せまじきものは。。。 | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

せまじきものは。。。

三月大歌舞伎は通し狂言
『菅原伝授手習鏡』
夜の部も観てきました音譜

photo:01


三つ子の兄弟が敵味方に別れて
対決する「車引」では流罪になった
道真の舎人梅王丸(愛之助さん)や


流罪のきっかけになってしまった
斎世親王の舎人は桜丸(菊之助さん)


そして兄弟の中で唯一敵方時平の
舎人である松王丸(染五郎さん)の
三者三様の荒事が見所ですひらめき電球


三つ子が身に付けている着物は
色鮮やかな紫色の「童子格子」


とにかく勇ましい荒事を梅王丸。
争っていても柔らかでしなやかな
桜丸は優しさが滲み出る演技。


スケールの大きな松王丸と
様式美を堪能できる一幕でしたアップ

photo:02


そして父親の70歳を祝うために
三つ子夫婦が集まる「賀の祝」


見所は道真の流罪の責任を
取るために桜丸が切腹する場面。


その前に梅王丸と松王丸が喧嘩し
庭に植えられた桜の木の枝を
折ってしまいますがまるで
桜丸の行く末を暗示するよう。。。


自害しようとする夫を必死で
止めようとする桜丸の女房八重。
またまた梅枝さん頑張ってましたニコニコ


なんと言っても"菅原伝授"で
見せ場となるのが「寺子屋」


道真の息子菅秀才の命を
守るために苦悩する二組の夫婦。


去年10月に勘三郎さんの追悼講演で
勘九郎さん七之助さん兄弟と


仁左衛門さん玉三郎さんという
組み合わせでも観ましたが


今回は若君を匿っている
寺子屋の武部源蔵を松緑さん
妻の戸波を壱太郎さん。


匿っていることが暴露て
首を差し出せと迫られる2人は
違う子供を身代わりにする事に。


果たして松王丸を騙せるか。。。


緊迫した雰囲気の中で
首実検をする松王丸。


何故確かめるのが松王丸なのか?
敵方で松王丸だけが
顔を知っているからです。


実は身代わりになったのは
松王丸の息子小太郎でした。


身代わりにすることを決め
我が子を寺子屋に連れて行った
松王丸の妻千代を孝太郎さん。


これほど切なく身を引きちぎられる
別れの場面はありません。。。


意を決して身代わりの
子供の首を差し出した源蔵ですが
もちろんその子が松王丸の
子供であることを知りません。


「秀才の首に相違ない」
自分の分身である我が子を前に
こう言い切り立ち去る松王丸。


そして。。。


母親も始末する覚悟をしていた
源蔵夫婦の前に現れた千代が一言。


「菅秀才のお身替わり
お役に立ててくださったか」と。


呆然とする源蔵夫婦に
松王丸も現れて訳を説明します。


「にっこり笑うて」死んだという
息子小太郎の健気な最期を聞いて
泣き笑いする松王丸の姿に
もらい泣きせずにはいられませんあせる


「せまじきものは宮仕えじゃなぁ」


勘当されていても主人へ
忠義を尽くす源蔵夫婦と
敵方に付きながらも
我が子を差し出した松王丸。


仁左衛門さんの松王丸は
もちろん言うことなしでしたが


豪気さの中に父親の情愛が滲む
染五郎さんもすごく良かったですアップ


我が子を身代わりにした千代は
やはり玉三郎さんの押し殺した
演技が目に焼き付いていて
なかなか勝る人はいませんねショック!


今に生きる私達には理解し難い
理不尽な時代に翻弄される
葛藤や苦悩をどう表現するか


役者の想像力や力量が試される
『菅原伝授』はやはり奥が深いクローバー

photo:03


歌舞伎は面白いですよニコニコ音譜
まだ観ていないという方は
ぜひ一度足をお運びくださいひらめき電球


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