あったら良いなを形に。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

あったら良いなを形に。。。

〜〈Street Medical Talks〉報告パート②〜


「医療✖️デザイン」の発想で課題解決を目指す〈Street Medical Talks〉がクリスマスイブに開催されましたが今年も様々なアイディアが飛び出しましたキラキラ



この20年で大きく進化したがん医療。特に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場で科学療法は大きく変化し服薬や外来で受けられるように。



そんな中で薬剤師を目指す学生さんを中心にしたグループは外来化学療法室で点滴を受ける患者さんの不安を和らげるために薬を調製した薬剤師の顔写真とメッセージをデザインした点滴カバーを提案。



薬剤師の顔が見えることで患者さんが副作用に関する質問などコミュニケーションを取りやすくする効果を期待したものですがそもそもの課題は外来科学療法室に配置されている専門の薬剤師の数が少ないこと。



2013年に外来がん治療認定薬剤師という資格が出来ましたが現在認定されているのは約1000人。薬の多様化により副作用も千差万別。フォローアップは重要で適切な制吐療法は必須です。



診療報酬でも経験豊富な薬剤師の活躍には加算がつきますし治療後の副作用の継続的なフォロー体制を地域で構築するための薬局薬剤師との連携の充実も盛り込まれています。



大学病院やがん拠点病院には「薬剤師外来」も設置されていますが点滴パックは〈薬のことは薬剤師に〉というメッセージを患者さんに発信するきっかけになるのではと思いました。



そして嚥下機能の低下を防ぐための「香る食前だし」は子供から中高年の親世代へ健康を贈るというアイディア。食前だしを食事の前に飲むというシンプルな方法ですが



出汁が出るまでの間に嚥下機能を確認する簡易テストをすることでまずは自分の飲み込む力を自覚。さらに呼吸を意識して嚥下することで将来的には誤嚥性肺炎の予防に繋げるのが目的です。



嚥下で1番大事なのは〈香り〉と指摘したのは1990年代に聖隷三方原病院のホスピス立ち上げに携わった管理栄養士の金谷節子さんでした。



〈食べる〉ことは人間の幸せのひとつ。「最期の一口まで自分の口から食べる」をモットーに掲げている金谷さんは病院でも家庭と同じように朝にはお味噌汁の香りが漂うように各階の病棟で食事を作ったそう。



また末期がんで食べられない状態になっても「香りだけでも良いのよ」という金谷さんのお話を聴いた時にがんで闘病していた母の食事作りで苦労したことを思い出しました。



出汁の旨みにこだわった食事を提供している介護施設や病院も沢山ありますので懐かしい味や思わず生唾を飲み込むほど美味しい味など出汁のバリエーションを増やしてみても良いかなと思いました。



医学生や若い医療従事者も多かったので誤嚥性肺炎を怖がって食べさせないという病院での不適切な安静や禁食などにより起きている〈医原性サルコペニア〉の問題があり関心を持っておいて欲しいとお願いしました。



〈問診票〉ではなく〈問心票〉のアイディアを提案したのは理学療法士さんを中心としたグループ。心理的サポートがしっかりしている方が患者の痛みや不安が少ないことは様々な研究調査で証明されています。



医師の病気が治ると患者の求める元の暮らしに戻れるまで治るには大きな隔たりがあります。問心票には医師の知りたいことではなく患者が知りたいことを書き込めるように工夫をし患者の不安を和らげるだけでなく



〈ペイシェントジャーニー〉と言われる治療からリハビリ、日常生活を含めた患者の気持ちや状況を多職種が共有するためのコミュニケーションツールにもなるもの。



「自分自身が病気になって初めて患者の気持ちが分かる」は"専門職あるある"ですが100%他者を理解することは不可能だという前提の下にきちんと当事者の言葉に耳を傾けるのは医療だけでなくどんな場面でも当たり前のこと。



社会にはまだ可視化されていない課題が沢山あります。最近、注目されているヤングケアラーも新しい問題ではなくこれまで見て見ぬふりをされてきただけ。。。



一方で医学の進歩により新たに生まれる課題や生き方の多様性により本人のせいではないのに生じる生き辛さもあります。



常にアンテナを張って様々な困り事を自分事として捉えられる感性と変化に対応できる柔軟性を若い人達には身に付けて欲しいと思いますクローバー



「あったら良いな」を形にするもう1歩先の未来を見据えたアイディアを〈Street Medical〉で学ぶみなさんには期待したい音譜また来年も楽しみにしていますキラキラ