最後のハムレット | 町亞聖オフィシャルブログ「As I am」Powered by Ameba

最後のハムレット

蜷川幸雄さん演出80周年記念の
『ハムレット』観てきました音譜

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まず劇場に足を踏み入れて
意表を突くのは今にも埃を立てて
崩れ落ちそうな古びた長屋のセット。


シェークスピアが日本に紹介された
19世紀の風景でハムレットの
最後の稽古が行われていると
字幕で説明が書かれています。


ここは日本なのか西洋なのか
この世かあの世なのか。。。


ハムレットは言わずと知れた
父親を殺し王の座についた叔父に
復讐するデンマーク王子の物語。


蜷川ハムレットを演じるのは
2度目となる藤原竜也さん。


「蜷川さんの"最後のハムレット"を
やりたい」と出演を直訴したそう。


藤原さんと言えばいつどこで
息継ぎをしているのかと
思わせる怒涛のセリフ。


今回は一つ一つの言葉の意味を
深く噛み締める事が課題と藤原さん。


時々、抑制が効いてましたが
12年前に演じた時はもっと
たたみ掛けるようだったんですねあせる


以前、観た「お気に召すまま」では
急に"巨大福助"が出てきて
驚いたことがありましたが


今回も巨大な雛飾り、読経、
歌舞伎の定式幕など異質感満載ひらめき電球


兄を殺し王座と王妃を手に入れた
クローディアスを平幹二朗さん。


罪の意識に苛まれる
現王のクローディアスは
古びた共同井戸の前で
いきなり水垢離を始めます。


肉親を殺してまでも権力を
手に入れた欲望の塊の現王。


しかし王のガウンを脱ぎ
腰巻一枚になればそこには
老いさらばえた肉体が。。。


長屋に青き光に包まれ姿を表す
王の亡霊と現王の二役を熱演した
平さんの浪々としたセリフは
年齢を全く感じさせませんでしたアップ


ハムレットが元夫の弟と同衾する母に
浴びせかける"近親相姦"という言葉。


しかしこの言葉を口にすればするほど
ハムレット自身の母への愛憎が増し
心が掻き乱される様子が辛い。。。


そのほか満島姉弟が兄姉役。
2人は腐敗した汚らわしい世の中に
咲く純白の花のようでありながら


本当の姉弟が演じることで
血の濃さを生々しく感じさせる
密接度が自然に生まれていました。


そして2回しか出番がないのに
強烈なインパクトだったのが
ノルウェー王子フォーティンブラス。


力や次世代の象徴のはずなのに。。。
はだけた白いシャツから覗くのは
肋が浮き上がるほど痩せた青白い身体。


セリフは息をすまさないと
聞き取れないような囁き声。


陰謀、欲望、復讐心に絡めとられた
デンマーク王室の人々は死に絶える。


フォーティンブラスは
古びた長屋の前に
横たわる屍を踏み越え
新しい王の誕生を静かに宣言する。


観ている側も喉に刃を
突き付けられるような
息苦しさを感じる物語から
一転、本当に静かな幕切れでした。


蜷川舞台の全てを理解し
語れるほどの知識はありませんが


同じ時代に生きていて蜷川舞台に
触れないのはもったいない
とにかく観て良かったですクローバー


80周年記念の蜷川シェイクスピア
彩の国さいたま芸術劇場にて
2月15日まで上演していますニコニコ



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