受援力を高める | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

受援力を高める

note &音声配信番組「翔べ!ほっとエイジ~人生100年時代の歩き方トーク」第3弾のゲストは「下流老人」の著書で知られる社会福祉士の藤田孝典さん。



後半は藤田さんの著書「下流老人」「続・下流老人」を紐解きながら全ての人が一生働き続けなければならない日本社会の社会保障制度のあり方などに関してお話を伺っています。



下流老人の特徴として〈収入がない〉〈貯蓄がない〉〈頼れる人がいない〉と3つのないを提示。ギリギリになるまで自分の力で何とかしようと思い詰めている人やまさか自分が下流老人になるとは想定していない人も多いと藤田さん。


特に単身の高齢男性は孤立も深刻で幸福度の高い男性はわずか4%しかいないというデータもあるとのこと。さらに女性が働くことも当たり前になり同じ現象が起きる可能性があります。



頼る人がいない独り身の私も他人事ではなく自分自身が働いてお金を稼がなければ暮らしていけない状況ですし仕事を辞めたら食べていけずいつ転落するか分からない不安は正直あります。



実はこれは脆弱な社会保障制度により意図的に形成された価値観であり〈全員が一生働き続けなければ生きていけない〉という強迫観念により過剰な労働に導かれていると藤田さん。



高齢女性の貧困は多くの専門家が警鐘を鳴らしている問題であり伴侶に先立たれた女性はわずかな遺族年金で暮らしていかなければならない状況に置かれている人が少なくありません。



またシングルマザーの貧困の原因は子育てしながら働ける環境が整っていないからであり働いても楽にならない暮らしの中で貧困が子供に連鎖してしまうことも。。。



人生100年時代の中で本人だけでなく子供が病気になることもありますし高齢化がさらに進んでいくと介護が必要でも介護施設にも入居できないという現実に直面するかもしれません。



国がいつまでもこだわるサラリーマンが世帯主で専業主婦と子供2人モデルでは評論家の樋口恵子さんも言っていた家族が減り頼れない〈ファミレス時代〉には対応できないのは明らか。



団塊世代が75歳になる2025年問題以上に私達団塊Jr.が高齢者になる2050年問題が深刻であり人口減少時代を迎える中で今のままの社会保障制度では持たないと藤田さんは指摘。



生きるために必要なベーシックサービスである年金、医療、介護、教育、住まいを公的な制度で満たすという提案をしていますがこれは危機感を持っている専門家に共通しているものであり実は新しい概念ではありません。



「哲人経済学者」と呼ばれた宇沢弘文さんが

唱えた「誰にとっても等しく大事なもの」を「社会にとっての共通の財産」として大切にしようという〈社会的共通資本〉です。



「自然環境」「社会的インフラストラクチャー」「制度資本」の3つの大きな範疇に分けられ藤田さんが挙げている社会保障は制度資本に当たります。



人間が人間らしく生きていくために必要不可欠なものである〈社会的共通資本〉は自分たちの世代だけではなく次の世代にも残さなければならないものだと宇沢さんは生前話していました。



ただしこの社会的共通資本を実現するためには国民に高負担の痛みを説明する必要がありますし何より1番のハードルは政府が国民の信頼を獲得できるかどうか。不安を解消するのは国の役割です。



コロナ禍でも働かざるを得ない介護をはじめとするエッセンシャルワーカーが日本だけでなく欧米でも注目されました。暮らしや生活機能の維持のために



絶対に必要な職業なのにこれまでも仕事に見合った報酬が支払われていない現状があります。制度改革もできないだけでなく人に投資できない日本の姿勢も大きく変えなければなりません。



時間はかかるかもしれませんが自分が暮らすこの国の進むべき道を決めるのは私達自身。変わらないと諦めたらこの国を諦めることになります。



まずひとりひとりに出来ることは助けてと言える〈受援力〉を高めることだと藤田さん。本当の自立は必要な時に人を頼れること。ひとりで生きて生きていける人間はいません。



もし自分は貧困に陥らないと思っている人にこそ藤田孝典さんの著書「下流老人」「続・下流老人」そして「コロナ貧困」を読んで欲しいです。



note &音声配信番組「翔べ!ほっとエイジ」第3弾のゲスト社会福祉士の藤田孝典さんのインタビュー後半はこちらから☞


https://note.com/100years_hiker/n/nb56b7f1592b1