翔べ！新右團次

市川新右團次さん新右近くん

親子襲名披露の壽新春大歌舞伎

昼の部「雙生隅田川」では

新右近くんが大活躍でした

先代猿之助さんが昭和60年に

復活させた通し狂言「雙生隅田川」

当時9歳だった四代目猿之助さんが

双子の二役と最年少での宙乗りを

披露した澤瀉屋の大切な演目です

これを新右團次さん新右近くんの

襲名に選んだのは本当に粋な計らい

天狗の恨みを買い息子松若丸を

攫われてしまった吉田少将行房。

自らも無惨に殺されてしまいます。

実は松若丸は双子で梅若丸が

父親の跡を継ぐことになりますが

お家乗っ取りを企む家臣に唆され

朝廷から預かっている掛軸

「鯉魚の一軸」の鯉の絵に

目を描き入れてしまう梅若丸

するとなんと絵から鯉が抜け出し

その責任を取り梅若丸は出奔。。。

母班女御前は発狂してしまいます。

初舞台にも関わらず松若丸と

梅若丸の二役を演じる新右近くん

まだ6歳なのにここまででも

早替わりもあり長いセリフも

淀みなく堂々と喋れていました

亀治郎だった時にこの役を

演じた猿之助さんが母班女御前役。

2人の我が子が居なくなる悲劇に

見舞われ気が触れてしまう場面で

会場をグッと引きつける演技。

そして新右團次さんが演じるのは

吉田の家来だった淡路の七郎。

使いこんだ金一万両を償うため

人買い業を続けて金を貯めています。

売ったはずの稚児が戻されてきて

怒った七郎は折檻して殺してしまう。

血も涙もない酷い男七郎を

新右團次さんが凄みたっぷりに。

実はこの子供は出奔した梅若丸。。。

そのことを知った淡路の七郎は

返すために天井に隠していた

金貨がザクザクと降り注ぐ中で

非を悔いて壮絶な最期を迎えますが

なんと天狗に生まれ代わります。

”なんと”が続くのもザ歌舞伎

我が子を探し彷徨う班女御前が

攫われた松若丸と再会し正気に戻り

お家再興のために都へ向かいます。

天狗となった七郎と松若丸と

3人そろっての宙乗りを披露

途中で新右近くんがバランスを

崩したフリをするのもご愛嬌です

物語はまだ続きます

「鯉魚の一軸」に鯉を戻すために

七郎天狗とは別役の新右團次さんが

本物の大量の水の中で大暴れ

”3人宙乗り”に””鯉つかみ”など

豪華絢爛な見せ場が盛り沢山の

通し狂言「雙生隅田川」は

今月27日まで新橋演舞場です

「澤瀉屋の精神を右團次の名を

通して後世に広げていくことです」

屋号が高嶋屋に変わる新右團次さん。

猿翁さんから贈られた言葉は”翔べ”

代々受け継がれていく歌舞伎。

気の早い話しですが新右近くんの

また次の世代へと想いを馳せると

なんだかワクワクする襲名でした

6歳の新右近くんの初舞台は

観ておいて絶対に損はありません