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専門で線引きしない!

週末、青森県医療ソーシャルワーカー協会主催のオンライン研修会にて〈ヤングケアラー〉のお話をさせていただきましたキラキラ

 



県内の病院に勤務する医療ソーシャルワーカー地域包括支援センター、教員、児童相談所、教育委員会、高校生など様々な立場の人が参加してくれました。



医療ソーシャルワーカーのみなさんはほとんどヤングケアラーに関わったことがないとのことでしたが、実はヤングケアラーの私を最初に見つけてくれたのは病院のソーシャルワーカーさんでした。



「医療費のことなど何か困ったことがあったら何でも相談して下さい」会計窓口にポツンと座っていた私に白衣姿の鳥羽さんがこう声をかけてくれたのです。



高校生の私からすると白衣を着ているのはみんなお医者さんに見えましたが鳥羽さんはこの病院のソーシャルワーカーさんでした。



高額療養費制度や障害者医療費助成制度のことを教えてもらったので、私達家族は大袈裟ではなく路頭に迷わずにすみました。もし国の制度を知らずに医療費を払っていたら、住む家を失い家族はバラバラになっていたかもしれません。。。



今はコロナで面会は制限されていますが親が入院をしたら子供は必ずお見舞いにいきます。母が入院した時も同じようにベッドサイドや待合室で過ごす沢山の家族に出会いました。



面会が制限されている今でも家族の状況を聴き取ることは出来るはずです。2022年度の診療報酬改訂でヤングケアラーに気づいて支援に繋げた医療機関に対し診療報酬が加算されることになりました。



30年以上も前に私は適切なアドバイスを医療ソーシャルワーカーさんから受けることが出来ました。気づいて適切な支援に繋げるのは当然のことでありみなさんの経験とスキルを活かして欲しいとお願いしました。



また医療ソーシャルワーカーは病院の外に出られないとのことでしたが、建物の中でソーシャルワーカーの仕事は完結するのでしょうか?



患者さんは1人の生活者であり自分の病気以外にも暮らしのこと、仕事のこと、家族のことなど様々な悩みを抱えています。その相談に乗り支援するのが医療ソーシャルワーカーの役目のはず。



病院はこれからヤングケアラーになる可能性のある子供やすでにヤングケアラーの子供がいると考えて医療ソーシャルワーカーはアンテナを張って欲しいと思います。



公立の小中学でスクリーンソーシャルワーカーをしている方も参加してくれましたが、教育委員会から派遣される形で週一回程度いくつかの学校に行っているとのこと。



将来、病院のソーシャルワーカーになりたいという現役の高校生からは毎日居てくれた方が生徒は相談しやすいと率直な意見を聴かせてくれました。



これまで高齢者介護や在宅を支えるために、医療介護の多職種が顔の見える関係を築き連携の実践を積み重ねてきましたが



ぜひその経験をヤングケアラー支援でも活かして〈教育現場〉との連携を進めて欲しいと思います。重要なのは教育、介護、福祉という自分達の専門で出来ることを線引きをしないこと。



連携に手をこまねいている時間はありませんので、ヤングケアラーひとりひとりの困り事は何かを見極めて職種の壁を超えて協力して必要な支援を届けて欲しい。  



私の地元さいたま市が令和3年に実施した「ヤングケアラーの実態調査」の結果を見ると約34000人の中高生のうち「世話をしている家族がいる」と答えた生徒は1273人。

 


この調査結果で大事なのはパーセンテージではなく少ない人数でも具体的に回答している子供の声です。国は家事支援を想定した事業を考えていますが「自分がやっていること全てを代わって欲しい」と答えているのはわずか5人。



大人に助けて欲しいこととして「話を聴いて欲しい」が92人、「進路の相談をしたい」「学習サポート」を合わせると148人。精神的にも体力的にも辛いと答えている生徒がいるのも見逃せません。



同世代が当たり前に出来ていることが出来ていないヤングケアラー。中学、高校のヤングケアラ―に必要な支援は明らかです。必要なタイミングで将来を左右する進路に関する支援をするのは身近にいる大人の責務です。



こうした実態調査は各地で行われていますが、調査結果に目を通すことは今すぐに出来ることです。助けを求めていながら声を上げられていないヤングケアラーが



「この人なら話しを聴いてくれる」と思える大人に出逢えるように、声なき声に耳を傾けてひとりひとりに何が出来るかを考えるきっかけをこれからも作っていきますクローバー



参考までにさいたま市の調査結果はこちらから☞

https://www.city.saitama.jp/006/014/008/003/010/006/p084207_d/fil/0927_youngcarer.pdf