二刀流の宿命 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

二刀流の宿命

国立劇場にて尾上菊之助さんが初役で

武智光秀(明智光秀)に挑戦している

「時今也桔梗旗揚」を観劇してきましたニコニコ



通称「馬盥の光秀」と呼ばれる演目で

日本史上、最もセンセーショナルな事件と



言われる本能寺の変に至るまでの経緯を

人物の名前を変えて脚色した時代物です。



本能寺の変は謎が多いと言われていますが

裏切りや下剋上が当たり前の戦乱の世には



何が起きても不思議はなく織田信長の

有名な「是非に及ばす」の言葉通り。



しかし小田春永(織田信長)"パワハラ"

あまりにもひどい!?いくら忠臣の光秀でも

堪忍袋の緒が切れてしまうのも仕方ないあせる



自分が命じた饗応の準備にいちゃもんを

つけるは鉄扇で額を打ち据えさせるわ。



さらに馬盥(秀吉からの贈り物)でお酒を

皆の前で飲ませた後に取り出したのは

光秀が貧しい時に妻が売った切り髪。。。



そこまでして光秀を貶めるのは春永が

才気ある光秀を畏れている現れなのか。

 


天下太平な世を作るためと我慢していた

光秀の気持ちが微妙に変化していくのに



従い空気がピンと張り詰め無表情なのに

全身からは緊迫感が伝わる演技でした。



饗応の場面の水色の衣装も馬盥の場面の

紫紺の衣装も菊之助さん演じる知的で

切れ者の光秀にとても似合っていました。



ラストに死に装束で腹切り刀を手にして

すさまじい高笑いを見せる光秀の狂気。



音羽屋が得意とする「世話物」だけでなく

岳父の吉右衛門さんに「時代物」を学ぶ

機会も多いという菊之助さんですが今作も



吉右衛門さんが監修を務めていて時代物の

型の美しさをきちんと見せるには内面が

積み重ならないとただのマネでしかなく



どちらも"心で演じる"ことが大切だと

思って取り組んでいると話していましたクローバー



初代中村吉右衛門と六代目尾上菊五郎が

築いたという"菊吉時代"の芸を1人で

継承する菊之助さんを観られて幸せです。



凛々しい立役から色気のある悪役まで

さらに美しい女形も演じる二刀流の宿命を



背負いその期待に応えている菊之助さんに

これからも注目していきたいと思いますひらめき電球



勝ち残った者により作られる歴史は

どこまでが真実なのかが分かりません。



私は光秀の娘の細川ガラシャが好きで

ガラシャ夫人を通して見た父親光秀や



婚礼前に疱瘡を患い身を引こうとした

熙子を人の容貌はすぐに変わるけれど



心の美しさは変わらないと妻に選んだ

逸話など光秀の人柄に惹かれていたので



謀反を起こし天下を取ろうとしたのは

きっと自分のためではないと勝手に解釈。



自分は光秀タイプと話ている菊之助さん。



きっと"馬盥の光秀"には出逢うべくして

出逢った役だと思いますのでまた観たいビックリマーク



「時今也桔梗旗揚」は今月27日までですニコニコ