伝説が蘇る | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

伝説が蘇る

井上ひさしさんの伝説的戯曲
"天保十二年のシェークスピア"


侠客講談"天保水滸伝"を父とし
シェークスピア全作品を母として
誕生した絢爛豪華な祝祭音楽劇。


2005年に蜷川幸雄さんが演出した
バージョンでは佐渡の三世次を


唐沢寿明さんで骨肉の争いをする
姉妹を夏木マリさん高橋恵子さん


きじるしの王次を藤原竜也さん
預言者の老婆を白石加代子さんと


役者が凄すぎましたが今回三世次を
演じる高橋一生さんをお目当てに
先日、日生劇場で観劇してきましたニコニコ


時は江戸の末期、下総国清滝村を
取り仕切る鰤の十兵衛が三姉妹の


誰かを跡継ぎに決める場面から
この一族と村の惨劇が始まります。


強欲な長女のお文と次女のお里は
血も涙もない悪女ぶりで父を見捨て


全てを手に入れようと亭主を親分に
骨肉の争いを繰り広げていきますが
なんと亭主までも陥れる非道ぶり。


そんな清滝村に現れたのが醜悪な
見た目で心まで歪んでいる無宿者
"佐渡の三世次"で高橋一生さんがひらめき電球


イメージをぶち壊して胡散臭さを
出したいと高橋さんは言ってましたが


見た目はもちろん三世次の語りは
間違ったことは言っていないけれど


腐臭漂う毒のようにじわっと染入り
いとも簡単に相手を陥れてしまう
力を持つまさに悪魔のささやき。。。


前半は出番は少なくて物足りない
感じでしたが後半は策略を巡らして
清滝村を手中に収めていく三世次。


父の死を知り村に戻ってきた長女の
息子きじるしの王次を名実ともに
ミュージカルの貴公子浦井健治さん。


三世次が操る嘘の幽霊に騙される
真っ直ぐさを持つ王次は謎の老婆の


魔術で跡継ぎ争いでお世辞を言えず
追い出された末娘お光と相思相愛に。


実はお光は捨て子で双子の妹が。


この妹が代官の妻として清滝村に
やって来たからあら大変!?勘違いが
さらなる悲劇を招いてしまいます。


醜さや愚かさが満ちた世界の中で
真珠のように小さく光る純粋は
哀しいかな無残にも消されていく。


混沌とする物語に時折ユーモアの
エッセンスを振りかけてくれて


テンポよくストーリーを進める
語り部を務めるのは木場勝己さん。


シェークスピアがいなかったら
この世に生まれなかった物語


"天保十二年のシェークスピア"は
今月29日まで日生劇場にて上演中ニコニコ