永遠の薔薇 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

永遠の薔薇

2014年にトップスターに就任し
100周年から今まで宝塚を牽引した


花組の明日海りおさんの退団公演
しっかり目に焼き付けてきましたニコニコ


花組トップになる前に準トップという
異例のポジションを経た明日海さん。


その絶大な人気と大きな期待を
背負い続け駆け抜けた宝塚人生の
ラストの作品は「A Fairy Tale」ブーケ2


貴族の庭園に楽しげに美しく咲く

優雅な白い薔薇の精霊エリュは



純粋で可憐な少女シャーロットに

心惹かれてしまい記憶を消すという

自然界の掟を守ることが出来ず



掟を破った罪で"青い薔薇の精"に

変えられてしまい闇と孤独の中に



閉じ込められエリュと共に庭も

深い霧に閉ざされてしまうことに。



この世に存在しない禁断の花。。。



哀しみの青に包まれた明日海さん

演じるエリュの耽美で幻想的な姿は

ため息が出るほどミステリアス。



エリザベートの黄泉の帝王に光源氏

ポーの一族のパンパネラに薔薇の精



この世の者ではない役を違和感なく

かつこれだけ美しく演じられるのも

フェアリーな明日海さんだからこそ音譜

 


荒廃した庭園を再生させるために

真面目に仕事に打ち込む普通の青年



植物研究家ハーヴィーを演じるのは

次期男役トップの柚香光さんです。



ある深い霧の夜にエリュと出会った

ハーヴィーは人には見えないはずの 

精霊の存在を信じられないでいますが



自然界の理と人との関わりを説く

精霊達の言葉に心を揺り動かされ



彼女探して欲しいというエリュの

願いをハーヴィーは聞き入れます。



 "君なら美しい花を咲かせられる"

エリュからハーヴィへのこの台詞。



役を超えたトップから次期トップへ

このまま心からの贈る言葉ですクローバー



またハーヴィーの叔父さんで

庭に咲き誇る薔薇を丹精込めて



世話をする庭師ニックを演じるのは

メキメキ力をつけた水美舞斗さん。



庭で絵を描くシャーロットの母

フローレンスを見つめるニックから

溢れる花も精霊も人も愛する心ラブラブ



セリフはほとんどないものの

彼女への想いが痛いほど伝わり

切ないけれど美しいワンシーン。



かつて笑いと幸福に包まれていた

薔薇の園の荒れ果てた姿は貴族の



没落する皮肉な歴史とも重なり

無邪気な子供のままでは居られずに

望まない人生を歩むシャーロット。



現実と別世界を結びそして過去と

今を繋ぐ精霊エリュとハーヴィー。



エリュの罪は許されるのか庭は

果たして再生することが出来るのか。



歳を重ねるも心は無垢なままの

シャーロットと再会したエリュ。



彼女にもう忘却の粉は必要なく。



単なる妖精と少女の恋物語ではなく

悲哀のこもった大人ファンタジー

「A Fairy Tale」素晴らしかったクローバー



永遠に枯れることなく記憶と

宝塚の歴史に刻まれる"青い薔薇"



トップスターの卒業は寂しいけれど

宝塚への愛は次世代に受け継がれ

また違う美しい花を咲かせるはず星