マリー降臨 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

マリー降臨

東急シアターOrbにてミュージカル

「マリー・アントワネット」を観劇ブーケ1


全てを与えられながらも王妃という
孤独を生きたマリー・アントワネット。


何も持たずに生まれてきて路上で必死に
1人生きてきたマルグリット・アルノー。


全く違う人生を歩む2人の"MA"の運命が
交錯する物語を主軸にあまりにも有名で


説明の必要のないマリーとフェルセンの
結ばれることのない悲恋を描いた舞台。


マリー役はWキャストで私が観劇したのは
花總まりさんバージョンでしたが演技を超え
まるでマリーが降臨したかのようでした。


"王妃であるのは神が命じた"の台詞通り
気高さ、気品、風格、オーラの全てに


置いてこれほどこの役が相応しいのは
この人しかいないと唸らされる存在感。


世界中の美しいもの欲しいもの全てを
手に入れ身に纏い無邪気に振る舞う王妃も


愛する人にも真っ直ぐに想いをぶつける
マリーも偽りのない姿ですが舞台前半の
彼女が純真で浮世離れしていればいるほど


飢えに苦しむ庶民の怒りや憎しみは増殖し
王妃を待つ過酷な運命が際立ってきます。


"自分達を苦しめているのはマリー"


そんな民衆の先頭に立ち戦う小さな戦士
マルグリットもWキャストの昆夏美さん。


花總さんの圧巻のマリーに引けを取らない
昆さんのパワフルな歌と演技でもう1人の
"MA"も間違いなく主役と印象づけました。


"私のことを知らないくせに"と2人が魂を
ぶつけ合う「憎しみの瞳」の歌声は見事。


"違うというだけで私のこと決めつけないで"


歴史は決して覆ることはなく「IF」は
絶対にあり得ないけれどそれでももし2人が
違う時代に出逢っていたらと思ってしまう。


"貴方を愛したことが誇り"とまでマリーに
言わせたフェルセンを演じるのは2020年に


ミュージカルデビューしたばかりという
若手俳優の甲斐翔真さんでその初々しさで
マリーへの献身と変わらぬ愛情を表現。


現実に目を向けて欲しいとマリーに何度も
忠告していたフェルセンは危険を冒して


マリーと国王達の逃亡を手助けしますが
やはりマリーは王妃であることを選ぶ。


投獄され全てを奪われてしまうマリー。


それでもなお威厳を失わず孤高の輝きが
増していたのは生まれ持っての王妃だから。


愛する家族を失い自らも裁判で弾劾され
気づいた自分の罪は"プライド"と"無知"。


そんな1人の人間マリーをそばで見ていた
マルグリットは自分が信じていた正義とは


革命で叶えたかったのは何だったのかと
疑問を抱き心が揺れてまるで迷子のよう。


"愚かな者ほど騙されたがる"と世論を煽り
革命を扇動し王座を狙うオルレアン公達の


思惑に躍らされた自分に気づき憎しみを
ぶつける相手はマリーでは無かったと悟る。


マルグリットが願ったのは普通にパンが
食べられて安心して眠れる場所があること。


処刑台に向かう気高きマリーを見送る
マルグリットは深々と頭を下げうずくまる。


激動の時代にそれぞれの孤独と正義を
背負い運命と闘った2人の女性の物語。


"どうすれば世界を変えられるのか"
"正義と自由、掴めるか。平等とは何か"


答えを出せるのは私達というフレーズが
何度も頭の中でリフレインしています。


明らかなのは憎しみによる暴力や復讐の
連鎖は何も生み出さないということ。


果たして革命により夢と希望を叶え
手に出来たのは誰だったのだろうか。。。


人を許すことを知ったマルグリットが
自分自身で選んだ道が最後の唯一の救いに。


「マリー・アントワネット」は東京では
渋谷東急シアターOrbにて来月21日までひらめき電球