慣用句の秘密兵器(PC/モバイル・アプリ版)の公開/Ankiのすすめ | 学習メモ。

学習メモ。

長男(開成→東大理1[2016現役・専願]→東大大学院情報理工学系研究科→大手外資系IT企業)、長女(桜蔭→東大文1[2020現役・専願・TLP仏語]→東大大学院人文社会系研究科)の生活,中学・大学受験。暗記はAnkiが9割。リスニングは英語アニメが10割。

目次

1.はじめに

2.特徴

3.基本的な使い方

4.ダウンロードとインストール

5.よくある質問

6.おわりに~Ankiのすすめ

 

1.はじめに

  長男が中学受験した当時の古い記事で,現在でもアクセス数が非常に多いのが,四谷大塚のテキスト(予習シリーズや四科のまとめ国語)の慣用句について述べた記事「慣用句学習の効率化~用例付自作教材の公開」である。

  要約すると,まず,四谷大塚の5年生の平常学習時にも,慣用句については予習シリーズ5年の該当箇所より,6年生用の総まとめ教材『四科のまとめ国語』が使いやすいという趣旨を述べた。
  そして,『四科のまとめ国語』にも,(1)本文と別冊解答を見比べるのが不便,(2)用例が掲載されていない,という難点があると指摘した。

  私は,その難点に対応するために,(1)解答を問題の近くに表示させ,(2)用例を穴埋め問題形式で追加し,また『ちびまる子ちゃんの慣用句教室』の掲載頁を付記して,自作教材のPDF『中学受験慣用句400』として公開した(前述の記事からダウンロードできる)。

  このようなマイナーなブログにもかかわらず,現在でも,コンスタントにダウンロードされており,かなりご利用いただいている。
  四谷大塚の当時の『四科のまとめ国語』に準拠した内容であるが,四谷大塚生にかぎらず中学受験生一般の慣用句学習にとって必要十分な量をカバーしている。

  今回,この自作教材『中学受験慣用句400』(PDF版)と同じ内容をPC上またはスマホ上で演習できるようにするために,暗記学習ソフト Anki用のデッキ形式に変換した(「中学受験慣用句400.apkg」)。

  このAnkiデッキ(「中学受験慣用句400.apkg」)をPCソフトAnkiに読み込むことでPC上で効率的に演習できる。一問一答ごとに理解度をボタンで申告するので,それに従い適切なタイミングで復習スケジュールが組まれる。毎日演習していれば自然と定着するという仕組みである。

  また,Ankiデッキおよびその解答履歴はAnkiwebという無料サーバーを介して,モバイルアプリ(iPhone/iPad/IPodTouch用のAnkiMobile(有料3,500円),Android用AnkiDroid(無料))とも同期する。したがって,家のPCで学習したり,出先のスマートフォンで学習したりと,別々の環境で学習しても,前回の続きから学習できる。そこまでの設定方法についてはここでは解説しない。さしあたり,PCまたはモバイル端末での演習ができるようにするところまで解説する。これがもし相互に同期できれば有用であると判断できたら,各自,Ankiwebのアカウントをとる(無料)などして環境を構築するとよいだろう。

 

2.特徴
  • 『四科のまとめ』最新版の慣用句の章を完全収録し,Ankiデッキ化。
  • 『四科のまとめ』(旧版)にのみ掲載され、現行版では削除されたレベルC2〜C9も収録
  • 『予習シリーズ』にのみ掲載された3語を補充。
  • 全語に例文を表示(『四科のまとめ』には例文の掲載はない)。
  • 空欄補充形式の問題として出題。
  • ちびまる子ちゃんの慣用句教室』該当ページ番号を解説に記載。
  • 進捗状況を新幹線の走行位置として上部に表示。
  • Ankiの分散学習アルゴリズムにより、定着に効果的なタイミングで復習可能。

 

