想像を超えた物語 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

想像を超えた物語

あいまい劇場 其の壱「あくと」を

六本木EXシアターで観劇してきましたニコニコ



歌舞伎を見始めてからだいぶ経ちますが

ミュージカルに出る前から注目していた



歌舞伎役者の尾上松也さんや舞台だけでなく

ドラマなどでも活躍する山崎育三郎さんと



城田優さんが結成したユニット「IMY」が

今までにないオリジナル作品を作りたいと

プロジェクトをスタートさせたのは2019年。



伝統を守り王道を演じてきた彼らだから

演じられるノンジャンルの舞台が完成アップ



「あくと」とは"演じる"ということ。



演出は成河さん脚本は福原充則さんで

演じるということを様々な切り口で魅せる



4話のオムニバスはどのエピソードにも

胸に刺さるセリフが散りばめられています。



第一話は朝ドラをテーマにした即興劇で

新人女優!?キムラ緑子さん演じるドリコが



オーディションを受けに来た城田優さん

松也さんに"役を演じるとは"を的確に

しかも痛烈な言葉で指南していきます。



緑子さんの振り切れたコメディエンヌ

ぶりがあまりにも見事で大爆笑でしたにひひ



第二話は城田さんによる書き下ろしで

舞台は一転してただならぬ雰囲気が漂う

密室に3人が閉じ込められている場面から。



時間内に謎を解かなければ命は無いという

ミッションを果たしてクリアできるのかあせる



タイトルは「Lateral thinking」で意味は

固定観念を越え自由に発想して新しい

解決法を求めることで"水平思考"とも。



役者だけでなく私達ひとりひとりも実は

人生の中で何らかの"役割"を演じています。



しかも中には望まない役回りを押し付け

られていた人間もいてだからこの謎解きを

仕掛けたという独白にハッとさせられます。



そして第三話「1996年の鳥山明」は

松也さん演じる売れない漫画家の順平が



かつて一緒に夢を見た仲間と居酒屋で

飲んでいるという誰もが遭遇したことのある



シチュエーションでいまだに夢を追う

私にとってはズシンと胸に響いた一幕。



この場面ではミュージカル「アニー」で

主役を演じた皆本麻帆さんがIMY3人に

負けない存在感で心をざわつかせる役割を。



小劇場のお芝居のように順平を取り巻く

人達の人間模様も短い中で巧みに描かれ



舞台ならではの展開でタイムスリップして

出会った山崎さん演じる謎の少年と順平の



やりとりでは夢を食べては生きていけず

自己満足では夢は叶わない厳しい現実の



壁にぶつかって夢を諦めてしまう大人の

狡さや言い訳を鋭く見抜かれてしまいます。



そしてさらに意外な事実が判明しますが

それでも夢は1人で見るものではなく



応援し一緒に喜んでくれる人がいる幸せも

思い出させてくれる切ない物語でしたクローバー



そして第四話は役者とは何かを問いかける

EXシアターのジャン・ヴァルジャン」



髭をたくわえた"ジャン"を松也さんが

山崎さんはライオンキングをもじった

""で城田さんは本物でもありますが



オペラ座に住む""そして緑子さんが

なんと本物を前にアニーならぬ"アニキ"叫び



私は小劇場から宝塚やミュージカルまで

舞台からいつも希望をもらっていますが



そんな夢が叶うはずの場所で実は役者達は

別の人生を生きられるとはいうものの



当たり前ですが台本がありますし昼夜の

公演では1日に同じ役を繰り返し演じたり



そんな状況に不自由や苦悩を感じていると

有名な舞台の場面などをオマージュしながら



舞台の登場人物そのもののに大真面目に

語らせるという手法は本当に絶妙で思わず

笑ってしまうのに何故か泣けてきました。



私がツボにハマったのは"ジャン"

セリフ「何で自分はパンを盗んだんだ」



皮肉とユーモアと切実さをワンフレーズで

表現した脚本を担当した福原さんは天才ビックリマーク



それぞれの役が劇場を飛び出しリアルな

世界と交錯することで舞台上の出来事が

遠い世界の物語ではなく身近なものにクローバー

 


歌舞伎や王道ミュージカルという表舞台で

決められた物語を生きながらも操り人形では



なく新しいモノを生み出したいというIMY

3人の役者魂と何よりお芝居が好きという

想いがひしひしと伝わってくる舞台でしたし


あいまいなものも受け入れて自分自身の

物語を変える勇気を持てと励まされました。



其の壱がこれだけ中身が濃く面白かったので

次回作への期待値が上がってしまいますが



松也さん、山崎さん、城田さんはきっと

想像を超えた物語を生み出してくれるはずにひひ



IMYのあいまい劇場 其の壱「あくと」は

六本木EXシアターにて来月5日まで上演中星