闇に生きる。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

闇に生きる。。。

Bunkamuraシアターコクーンにて
秋元松代さん作・蜷川幸雄さん演出
『元禄港歌~千年の恋の森~』を観劇


初演から36年ぶりの復活だそうひらめき電球
photo:01


経済や文化が花開いた元禄時代。
活気溢れる港町を舞台に男と女
親と子の運命が絡み合う悲哀の物語。


身分や貧富の差そして男女の差別。


今も昔も変わらず格差により虐げられ
思うままに生きられない人々がいる。


三味線弾きを生業に町から町へ
旅をする盲目の女芸人"瞽女(ごぜ)"


その瞽女の座元糸栄を猿之助さん。


"歌舞伎のアプローチしかできないし
それ以外やろうとは思わない"


宮沢りえさん演じる初音と
共に手を引かれ登場した糸栄。


"舞台上でも糸栄は特別な存在"
猿之助さんが自らこう言うように


瞽女達の来訪を喜ぶ賑わいの中で
静かに佇むその立ち振る舞いだけで


情念や業の深さが滲み出せるのは
やはり歌舞伎の女型ならではひらめき電球


そして年上の宮沢さんと並んでも
違和感なく母親に見えるのもすごいビックリマーク


瞽女の弾き語りが響く大店筑前屋。
全ての男女の糸はここで絡み合う。


自分の出自に疑問を持つ筑前屋の
長男信助を演じるのは段田安則さん。


段田さんも猿之助さんより年上叫び
実は信助は筑前屋の主人と糸栄の子。


名乗りをあげられない親子も哀しいが
なさぬ仲の息子を何も言わずに
育ててきた女将お浜もまた切ない。


亭主との会話の端々に嫌味を交え
出来の悪い次男を溺愛するお浜を
演じた新橋耐子さん素晴らしかった。


舞台上を覆うのは大きな椿の木ブーケ1
真っ赤な花が絶え間なくポトッ
ポトッと音を立て降り落ちてきます。


登場人物の動きやセリフとは
一見、関係ないように見えますが


女達の胸に秘めた想いが揺れる時に
隠しきれない情念が椿の花となって
産み落とされ舞台が人間の業で
埋めつくされていくようでした。


そして物語は悲劇的な結末に。。。


闇に生きるのは瞽女達だけではない。
誰もが本能で真実の愛を希求し
運命に抗おうとしている。。。


劇中歌を唄うのは美空ひばりさん。
哀切を掻き立てながらも母親のように
全てを優しく包み込む歌声でした。


『母親世代や生活者の眼差しに
耐えうる舞台を創れているか』


80歳を超えてなお闘い続ける
蜷川さんの気迫が痛いほど
伝わってくる舞台でした。。。



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