久しぶりだなぁ | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

久しぶりだなぁ

ライトアップされた夜の歌舞伎座も
久しぶりに見ましたがやはり美しい音譜


八月花形歌舞伎第四部は歌舞伎お得意の
"実は"が感動を呼ぶ「与話情浮名横櫛」


"いやさ お富久しぶりだなぁ"の台詞で
有名なこの作品は実際にあった話だそうひらめき電球


木更津の親分に身請けされた深川芸者
お富を女形として油が乗ってきている


児太郎さんでお富と道ならぬ恋に落ちる
大店の若旦那の与三郎を幸四郎さんが


場面は恋仲になっているのを知られて
命は取り留めるも身体を切り刻まれた
与三郎と海に身投げしたお富のその後。


命の恩人である多左衛門に囲われて
何不自由ない暮らしをしているお富。


お風呂帰りで鏡の前で化粧を直すお富は
元芸者だけあって色香が匂い立つよう。


そんなお富を口説こうとする番頭藤八を
亀蔵さんが嫌らしさタップリで滑稽に。


お富が藤八を軽くあしらう場面では
ソーシャルディスタンスを逆手に取り
お富に塗ってもらおうと邪な気持ちで


お願いした白粉を自分で塗る羽目になり
口紅は児太郎さんが伸びる棒を使って!?


そんなところに金を無心に来たのは
ゴロツキの蝙蝠の安五郎と手拭いで


顔を隠して如何にも訳ありの雰囲気を
醸し出している全身に傷を持つ連れの男。


今では"切られ与三郎"と呼ばれている
この男こそ"実は"死んだと思っていた
お富の愛しい人の変わり果てた姿。。。


ネチネチしつこい安五郎に痺れを切らし
"立派な亭主のある身体だ"と啖呵を切る
児太郎さんは初役とは思えない貫禄。


一度は死んだ身で運命に翻弄されながら
それでも生きる女の強かさが伝わります。


そしてそんな安五郎とお富のやりとりを
膝を抱えてなんとも落ち着かない様子で


聞いていた与三郎から飛び出した
"いやさ お富久しぶりだなぁ"の台詞が


今まで観た源氏店よりも胸にジンと
滲みてきたのは私だけではないはず。


頰被りを取り着物の裾をパッと捲って
太腿を露わに座った姿の凛々しいこと。


"しがねえ恋の情けが仇。。。"


元々は大店の若旦那で実は弟に跡目を
譲ろうとわざと放蕩息子を装った与三郎。


どうしてこんな人生になったのかという
憤りや恨み辛みをお富にぶちまけますが


こうなったのはお富に惚れたからであり
落ちぶれた今でもお富に恋焦がれている
人の良さが滲む幸四郎さんの与三郎。


囲われてるが決してやましいことはなく
お前を忘れたことはないと語るお富の
言い分を与三郎が信じるわけもなく。


押し問答をしているところに帰宅した
多左衛門に咄嗟に兄さんだと偽るお富。

 
ドラマ半沢直樹よりも顔芸の少ない!?
中車さんの多左衛門は与三郎にお富とは


男女の仲ではないと説明し堅気になれと
お金を渡し引き取らせる物わかりの良さ。


それもそのはずビックリマーク実は多左衛門はお富の
"実兄"で助けた時から妹だと知っていて


見守っていたという歌舞伎ならではの
展開で戻ってきた与三郎とお富は手を


取り合って感動の再会を喜ぶ。。。と
いきたいところですがこのご時世で 
手が触れそうになるとパッと離れる演出。


与三郎が投げた長い紐の端と端を持って
焦ったく2人が近づきながらの幕切れは
なんだか微笑ましくコメディタッチにひひ


普段なら明るい笑いが起きることはない
源氏店の場面ですがこれもありかなとアップ


来月9月も同じく4部制になりますが
玉三郎さんの映像と舞踊「鷺娘」など


どれを観ようか迷ってしまいますが
歌舞伎座に足を運びたいと思いますクローバー