3.基本的な使い方
  1. Ankiを開いた直後のデッキ一覧画面における「中学受験慣用句400」の左側に「+」「ー」印がある。これをクリックすると,中項目(レベルA・レベルB・レベルC・補充問題)・小項目(レベルA1〔身体〕,レベルA2〔身体〕…)に分かれたサブメニューを開閉できる。
  2. 演習したい項目をクリックする。たとえば,「レベルA」のサブメニュー「レベルA1〔身体〕」をクリックすると以下のようになる。
  3. 「学習する」をクリックすると,問題演習が開始する。問題画面は以下のとおり。
  4. 自分なりの解答を頭で考えたうえ「解答を表示」をクリックする。すると解答・解説画面となる。
  5. 解答・解説の内容をみて確認・学習したうえで,その時点での自分の定着具合をふまえ,「もう一回」「普通」「簡単」のうちから,選択する。間違えたなら当然「もう一回」だろうし(1分後に再出題される),即答レベルで知っていたなら「簡単」を選択する(当分再出題されない)。このようにして,1問ごとに適切な復習タイミングをソフトが自動で判断してくれるのが,PCならではの便利なところである。

 

4.ダウンロードとインストール

■パソコン(Windows・Mac)の場合

  1. Ankiソフトウェアのインストールがまだの場合は、Anki公式ホームページからお使いのパソコンのOSに応じたAnkiソフトウェアをダウンロードし、パソコンにインストールする(英語サイトだが、直感で可能だろう。手順の説明は、外部サイト「Ankiのインストール」に委ねる)。
  2. 下記からAnkiデッキファイルをダウンロードする。
    ※Windows10の標準ブラウザであるEdgeではダウンロードに失敗する。うまくいかない場合、Internet ExplorerChromeFirefoxなど別のブラウザでダウンロードしていただきたい。

    中学受験慣用句400.apkgを
    今すぐダウンロード
    (86KB)

  3. Ankiデッキ「中学受験慣用句400.apkg」をPC上のAnkiソフトに「読み込む」。具体的な手順は以下のとおり。
    (1) PC上のAnkiを起動する。
    (2) Ankiのファイルメニューから「読み込む」を選択する。

    (3) ファイル選択ダイアログが開く。下部の「ファイルの種類」を「パッケージ化されたAnkiデッキ/コレクション(*.apkg *.colpkg *.zip)」とした状態で,先に本記事からダウンロードした「中学受験慣用句400.apkg」を選択する。すると,下記の図のように「中学受験慣用句400」がAnkiのオープニング画面のデッキ一覧に現れる。これで,準備は完了である。

■iPhoneアプリ「AnkiMobile」の場合

  1. iOS端末(iPhone/iPad/iPodTouchなど)へのAnkiMobleアプリのインストールがまだの場合は,AppStoreで購入してインストールする(¥3,500円)。
  2. iOS端末でこの記事にアクセスし,以下のダウンロードURLをコピーする。
    http://anki.myqnapcloud.com:8080/share.cgi?ssid=63d24ecb8b2041f8ba8b63902fe5c6dc&openfolder=forcedownload&fid=63d24ecb8b2041f8ba8b63902fe5c6dc
  3. AnkiMobileを起動し,トップ画面左下の「追加/エクスポート」をタップする。
  4. 「リンクをダウンロード」をタップする。
  5. あらわれた空欄に2.でコピーしたURLをペーストし,「OK」をタップする。
    ※空欄を長押しすると「ペースト」が選べるようになる。

■Androidアプリ「AnkiDroid」の場合

 

  AnkiDroidは無料アプリである。インストールがまだの場合、GooglePlayからインストールしよう。

  AnkiDroidには、iOSアプリ「AnkiMobile」のようなダウンロードリンクから直接ダウンロードする機能がない。したがって、以下のいずれかの方法によることになる。
(ア)Android端末のGoogle Chromeでこの記事で公開しているAnkiデッキ(「中学受験慣用句400.apkg」)をダウンロードし、それをAnkiDroidでインポートする。

(イ)パソコン版のAnkiにこの記事で公開しているAnkiデッキ(.apkg)を読み込み、AnkiWeb経由でAnkiDroidと同期する(AnkiDroidマニュアル「Ankiとあわせて使う」参照)。
(ウ)パソコンにダウンロードしたデッキファイル(.apkg)をUSBメモリ等でAndroid端末に移動してAnkiDroidでインポートする(→AnkiDroidマニュアル「ankidroidで手動でファイルをインポートする」参照)。

