人生の苦み。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

人生の苦み。。。

コロナ禍で演出のマリア・フリードマン氏が

来日できずにリモートでの稽古となった

新演出版ブロードウェイミュージカル

「メリリー・ウィー・ロール・アロング」



ブロードウェイで半世紀以上にわたり

第一線で活躍し続けるまさに巨匠の

スティーブン・ソンドハイム氏が

40年前、1981年に世に送り出した作品ひらめき電球



2013年に柿澤勇人さん主演宮本亞門さん

演出バージョンの舞台を観ていますが

今回はその再演ではなく女優でもある

フリードマン氏が初演出したものだそうニコニコ



映画プロデューサーとして成功を収めた

フランク役を演じるのは平方元基さんで

平方さんの舞台を今回初めて観ましたが



白いワイシャツに黒いズボンという

シンプルな出立ちが元々スラリと長い

手足をよりスマートに見せていました音譜



ヒットを祝うホームパーティーなのに

何故か浮かない顔をしているフランクは

妻のガッシーともすれ違っている様子。



カウンターでへべれけになっているのは

元ベストセラー作家で親友のメアリー。



パーティーにはもう1人の親友である

ピューリッツァー賞を受賞した脚本家の

チャーリーの姿はなく名前は禁句。。。



メアリー役の笹本玲奈さんとチャーリー役

ウエンツ瑛士さんそして平方さんは同じ歳。



35歳というちょうど変化の大きな時期に

3人で一緒に舞台をやれるのは運命的で

それぞれの生き様や熱量が演技に表れると

平方さんはインタビューで話してましたクローバー



留学先のイギリスでは演劇を勉強してきた

ウエンツさんは少し理屈っぽいけれど

ユーモアがあるチャーリー役はぴったり。



マリーアントワネットを観たばかりの

笹本玲奈さんは王妃役からの中年太りで

しかもアルコール依存という難役に挑戦。



フランクの2人目の妻ガッシーは元宝塚の

朝夏まなとさんでプロデューサーの威光を

借り自分の地位を確立してきた元大女優。



ただし自分がやってきたことは因果応報

フランクは今は若い女優と良い仲に。。。



宝塚を退団して4年目となる朝夏さんは

今までにない役柄ということですが

大人の女性の魅力と大女優感が半端なしアップ



ショービジネスの世界で若いフランクが

成功したのは彼女のおかげでもありますが



そのためにフランクは愛する元妻と子供

そして一緒に夢を見た親友も失うことに。



"メリリー"40代から20代へと記憶を

巻き戻していく"逆再生"の物語ですが

あの時もし違った選択をしていたらと

誰もが一度は思うことが絶対にあるはず。



「何故こうなってしまったのか。。。」

「気がついたらこんな場所に。。。」



未だに独り者で何度も後悔している私の

心に劇中歌のフレーズが鋭く刺さります。



大人になると夢だけを追うわけにはいかず

綺麗事も言ってはいられず現実に目を向けて

時には妥協をすることも必要になります。



希望に満ちた選択や喜ばしいはずの出逢い

仕事の成功の先の結末が分かっている

物語は実は残酷でとても切なくなります。



色々な選択をしてきたから今がある。



そしてその選択をしたのは誰でもなく

自分自身で人生の責任は自分にあり。。。



二度と戻れないと分かっているからこそ

愛おしい若かりし頃の自分を重ねながら

人生の苦みを知る大人にぜひ観て欲しい



「メリリー・ウィー・ロール・アロング」

新国立劇場の中劇場にて今月31日までクローバー