息遣いを。。。
十二月大歌舞伎を観てきました
今月は三部構成でそのうちの
二部「吹雪峠」「菅原伝授手習鑑」
三部「二人椀久」「京鹿子娘五人道成寺」
押し殺した演技で魅せてくれました
猛吹雪の夜に山小屋に駆け込んだ
助蔵(松也さん)とおえん(七之助さん)
実はおえんは兄貴分の女房。。。
兄貴直吉の存在に怯えながら
身を隠し暮らしている2人でしたが
なんと山小屋に直吉が現れます
悪いのは自分だとお互いに
かばい合い詫びる助蔵とおえんに
女房のことはすっぱり諦めたと
一度は口にした直吉でしたが。。。
仲睦まじい様子をそばで見ていて
次第に心が波立ち目の前から
消えてくれと強く求める直吉。
殺気を纏った直吉が刀を抜くと
2人は相手を罵り命乞いをする。。。
本性を剥き出しにする2人を
哀しく見つめる直吉の冷たい目。
自分の胸のうちに吹き荒れる
嵐を抑えきれない直吉は1人
高笑いをしながら吹雪の中へ。。。
声にならない直吉の悲鳴が
聴こえてくるような切ない幕切れ。
人間の愚かさや憐れさを
痛感させられる作品でした。
子供を身代わりに差し出す
松王丸を勘九郎さんが骨太に
何度、観ても胸が苦しくなる
母千代と息子小太郎の別れの場面。
我が子の姿を目に焼き付けるように
立ち尽くす七之助さんの全身から
伝わる狂おしいほどの苦悩。。。
寺子屋を営む武部源蔵夫婦を
演じたのは松也さんと梅枝くん。
忠義のために人の子に手をかける
源蔵夫婦も難しい役所ですが
若手コンビが頑張っていました
声も良しセリフ回しも良い
梅枝くんは注目の女形です
玉三郎さんの素晴らしい舞を堪能
いま乗りに乗っている若手の女形
七之助さん梅枝くん児太郎くんと
白拍子5人という艶やかさの中で
全く引けを取らない玉三郎さん
語りかける目線や柔らかい所作など
玉さまから目を離せませんでした
2016年もこれで見納めでしたが
伝統が受け継がれる瞬間に感動し
若手の活躍に刺激をもらった1年
拙い観劇日記ではありますが
お付き合いいただき感謝です
歌舞伎の魅力を知ってもらえるよう
来年もコツコツ歌舞伎座に足を運んで
息遣いを伝えていきたいと思います
新春は恒例の浅草歌舞伎
2017年も楽しみです