臓器移植〈4つの権利〉
あさ6時30分から8時50分まで生放送ラジオ日本「スマートNEWS」木曜日きょうの気になる話題でピックアップしたのは〈臓器移植〉の記事です
今年8月に途上国での生体肝移植で臓器売買が行われた疑いがあると伝えた読売新聞。どうしたら海外での臓器売買が防げるのかという企画記事で
インタビューに答えていた同志社大学教授の瓜生原葉子さんと最初にご一緒したのはもう10年ほど前になりますが
マーケティングの手法を用いて移植医療への理解と意思表示移植医療への理解と意思表示行動を促す活動をしています。
瓜生原さんは2015年に同志社大学のゼミ生と共に非営利団体「Share Your Value Project」というプロジェクトを立ち上げ
臓器提供の意思表示について学生が自らが考え、その意思決定を大切な人と共有していこうという取り組みもしています。
臓器移植法が施行されてちょうど20年にあたる2017年に開催されたイベントに参加した瓜生原さんと教え子の学生さん達は
若い世代に臓器移植について考えてもらおうとパネラーだけでなくプログラムの企画運営も担当してくれました。私もお手伝いさせていただきました
今年は臓器移植法が施行されてから25年目の節目の年。2010年に法律が改正されて本人の意思が不明でも家族の承諾で臓器提供できるようになり15歳未満の脳死後の移植が可能に。
内閣府の調査によると臓器提供をしたいと答えた人は4割近くいるのにもかかわらず実際に意思表示をしている人は10.2%だそう。
少し前のデータですが意思表示をもし本人がしていたら9割の人がその意思を尊重したいと考えているにも関わらず実際に意思表示をしている人はわずか13%という別の調査結果も。
臓器移植や意思表示に関する正しい知識や情報が行き渡っていないことが数字でも分かりますが、移植を希望している患者の98%が移植を受けられていない現状があり〈2%のキセキ〉とも言われています。
海外での移植を希望する患者が後を絶たない背景には日本国内のドナー不足という深刻な問題があります。例えば腎臓移植を待つ患者さんの待機期間は14年以上に及び
実際の移植数を見ても1997年から2019年までに日本で実施された臓器移植は5680件でアメリカの3万件とかなり開きがあることが分かります。
2008年には国際移植学会は臓器売買や移植ツーリズムの禁止や自国で移植を行うことを推進することなどを提言するイスタンブール宣言を採択しています。
〈臓器移植の意思表示〉の意義は移植を待つ患者さんを救うだけでなく、本人の死後に臓器提供を行うかどうか選択を迫られる家族の負担を軽減することにも繋がると瓜生原さん。
臓器移植の意思表示に関する誤解の1つは〈提供する〉意思だけを示すためにあると思われていること。実は免許証や保険証には〈提供しない〉意思も表示することが出来ます。
つまり臓器移植に関しては〈提供する権利〉と〈提供しない権利〉そして〈受ける権利〉と〈受けない権利〉の4つの権利があるのです。
海外では20年近く移植教育を実施している国もありますが日本国内でも東京学芸大附属国際中等教育学校の佐藤毅先生が保健体育の授業で臓器移植について考える〈いのちの授業〉を長年続けています。
ドナーの生きたいという想いも受け継がれていくのが移植医療です。想いを繋いでいく意思表示は〈命のバトンパスへの第一歩〉
大切な人がいるからこそ大切にしたい行動が意思表示であり本人の意思が尊重されるために大切なのは家族と話すこと。まずは〈4つの権利〉について考えてもらえたらと思います