十字架 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

十字架

歌舞伎役者の尾上右近さん主演の
「ウォーターバイザスプーンフル」
紀伊国屋サザンシアターで観劇星


スーパー歌舞伎II「ワンピース」で
負傷した市川猿之助さんの代役で
ルフィを務めて注目された右近さんアップ


大好きな女形のひとり右近さんが
翻訳現代劇に初挑戦する舞台を
観に行かないわけにはいきませんにひひ


着物を来て化粧や鬘をして舞台に
立つ歌舞伎は役の型もありある意味
守られている環境の中にいますが


現代劇ではそうはいきませんので
”むきだしの自分”になれたらと
インタビューで語っていた右近さんひらめき電球


そんな右近さん演じるのは幼い頃に
実母から妹と共にネグレクトを受け
伯母に育てられるというトラウマと


イラク戦争で負った負傷が原因で
モルヒネ中毒になった経験を
隠し持っている青年エリオット役。


世代的にはぴったりの役柄ですが
かなりシビアなバックグラウンド。


それでも右近さんのエリオットには
悲壮感はなく飄々とした姿が印象的。


またエリオットの母親オデッサを
現代劇の女形名手篠井英介さんが
妖艶でありながらチャーミングに。


彼女もかつてコカイン中毒でしたが
今は薬物中毒から立ち直ろうとする


人達が集うサイトの管理者を務め
様々な傷を持つ人達を励ます存在に。


苦しみを知っている仲間が
チャットでやりとりする場面。
 

面と向き合っていないからこそ
やりとりする言葉はより直接的で
精神的には近くにいる感じですが


ログアウトしてしまえば一瞬にして
関係が切れてしまう脆さが切なく。


やはり心が渇望しているのは
存在を認めてくれる生身の人間。


我が子を見殺しにした母親も
親に捨てられたに等しい息子も


それぞれ目には見えない重い
十字架を背負って生きていました。


触れないようにしていた傷ですが
伯母の死によって再び人生が交錯。


傷付くのを恐れて逃げていては
決して先に進むことはできない。


誰かのせいにするのではなく
自分と向き合う人達が見せてくれる
希望に触れられる舞台でしたクローバー


紀伊国屋サザンシアターにて
今月22日まで上演していますニコニコ