「薬剤師になろう」っていう深夜番組を見た。

娘が通っている大学の地方懇談会で、薬剤師は4年制から6年制になり、増えた2年で実習重視の教育を施し、現場で直ぐ使える人材を育成する、という話を聞いていた。4年制の時も、病院、調剤薬局での実習があったが、より長期間、内容が充実した実習ということなのだろう。

番組ではこれから就職する5年生の学生に病院、MR、調剤薬局での薬剤師の仕事を見学させ、感想を聞くといったものだった。特に印象深かったのは、病院実習の打ち上げ会の様子だった。医師、歯科医師、理学療法士、看護婦、薬剤師がチームを組んで、医療現場で実習を行い、実習終了後、居酒屋で打ち上げを行っていた。
薬学部のその学生は「みんな対等なんだ!」と大学で教えられていて、病院で薬剤師の評価が低いのが非常に不満で、「医療現場で薬剤師が必要とされていない。それを何とかしたいんだ・・・」と何度も繰り返していた。

薬学科へ通っている娘と一緒に見たのだが、かなり違和感を覚える番組だった。
2回入院したことがあり、薬は毎食後飲んでいたのだが、入院中、薬剤師と接触した覚えがない。元々、医薬分業で病院から出てしまった薬剤師が現場医療で必要とされるとはちょっと思えない。
現場から離れてしまった薬剤師。実際、患者を持っていない薬剤師が、医療現場で尊重されることはないだろう。

番組中、MRの女性が「薬については医師より私達の方が詳しいですよ。特に副作用については。」と言っていた。娘の勉強している科目を見ると相当中身が濃く、医師が大学6年間に薬学を薬剤師並に勉強する時間はないのではないかと思う。医師は人体や病気に詳しいし、実際、入院すれば患者に対して責任を負う立場なので一番、信頼されるのが当然だ。ただ、選定した薬の副作用について薬剤師に意見を求めるといった程度のことはあっても良いのではないかと思う。医師のプライドがそれを許さないだろうが。

薬剤師としては医師と相談して患者の薬を選定したいところだが、医師からみれば身近にいない(病院にいない)どうかすると顔も見たことがない薬剤師と相談するような環境にはない。また、そういった環境は薬剤師会が望んで作ったのではなかったか。私が子供時分には、院内処方がほとんどで、病院内で薬をもらっていた。処方箋をもらって、「病院を出て、左に行ったところに薬局がありますから、そこで薬をもらって下さい。」と窓口で言われるようになったのは30年くらい前からだろうか。

素人からみて、薬剤師の仕事は創薬、製薬、調薬ではないかと思う。
かつて、薬は自然物から抽出していたので、製造工程も簡易なものだったのだろうが、現在は化学反応で薬を作っている。また、大量に生産し、小分け作業も必要だ。そういった現場には必ず薬剤師をおくように法律で義務づけられている。逆にこういった工場では医師は必要ない。

化学薬品を扱っていると、薬剤師以上の資格は存在しない。化学品の中でも最も付加価値のある医薬品を製造しようとすると薬剤師資格が必要になる。医薬品といっても色々ある。抗がん剤もあれば、透析用の単なる重曹だって医薬品だ。酸素、亜酸化窒素のようなガスだって医薬品だ。工業的に医薬製品を製造する現場では必ず、薬剤師が必要なのだ。

そうして考えると、薬剤師は医療系の資格というより化学系の資格と考えた方が良いのではないかと思う。医薬分業で病院から出てしまったのだが、やはり医療の一員として認めてもらいたいというのは無理な相談ではないだろうか。