人を想う嘘。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

人を想う嘘。。。

小劇場で同じお芝居を観劇したのが

きっかけでFBでご縁をいただいている



鈴々舎馬桜師匠の秋の独演会にお誘い

いただき友人と聴きに行ってきました音譜



身振り手振りと声音でだけで演じ分け

紡がれる物語に想像力が刺激される落語。



しかも登場人物は呑兵衛やろくでなしの

亭主ばかりですが人間臭くて何処か憎めず。



"くだらないからこそ面白い"そんな私達の

身近にある笑いがコロナでささくれだった

心にじんわり沁みる馬桜師匠の落語でしたクローバー



まず1つ目の演目はこれがまた奇想天外な

滑稽噺の「あたま山」で主人公の名前は



吝兵衛さんと言いますが馬桜師匠も枕で

様々なケチなエピソードを重ねしきりに

"噺についてきて"と何度も念を押すほどあせる



花見をしていた吝兵衛さんは桜の木の下に 

落ちているさくらんぼを見つけ水で洗うのは

もったいないと泥がついたままパクリ!?



もちろんケチなのでさくらんぼの種も

そのまま食べてしまった吝兵衛さんの

頭のてっぺんから桜の木の芽が出てきて 



おかみさんもびっくりしますがあれよ

あれよと立派に成長し近所の長屋でも

花見は"あたま山"だと大評判になります。



そこから展開される数々のエピソードは

人間の頭の上でどうやってはてなマークという疑問を



持っては絶対にダメで花見をする人達が

繰り広げる敵討ちから"かっぽれ"まで

とにかく楽しそうな馬桜師匠が天晴れビックリマーク



噺はこれで終わらず吝兵衛は毎年花見の

時期にこんなに騒がしいのはたまらないと

桜の木を抜いた跡には大きな窪みが。。。



ケチな吝兵衛はもったいないからと穴を

埋めずにいたところ夕立の雨水が溜まって

やがて鯉や鮒などが生息する大きな池に!?



すると子供から大人までみんなで釣りを

しようとなりこれまた頭の上で大騒ぎショック!



舟で投網をかける輩は馬桜師匠の創作で 

網を引く身振り手振りは真剣そのもので

大きな獲物かと思いきや草鞋だったり。



屋形船まで繰り出しますが宴会の余興の

歌舞伎役者の六世歌右衛門や初出しという



十一代團十郎さんや玉三郎さんの声音は

馬桜師匠がきっとただやりたかったからにひひ

大向こうを自分で指示するのがツボでした音譜



吝兵衛は自分の頭の池に身を投げてしまう

というお客さんをケムに巻く"考えオチ"

現実にあり得ないことがあり得るのが落語クローバー



結局"もったいない"とケチったとしても

全てが無に返るというシュールな喜劇で

初めてあたま山を聴きましたが面白かった音譜



そして少し年の瀬には早いですがコロナで

今年もあっという間に終わってしまうなと



思っていた中で聴けた「芝浜の革財布」は

心の深いところに火を灯してくれました。



腕は良いのに仕事をせず呑んだくれている

魚屋の棒手振りの亭主に女房が一世一代の

嘘をつき改心させるという有名な古典落語。



"商いに行ってくれ"と夜が明ける前に

女房に叩き起こされ芝浜に向かう勝五郎。

  


ところが魚河岸はまだどこもやっておらず

増上寺の鐘の音を聞いて女房が起こす時間を



間違えたと気づきますがしゃあねぇなと

浜に降りて磯の香りや寄せては返す波を

見ながら一服して夜明けを待つ勝五郎。



本当に美味そうに一服する様子からもきっと

仕事は嫌いではないことが伝わってきます。



そんな勝五郎が手にしてしまう革財布。



持ち帰った時に女房もこれで家計が助かると

思ったはずですが1番に案じたのは亭主の事。



これで働かなくても良いと大盤振る舞い

してしまう亭主に愛想を尽かすのではなく

"大金は夢だった"と押し通した女房は偉いビックリマーク



夢だったと言いくるめられまた借金を

重ねてしまったと自分の馬鹿さ加減に呆れた



勝五郎は女房のお腹の中にひとつの命が

宿っていることを知り改心してから3年。



酒も断ち小さいながら店も構え借金取りが

こない暮れを迎えられる幸せを味わう中で

除夜の鐘と共に聴くことになる女房の告白。



当時は人様のお金をくすねたら命はなく。



亭主を罪人にしないためについた嘘を抱え

女房はずっと後ろめたさを感じていたはず。



それでも人を想い幸せにする嘘がある。。。



馬桜師匠の女房は押し付けがましくなく

そして大袈裟でもなくそれでも勝五郎を

想っていることが伝わってくる語りでした。



私の父もお酒さえ飲まなければ良い人で

母の代わりに家を切り盛りした経験から

少しだけ芝浜の女房の気持ちが分かります。



実は無職だった父にお金を渡してもお酒や

煙草に消えてしまう日々が続いていました。



もしかしたら父が立ち直るためには芝浜の

女房ぐらい厳しい覚悟が必要だったのかも。



コロナ禍の影響で落語も大変な状況で

独演会を開催することを躊躇した時期も



正直あったそうですが今回の独演会の

芸術祭参加公演が決まってからは稽古も

楽しくなりモチベーションも確実にアップアップ



あまりやる気を全面に出してしまうと

空回りする時がありほどほどにとのことにひひ



これからもほどほどではなくパワー全開の

落語を聴かせていただきたいと思いましたひらめき電球



馬桜師匠ありがとうございましたラブラブ