誰かのために生きる。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

誰かのために生きる。。。

〈芸術の灯をともし続けよう~舞台にエール音譜


共に30代の女優・高畑充希さんと劇作家・根本宗子さんが初めてタッグを組んだ脚本も衣装も楽曲も全て〈オートクチュール〉の舞台「宝飾時計」を池袋の東京芸術劇場で観てきましたキラキラ



「誰か見つけて、本当の私」高畑充希さんが演じるのは子役から女優として生きてきた主人公のゆりかでまさに14歳から舞台に立つ高畑さんの人生そのもの。



30歳になり自分の人生はこのままで良いのだろうかと思い悩んでいるゆりか。そんな彼女の1番近くにいて支えているのは



成田凌さん演じるマネージャー兼恋人の大小路。成田さんは舞台は2度目とのことですが佇まいも良く声もとても素敵でした



手料理を振る舞う大小路とその料理を美味しそうに食べるゆりかですが少しずつ2人の会話にズレが生まれていきます。例えば「好き」とまだ言ってもらえてないとか、彼が口にする「ありがとう」の意味とか。。。



そんな中でゆりかが子役としてデビューするきっかけとなった舞台の歴代の出演者を集めた記念公演のカーテンコールで歌うという仕事が舞い込みます。



実はゆりかはこの舞台の主役を20年も演じ続けていて当時トリプルキャストで同じ役を務めていた真理恵と杏香に会いたいとプロデューサーに懇願します。



小池栄子さん演じる真理恵はすでに結婚しママタレとして活躍中、そして伊藤万理華さん演じる杏香は元宝塚の母親から「必ず宝塚に入らないといけない」と英才教育を受けていましたが今は何をしているか分からず。。。



子役としてのスタート地点は同じだったはずなのに、20年という月日が流れ全く違う人生を歩んでいる3人。再会によりゆりかは果たして本当の自分を見つけられるのか。



舞台セットで目を引くのは針のない大きな時計。そしてひとつひとつ形の違う椅子がいくつも配置された回り舞台を効果的に使って、高畑さん達3人が子役時代の過去と30歳の現在を自在に行き来しながら物語は進んでいきます。



メイクも衣装も変えることなく大人から子役へ、そして子役から大人へと違和感なく一瞬で切り替える高畑さんや小池さん3人の演技はさすがでした。



子役であってもみんながライバル。特に母親からの過大な期待とコネにより"私が1"と豪語して周りの人間を否定しまくる杏香が吐き出す毒は凄まじかった。



そんな杏香と言い合いながらもお弁当を配ったり子供の頃から計算高い真理恵。ただ全てが無難と言われていて大人になっても生き方はそのまま。



「空気を読んでしまうので1番好きなものを選べない」と相手役の男の子に告白する子役のゆりか。「実は僕も!」と2人はまるで自分の分身に出逢ったかのように意気投合。



〈その子のため〉になら。。。同じ役を演じ続けるという奇跡を起こしたのはゆりかの想いの深さ。女優として自分のためだけに生きてきたようで実はそうではないことが徐々に明らかに。



真理恵のちょっと空気が読めない肉体派のマネージャーも実は過去のしくじりを引きずっていて、だからこそ少し鬱陶しくても真理恵のために一生懸命になる姿に、傷を持たずに大人になる人間はいないなとホロリとさせられました。



18歳で母の介護に直面し、人と比べようのない1020代を歩まざるを得えなかった私。この舞台のテーマである〈誰かのために生きる人生〉を納得して選んだ人間のひとりとして



〈誰かのため〉は〈自分のため〉であることを痛感しています。また私達に与えられた時間は平等ですが人生は公平ではないということも。。。



自分自身の人生を肯定できる答えに辿り着くまでの道のりは長く、時に杏香のように立ち止まってしまうこともありますし、私はゆりかのように迷いながら未だに答えを探している途中です。



椎名林檎さんがこの舞台のために書き下ろした「青春の続き」の歌詞はさすが椎名林檎ワールド。物語の全てがこの歌のための伏線と言っても過言ではないほどで、高畑充希さんの魂が紡ぐ歌は圧巻でした。



「声が届いて欲しい」「訊けない命題はいつだって核心」胸を焦がすほど誰かを想えたあの頃が懐かしく、大人になればなるほど人は繊細に臆病になり、言いたいことが言葉に出来なくなる。。。



これから30歳になる人も、まさに同世代の人も、私のように年を重ねても未だに青春を生きる人も、胸に響くフレーズが必ずある高畑充希さん主演の舞台「宝飾時計」は東京芸術劇場にて今月29日まで音譜