 

5.よくある質問

 

Q. 新規カードの上限変更1日に学習できる新規の問題数が20問で固定というのは少ないのですが,変更できませんか?

A. 次のようにして変更できます。

 

ア.永続的に変更したい場合

 

■パソコン(Windows・Mac)の場合

  1. デッキ一覧画面でデッキの右側の歯車を長押しし,「オプション」を選択する。
  2. 「1日あたりの新規カード出題枚数の上限」を好きな値に変更し,OKをクリックする。

■iOSアプリ「AnkiMobile」の場合

  デッキを開いた状態で,右下歯車→「学習設定」とタップし、対象デッキを選択のうえ,「新規カードの1日の上限」の値を変更する(図では50枚に設定変更している)。

 

イ.その日だけ一時的に変更したい場合

 

■パソコン(Windows・Mac)の場合

  「カスタム学習」-「今日の新規カードの上限追加」より,一時的に新規カードの枚数を増やすことができる。

       ↓

 

■iOSアプリ「AnkiMobile」の場合

  デッキを開いた状態で,右下歯車→「カスタム学習」とタップし,「今日の新規カードの上限を上げる」にチェックし、「新規カード増量」の値を指定し(図では10枚追加と指定している),「完了」をタップする。

 

6.おわりに~Ankiのすすめ

  Ankiは非常に多機能である。たとえば,デッキのデザインを自分好みにしたければ,問題演習画面左下の「編集」ボタン-「カード」-左真ん中の「書式」欄で,CSSと同じ方式で変更可能である(その他,様々な効果的な使い方については,外部記事「はじめてのAnki」が参考になる。)
  我が家の場合,中学受験では難語2000やサピックス6年のステップアップカード地理データバンク理科・社会コアプラス漢字の要の暗記に使用してきた。
  とりわけ最も効果を発揮するのは,中学以降での英単語学習である。音声再生機能とキー入力回答機能(正誤判定付き)のおかげで,最大の武器となっている(近年,英単語学習のためのiPhoneアプリが充実してきているが〔ユメタン0やターゲットシリーズの完成度が高い〕,音声再生はできてもキー入力による回答機能がないものが多いのがスペリングの定着には惜しい)。

  ただし,一般のユーザーにとっては,自分で単語データを用意しなければならないことが最大のネックになる。自分でいちいち入力していたのでは労力対効果のパフォーマンスが悪い(作業で勉強した気になるのは最悪のパターンである)。自作する場合のコツは「Ankiデッキ自作の勘所」を参照。

  Ankiには「共有デッキ」という,ユーザーが自作のデッキを共有させる機能があるが,少なくとも中学受験用途では,信頼して使えるデッキが見当たらない。
  結局のところ,既存の教材などからデータを流用したり,教員や保護者がデータを入力するなどして用意して使うのが現実的である。

  ともあれ,慣用句に関しては,こうしてデッキを用意したので,使っていただければ幸いである。
  もっとも,PDF版で用が足りている場合に無理して使わなくてよい。PDFから印刷した紙には,「一覧性」という優位点があるので。

  なお,最低限「問題/解答」程度の単純な規則的なテキストデータないしExcelデータなどさえあれば,それをAnki用にコンバートすることは容易である。Ankiデッキの自作を考えながら,どうやっていいのかわからないという方にはAnkiデッキ形式への変換を代行してもよい(テキストデータないしExcelデータをDropboxGoogleスプレッドシートなどにアップしたうえで,その共有リンクURLをこちらにメッセージしていただけば,Ankiデッキ形式に変換したものの共有リンクを返信する)。

  また、漢字の学習にAnkiを利用しようとする場合、解答は教科書体で表示するのが最善である。端末のOSに依存せずに教科書体表示を実現するためには,教科書体表示の漢字を画像として組み込む必要がある。当方では、漢字→画像変換の自動化も実現している。漢字→教科書体画像変換も引き受け可能である。

更新履歴

2014年8月15日

  • 初公開。

2018年8月16日

  • デザイン一新。
  • 新幹線による進捗表示を上部に追加。

2020年2月20日

  • AnkiMobileの日本語化に伴い、説明を対応させた。