かかりつけナース | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

かかりつけナース

〈在宅医療カレッジ札幌2022〉報告partメモ今年は「人口減少社会と医療介護そして地域社会のありかた」をテーマにディスカッション。



"人口減少時代における看護機能"と題して話してくれたのは慶應義塾大学医学部衛生学教室講師の山岸暁美さんです。



山岸さんはオーストラリアの小児病院で勤務した経験もあり帰国後2000年からは訪問看護にも従事。厚労省で在宅医療専門官も務め政策にも詳しいという多彩な経歴の持ち主。



日本でも医師から看護師へのタスクシフトやタスクシェアが議論されいくつかの特定の医療行為が看護師にも認められていますがあまり進んでいないのが現実です。



世界に目を向けると看護師が処方が出来るイギリスでは現場が柔軟に対応したことを追認する形で法改正が行われていたり



フランスではマネジメント力を高める教育に力を入れていて病院長になれるコースもあるとのこと。コーディネーター看護師は医療、看護、介護を繋ぐ役割を。



皆保険のないアメリカでは医師がいない地域や経済的に苦しい患者を診療看護師が診察するなど医師が足りない部分をフォローしている実例を示し制度化されるなど看護師が活躍する事例を山岸さんは紹介してくれました。



方や日本を見てみると日本看護協会が認定する専門分野の知識や技術を高めた専門看護師や認定看護師(この違いは正直患者家族の立場からは非常にわかりにくいですあせる)



また難易度の高い診療の補助業務(特定行為)を医師が作成する「手順書」に基づき実践することを許されている特定看護師



そして大学院の修士課程において医学の知識と初期医療に関する実践を修了した診療看護師(NP)と実は看護師の専門性を高め活かそうという制度はいくつもあります。



病院のように医師が常駐しているわけではない介護施設や在宅での活躍が期待され、さらに医療、看護、介護を繋ぐ地域医療のキーパーソンと言われている特定看護師。



2025年までに10万人を目標にしていますが実際にはこの目標にはほど遠く研修を終了した看護師さんは3000人に満たない状況でしかもほとんど病院勤務だということです。



また在宅で活躍したくても患者ごとに主治医が異なりそれぞれの医師に手順書を書いてもらわなければ特定行為が出来ず裁量がないことや



そもそも看護師を下に見ている医師の無理解もタスクシフトのハードルになっているという残念な話は随分前から私も聴いています。



かかりつけ医を自称する医師会の先生の高齢化も進み24時間の診療が難しくなっている問題も指摘されています。まずは医師自身が自分達の限界を知ることがタスクシフトの第1歩です。



そんな中で山岸さんは身近な存在で何でも相談できるプライマリケアを提供するナーシング外来や在宅で療養する人を遠隔から看護観察するテレナーシング



そしてテクノロジーを使って医師が遠隔で診て看護師が現場で対応するなど考え方を柔軟にすればまだまだ沢山できることがあると指摘します。



予防や保健の分野に関しても継続性や関係性を活かし地域をベースに〈かかりつけナース〉として住民に伴走する役割も看護師が担えるという話も頷けました。



なかなか病院神話から抜け出せない日本人。病気になったら病院に行けばいい先生にお任せすれば大丈夫と多くの人が思っていますがその意識を変えて下さい。



地域の医療や介護を疲弊させないためにも病気になる前から健康に関心を持って住民ひとりひとりが主体的に行動することや



住み慣れた地域で最後まで暮らすためには備えや覚悟が必要となりますがそのきっかけ作りも看護師には出来ると山岸さん。



今から20年以上前に末期がんの母を自宅で看取ると決めた時に大きな不安を抱えていた私達家族に寄り添ってくれたのは訪問看護師さんでした。



母はもう治療法がないという状態で〈医療には限界がある〉という厳しい現実に直面しましたが人生の最終段階に必要なのは医療ではないということに気づくことが出来ました。



〈もしもの時〉が近づく中で看護師さんと交わす会話は全て母の命に関わりますので悪い情報ももちろん家族全員で共有しました。



〈死〉から目を逸らさずに限りある命を最期まで生き切ろうとしている母を見守れたのは本当に看護師さんのおかげです。



最近、母の主治医と20年ぶりにお逢いし当時のことを伺う機会がありました。今では当たり前になったがんのチーム医療へのチャレンジをリードしてくれたのはやはり看護師さんだったそうです。



"町さんよく頑張った"と改めて言っていただきましたが振り返ると在宅を普及させようと尽力していた先生もあの時はまだ40代。



自分らしく生きたいという想いと我が家で看取るという家族の覚悟を支えてくれた先生や看護師さん達に心から感謝しています。



先生は現在も埼玉のクリニックでがん緩和ケア、認知症、神経難病、小児重症心身障害など幅広い分野の患者さんを対象に在宅ケアを提供しています。



〈未来を予見して戦略を洞察しいち早く行動を起こすことで未来を明るいものに出来る〉と山岸さん。



超高齢社会や人口減少時代の中でより良い医療、看護、介護を維持していくためには職種の壁を越え連携していく必要があります。



医師から看護師、看護師から介護職へのタスクシフトやタスクシェアはそれぞれの専門性を高めていくことに繋がるはず。



すでに行動を起こしている人がいますし地域で活躍している看護師さんや介護職をたくさん知っています。未来を創るのは私達ひとりひとりの行動にかかっていると改めて感じるお話でしたクローバー



そして最後に登壇したのは制度がないことを言い訳にせず地域のニーズに全力で応えていけばお金も人も制度も後からついてくると



医療福祉の専門性を活かして地域をハッピーにする取り組みをしている福井県にある在宅医療専門クリニック"オレンジホームケアクリニック"の西出真悟さん。



西出さんは相談員兼介護職員として老人保健施設やデイサービス勤務を経験したあと在宅医療プランナーとして医療ソーシャルワークを実践している1人です。詳しくは在宅医療カレッジ報告partキラキラ