背負う覚悟
今月の歌舞伎座は
若手による花形歌舞伎
夜の部『東海道四谷怪談』では
伊右衛門を染五郎さん
お岩は菊之助さんで2人とも初役。
『四谷怪談』を観るのは初めて
しかも初役を観られるのは非常に貴重
実はお岩役は先祖の三代目菊五郎が
初演し生涯の当たり役として
9回も演じていた役なんだそう。
5、6年前に勘三郎さんが菊之助さんに
「全部教えるから、やれ!」と
言ってくれていたそうですが
残念ながら機会がなく。。。
今回は玉三郎さんに
教えてもらったそうです
『同世代の染五郎さん、
松緑さん、愛之助さんたちと
やらせていただけるのは
嬉しいことですし緊張感もあります。
底なし沼のドロリとした
人間の深い闇の部分を
演じられれば』と菊之助さん
菊之助さんは他に
佐藤与茂七と小仏小平の
三役の早替わりや
提灯の中から飛び出し
そのまま宙吊りになったり
毒薬のせいで腫れた顔での
『髪梳き』の場面も息を飲みました。
また今回30年ぶりに
上演された「蛍狩」の場
伊右衛門とお岩にもこんなにも
美しく幸せな時間があったのかと思うと
人生が狂ってしまった伊右衛門の悲哀と
愛する伊右衛門に裏切られ
怨霊になるしかなかった
お岩の深い悲しみが
切なくてたまりませんでした。
悪いヤツでもいい男を
『色悪』と言いますが
まさに色悪の代表格伊右衛門。
伊右衛門はお岩の父
お岩を捨て婿入りしようとした
隣家の娘お梅とその父
その後偶然出会ったお梅の母までも
川に突き落として殺してしまいます。
そんな伊右衛門に悪事仲間の
松緑さん演じる直助権兵衛が
「お前もよっぽど強悪だなァ」と言うと
「首が飛んでも動いてみせるわ」
と伊右衛門は開き直ります。
こちらの心にもどす黒い感情が
沸き起こるくらいにどうしようもなく
憎らしい極悪非道の色男でした
年内にパパになる菊之助さん
『勘三郎さんと、團十郎さんが
亡くなってから、もっと歌舞伎を
死に物狂いでやらないといけないとと
以前よりずっと強く思っているので。
歌舞伎にかける時間が
すごく増えた、と言うよりは
生活が歌舞伎しかないですね。』と
勘三郎さん團十郎さんと
大きな存在を失った歌舞伎界でしたが
若手達が口々に歌舞伎界を
背負う覚悟を語っています
まだ発展途上かもしれませんが
後世に語り継がれること
間違いなしの若手の第一歩に
立ち会えていることに感謝
歌舞伎観るなら"今でしょ"ですよ
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