『システム英単語』(以下『シス単』)と『DUO3.0』(以下『DUO』)は、大学受験における二大ベストセラー英単語集である。
『シス単』はミニマルフレーズによる効率性、『DUO』はゆるやかなストーリー性のある560の例文に重複なしで多数の英単語・熟語を盛り込むことによる効率性、という優れた特徴を有する。
いずれも魅力的な単語集である。一方の単語集のみを選択することは、もう一方の単語集にのみ掲載されている単語を取り立てて学習する機会を捨てることを意味する。しかし、どちらを選択すると何を捨てることになるのかが、判然としない。それを具体的に明らかにしたうえで、最小の努力で最大の効果を上げる戦略を提示するのが、この記事の目的である。
なお、念のためにいうと、中学英単語の習得が不十分な場合は、中学英単語の学習が先決である。手っ取り早く中学英単語を学習するには、「ユメタン0」のiPhoneアプリ版がおすすめである。
両単語集について単語重複度調査を実施した結果は、次のとおりである。
『シス単』(2028語※)
A:884語/2028語=約43.5%
B:1144語/2028語=約56.5%
※2028語は、第1章~第4章の見出し単語の総数である。「第5章 多義語のBrush Up」および各章の「ジャンル別英単語」は分析の対象としていない。「第5章 多義語のBrush Up」はその秀逸なまとめにこそ意義があり、重複有無を度外視して独立して学習すべきであること、「ジャンル別英単語」は工夫がなく覚えにくい、定食につく干からびたパセリのような存在であること(食べたい人だけ食べればいい)、による。
『DUO』(2569語)
B:1144語/2569語=約44.5%
C:1425語/2569語=約55.5%
『シス単』と『DUO』に共通して掲載される単語(B)は1144語である。これは、『シス単』からみると約56.5%に、『DUO』からみると約44.5%に相当する。「どちらか気に入ったほうを使えばいい」というありがちなアドバイスに疑問を生じさせるに十分な、低い割合である。
ちなみに、A(『シス単』に掲載かつ『DUO』に非掲載の884語)の章別内訳は次のとおりである("/"の右側は、その章の総語数)。
第1章 Basic Stage (最頻出単語) | 128語/600語=約21% |
第2章 Essential Stage (センター) | 217語/605語=約36% |
第3章 Advanced Stage (私大、国公立2次) | 276語/487語=約56.5% |
第4章 Final Stage (最難関) | 263語/336語=約78% |
第1章から第4章へと単語の難易度が高まるにつれ、『シス単』にのみ掲載されている単語の比率も高まっている。
両単語集の掲載単語には無視できない大幅なズレがある以上、一方の単語集を習得するだけでなく、もう一方の単語集のズレの部分をも習得するのが最善である。ただし、迅速に、しかも効率的に。
その方法には、いずれの単語集を基本とするかによって、観念的には次の二通りがありうる。
しかし、1.の方法は実際的でない。『DUO』は、複数の単語を盛り込んだ例文からなるという構造上、特定の単語をピックアップしてそれだけを学習するのには向かないからである。例文単位で学習すれば、必然的に、対象外の単語もそこに含まれてしまう。差分(C)のみを学習対象とすることが実際には不可能なのである。
結局のところ、労力の最小化を追求するならば、2.の方法によるほかない。
2.の方法を実現するには、『シス単』の『DUO』に対する差分となるA(『シス単』に掲載かつ『DUO』に非掲載の884語)の内容を具体的に明らかにしなければならない。そこで以下にそのリストを一挙に公開する(PCのみ。スマホなどで表示されない場合はこちらをクリック)。
単語右肩の*は、その単語自体は『DUO』に非掲載だが、派生語が『DUO』に掲載されていることを示す。