一期一会
財布が悲鳴を上げていますが
お芝居は”一期一会”とりあえず
足を運べるものは運びまーす
歌舞伎座の壽初春大歌舞伎の
夜の部を先日は観てきました
幸四郎さんの「井伊大老」は
井伊直弼が桜田門外の変で
暗殺される前夜を描いた作品
開国か攘夷かで揺れる幕末。。。
幼くして亡くなった娘の命日に
娘のための艶やかな雛飾りを前に
側室お静の方と共に酒を酌み交わし
避けられぬ運命を受け入れていく
”人間”井伊直弼を幸四郎さんが熱演。
貧しくも幸せだった埋木舎で食べた
豆腐の美味しさを思い出しながら
あの頃に戻りたいと懐かしむ2人。
品格を損なわずに初々しいさを醸す
玉三郎さんが月日を巻き戻すよう
足軽の娘であるために側室待遇の
お静の方は直弼から生涯の妻だと
言われて幸せを噛みしめます。
国を想い開国を断行しようとする
世間から国賊と謗られ悩む直弼に
「正しい行いをするのだから
未来の評価などどうでもいい」と
一緒に死ぬ覚悟をしているお静の方。
「政をする人間は捨て石にならねば」
お静を抱きしめながら決意を固めます。
仙英禅師が直弼とお静の方に
残したメッセージは「一期一会」
桃の花に降り注ぐ季節外れの雪。。。
喜びと哀しみが織り込まれた月日の
移ろいが見える美しい場面でした。
幸四郎さんと玉三郎さんの
組み合わせ観られて良かった
初代中村吉右衛門さんが得意とした
播磨屋中村吉右衛門家のお家芸
”秀山十種”の1つ「松浦の太鼓」も
忠臣蔵の討ち入り前夜の物語
大石内蔵助や四十七士達を
影から支援する大名松浦鎮信を
染五郎さんが愛嬌たっぷりに
吉良邸の隣に住む松浦鎮信は
なかなか吉良邸に討ち入りしない
赤穂浪士に苛立ちを募らせます。
松浦家に奉公している赤穂浪士の
大高源吾の妹お縫に当たり散らす。
ただし怒っているにも関わらず
どこか憎めない空気を上手に
作り出している染五郎さんお見事
討ち入り前夜の悲壮感を感じさせず
肩の力が抜けていて楽しんで
観られる忠臣蔵外伝でした
歌舞伎座も今月26日までです