少女都市。。。

演出家で俳優の金守珍さん率いる

新宿梁山泊の芝居を初めて観ました

2年前に宮沢りえさんが主演した

「ビニールの城」を蜷川幸雄さんの

代わりに演出したのが金さんです

観劇したのは創立30周年記念公演

唐十郎作「少女都市からの呼び声」

ベッドに横たわる1人の男。。。

駆けつけた親友の有沢は医師から

田口のお腹の中から長い髪の毛が

見つかったと知らされます。

この髪の毛は生まれてくることの

出来なかった田口の妹の化身。。。

その田口は夢の中で妹を探しますが

妹の雪子はフランケ醜態が支配する

ガラスの世界で肉体をガラスに

取り換える手術を受けていました。

フランケ醜態は33年前の状況劇場の

初演以来演じ続けてきた金さんが。

”少女都市からの呼び声”もそうですが

唐さんは作品に生まれてこなかった

胎児を度々登場させてきたと珍さん。

捨てられ忘れさられた彷徨う

人々を蘇らせ語らせるという手法は

私達が見ようとしないものに目を

向けさせるためなのかもしれません。

一緒に生きようと妹を説得する田口。 

兄田口と妹雪子のやりとりの合間に

舞台を横切る老人の浮浪者の群れ

吹雪が吹き荒れる満州の荒野。。。

名もなき老人を演じるのは84歳の

はっぽんさんこと山谷初男さんで

寺山修司さんがはっぽんさんの為に

書き下ろした”預金通帳のブルース”を

切なく歌い上げる場面もありました。

交錯する現実と非現実の世界。

ガラスと混じり合い指を無くした

妹に同じ指を切り落として欲しいと

せがまれた田口はその通りにする。

兄の指から流れる赤い血が雪子を

刺激したのか兄と共に現実の世界に。

有沢の胸にすがり兄の代わりに

一緒に生きようと迫る雪子でしたが

有沢のフィアンセその名も”ビンコ”に

ビンの中に閉じ込められてしまう。

そしてラストは舞台に霰のように

降り注ぐ何万個のビー玉の粒。。。

雪子の叫びはビー玉が床を激しく

叩きつける音に掻き消されてゆく。

”ファンタジックホラーだ”と

終演後にご挨拶させていただいた

演出の金守珍さんは言ってました

摩訶不思議で全てを理解したとは

言えませんが金さんが表現する

夢と恐怖の世界に引き込まれました

「少女都市からの呼び声」は

31日まで芝居砦満天星で上演中

6月には新宿花園神社境内にて

「ユニコン物語〜台東区篇〜」を

上演するそうなのでこちらも是非