無いものねだり。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

無いものねだり。。。

日比谷のシアタークリエで上演中の

Home,I’mDarling ~愛しのマイホーム」



照明トラブルで30分遅れての開演でしたが

トラブルを打ち消す味わい深い舞台でしたひらめき電球



白井晃さん演出の日本初上演の作品で

現代のロンドン近郊で憧れの1950年代の



ライフスタイルを追求して暮らす専業主婦

ジュディと夫のジョニー夫婦を中心にして



友人の共働きの夫婦フランとマーカス

ジョニーの年下の上司アレックスや

娘のジュディとは全く違う価値観の母親が



"この暮らしが最高に幸せ"と豪語する

ジュディが愛するマイホームを訪れて



相思相愛に見える夫婦の間をざわつかせ

"理想"生き方とは何かを問う物語です。



専業主婦の起源は工業化が進んで

外で働く男性が増えたイギリスだそう。



家庭を安らげる場所にすることが妻の

役目であり華美ではありませんが清潔な



ファッションに身を包みプリント模様の

壁紙や絵画のインテリアに囲まれて

お客様は気飾って迎えるのがおもてなし。



"僕も身の毛もよだつほど幸せ"という

高橋克実さん演じる本当に人の良さそうな



ジョニーの幕開けの場面のセリフがまず

引っかかりますが全く気にかけていない!?



ジュディを演じるのはフレアースカートが

キュートで眩しいほど美しい鈴木京香さん恋の矢



野菜を自分の庭で育てていて鶏や牛も

飼おうかしらと夫に語りかけるジュディ。



3度の食事からスイーツまで何から何まで

手作りにこだわっていて彼女が幸せを



アピールすればするほど息苦しそうに

見えるのはきっと気のせいではないはず。



1950年代のスタイルに固執するのは

自分らしくいるためでありこういう

暮らしにずっと憧れていたと主張する



娘に対し女性が生き辛い時代を生き

シングルマザーで子育てをしてきた



母親のシルヴィアは働かない専業主婦を

選択した娘を恥ずかしいと厳しく指摘。



また自分達世代が闘ってきたのはこんな

生き方をさせるためではないと嘆きます。



そんなジュディもかつてはバリバリ働き

部下をまとめていましたがリストラで失業。



プライドを傷つけられたのは間違いなく

自分で選択したと言い聞かせて夫のために



完璧な主婦になることを決意したのですが

実は出費がかさみ家計は火の車なのを

夫に知らせなかったことがのちに災いに。



夫の上司アレックスを今引っ張りだこで

活躍中の女優さんの江口のりこさんで



自宅に招いて得意の50年代風のもてなしで

ジョニーの昇進の手助けをしようとしますが



この場面もジュディのこだわりや必死さが

空回りしていて切なくなってしまいますしょぼん



悪気はないけれど言わなくて良いことを

サラッと告げ口する友人のフランを

青木さやかさんでこういう人いるなと叫び



心がささくれ立つのを感じながらも

友人を拒めない人の良さもあるジュディ。



ジュディの母親が祖母は3人の子供を

育てたけれど死に際に何も成さなかったと



悔いていたとぶちまけていましたが

同じ女性でも様々な生き方があります。



母はパートはしていましたが20歳という

若さで私を産み母親として家庭を守ることを

当たり前の役割として生きていましたし



祖母は2人の子供を自立させた後すぐに

祖父を亡くしそれからずっと働きながら



熊本の田舎で1人で自立して暮らしていて

時に娘()の苦境を助けるためにお金を

送ってくれていたこともあったそうです。



経済的な必要に迫られてという理由ですが

それでも私の周りの女性はみな働いていて



わざわざ女性活躍と言われなくとも

頑張っているし頑張ってきたと思います。



未だに仕事ばかりしていて独り身の私は

ないものねだりとは分かっていますが



専業主婦にも憧れる気持ちがありますし

私は向いていると勝手!?に思ってますショック!



仕事をしていても丁寧に生きることも

出来ますし18歳から母の代わりに家事を



することになって家の中の仕事には

終わりがなく拘れば拘るほどとても

奥が深いということも知っています。



外で働いている間に家で何をしていると

ジョニーがジュディについ言ってしまう



シーンがありましたがそれまで家に帰れば

勝手にご飯が出てきて洗濯物も畳んであり



お風呂も沸いていてという当たり前が

当たり前で無くなった経験から私は



誰かが家で帰りを待っていてくれるのが

どれほど有難いかも痛感してきました。



専業主婦だって家にいて夫の帰りを

ただ頬杖ついて待ってるわけではなく。



専業主婦やシングルマザーだけでなく

専業主夫やシングルファーザーもいますし

大事なのは自分が納得して選択しているか。



そして他人と暮らすということはお互いの

ライフスタイルを尊重しながら妥協できる



部分は相手に譲って2人で心地良い空間を

作っていくものなんだなと思いました。



母親代わりをした10年間、私以外の家族は

本当に自分の周りしか目に入らない人達で



やれやれと思うことが沢山ありましたが

それでも私は誰かを気にかけて生きる

煩わしさは嫌いではありませんでした。



大切な人と共に生きるからこそ喜びも

悲しみも怒りの感情さえ愛おしいのかなと。



しかし鈴木京香さんが何を着ても麗しく

高橋克実さんが本当に羨ましかったですべーっだ!



ミュージカルではないので歌はありませんが

合間になんちゃってタップやダンスあり音譜



いつかミュージカルでも観たいなと思う

Home,I’mDarling ~愛しのマイホーム」

シアタークリエにて117日まで上演中星