやるせない様子でしたが、音楽隊との一夜の触れ合いでささやかな幸せの大切さに気づきます。



音楽が大好きなこと、人が恋しいこと、家族が大切なこと。 言葉が違っても、神様が違っても、国が仲良くなくても、それは同じ。これは映画のキャッチコピークローバー



隣り合いながら歴史的に対峙してきたエジプトとイスラエル。そしていまだに実現しない中東和平。ですが国と国ではなく人と人が向き合えば必ず共通点があり



心通わせることが出来ると思わせてくれるミュージカル「バンズ・ヴィジット」は日生劇場にて今月23日まで上演していますキラキラ音譜