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2024年9月24日

 

Day01

 

大谷翔平がメジャー初の地区チャンピオンを目指す、同地区の宿敵強豪、サンディンゴ・パドレスとの終盤3連戦を、本拠地ドジャースタジアムへ観戦に行く旅。

 

ドジャースタジアムへは、過去4度の観戦経験がある。一度目と二度目は、野茂英雄旋風がメジャーリーグを身近な存在にしてくれた、1996年と1997年の夏。

 

三度目と四度目は、自身がハワイ北米地区の駐在任務を担っていたときに観戦に訪れた、2009年と2011年の夏。

 

最後の2011年8月8日のゲームは、今は亡きフィリーズの殿堂入り投手、ロイ・ハラディと黒田博樹の投げ合いだった。

 

 

13年ぶりのドジャースタジアム。大谷がメジャー入りしてからは一度も訪れる機会の無かったボールパーク。

 

今回の渡米プランは、いつも以上に極力旅費をセーブし、倹約に努めることをテーマにプランニングしてきた。

 

そのことが諸々の仇となり、大きな失敗を招く原因にもなったが、それもこれも旅の醍醐味として思い出に残す。そんな個人的、備忘録を綴る。

 

まずは日本を出発してから現地ロサンゼルスへ到着後、一戦目を終えたところまでの観戦記。

 

誰も想像しえなかった、トリプルプレーの劇的な幕切れ。そのとき、自分は複雑な心境で戦況を見守っていたーーーーー。

 

不安な旅立ち

 

観戦前記を書き終えて航空会社のラウジンを出たのは、出発時刻の1時間前。いつもより早めにゲートへ向かった。

 

実は、旅程の不安要素を抱えていた。

 

今回の往復渡航は、いつものマイルで予約していなかった。通常の2倍以上の必要マイル数に、燃油サーチャージで、約9万円も出費がかかった為だ。

 

エクスペディアで調べると、約11万ちょっとでロサンゼルスまで飛べるチケットが見つかった。難点は、往路がロサンゼルス直行に対して、復路がダラス経由の遠回り帰国になることだった。

 

3万ちょっと追加代金を支払えば、直行便を手配することもできたが、倹約が頭にあった。

 

帰国日は土曜日予定だったし、一日休みの余裕もあり、のんびり帰国する方法を予約時には決断した。

 

問題に気づいたのは、出発直前に旅程の再チェックを行っていた時だ。ダラス経由の乗り換えに所要時間が、たったの40分しか無いことがわかった。

 

ダイヤ乱れなんて当たり前の印象がある、米国系航空会社。国内線から海外線への乗り換えで、本当に間に合うのか!?

 

エクスペディアは、注意喚起無く予約コンファームしているからダイヤ通りにフライトが機能すれば、それは大丈夫なんだろう。

 

直前の直行便手配への変更も考えたが、エクスペディアのカスタマーサービスがいつも不通状態のことも承知していたから、出発当日までこの問題を放置してきた。

 

そこで、出発前の国内にいる間に、ゲート前の航空会社地上係員に安心を担保するために、早めにいって相談してみることにした。

 

ゲート前の地上係員さんは、笑顔でとても丁寧に話を聞いてくれた。

 

事情を話すと、「それは乗り換えに、間に合わない可能性があるかもしれませんね・・・」

 

やっぱり。

 

マニュアルを調べてもらうと、「国内線」から「日本到着便」の移動、最短所要時間は、明確に40分と記載されていた。

 

何とかしてくれようと考えていた若い地上係員さんではあったが、後ろにいたベテラン係員さんに呼ばれて戻ってきたときには、「私たちではどうにもできないんです。手配元のエクスペディアさんしか予約は触れないので」という至極当たり前の回答を、申し訳なさそうに話してくれた。

 

渋々、納得せざる得ない状況だった。

 

その話は仕方なく終えて、米国航空会社ではあったが、国内航空会社へのシェア・マイレージの登録をお願いした。

 

すると、今度は自分の確保していた足の伸ばせる広めのシートには座れない旨を告げられた。当日の那覇空港で、変更してもらったばかりの座席だった。

 

米国内では、扉近くの足が伸ばせる座席は、緊急時に完璧な英会話で補助対応できる顧客しか座れないルールだと説明された。

 

納得せざる得なかったが、直前にカウンターで変更してもらったばかりだったし、不満の残る搭乗となった。

 

 

機内はほぼ満席状態だったが、真ん中3列の隣は空席で、一番最後列だったこともあり、後ろに気兼ねなく背凭れが倒せて、快適に出発はできた。

 

エンタメ映画は、インターナショナル仕様のため、日本人向けは少なくて、自分が選んだのは、『名探偵コナン 純黒の悪夢』だった。

 

初コナンを楽しもうと視聴に入ったが、そのまま到着まで眠りこけてしまった。

 

飛行機は、予定より早く現地時間の午後1時過ぎにロサンゼルスへ到着。日本時間の早朝5時だから、睡眠時間的には悪くない時差感覚だった。

 

いつも長蛇の列になるLAX空港のイミグレーションではあったが、並んでから抜けるまでの所要時間は、45分で済んだ。

 

質問も、簡単な2つのみ。

 

「滞在日数は?」と「バケーションか?ビジネスか?」

 

楽々と、6月のニューヨーク観戦の旅、以来のアメリカの地に着いた。

 

 

差別!?だったのか

 

LAX空港の外へ出れば、いつもはレンタカーセンター行きのシャトルバスへ乗っていたが、今回はレンタカー無しの観戦のみ倹約旅行。

 

あらかじめ調べてきた市内ダウンタウンへ出るための、FLYAWAYバス乗り場に向かった。

 

ここでも、ちょっとしたトラブルに遭遇。

 

バス乗り場は、ブルーの案内標識ですぐにわかった。

 

ただ、その周辺には明確な列が無く、たくさんの荷物を保持した人集りができていた。アプリでその場で購入したチケットにも時刻指定や座席指定も無かった。

 

全員が乗車できるほどの余裕は絶対無いよなーと思っていたら、その予感は的中する。バスが到着するや否や、いっせいに乗り口や荷物入れのサイドにたくさんの人が群がった。

 

それでも、位置取り的には乗車できるスペースに並べた?と思っていたら、自分と隣の日本人学生くん二人は無視されて、他の乗客の荷物を入れていく。

 

ドライバーの対応から察するに、「おまえたちは乗れないよ」的な扱いを受けたように感じた。外からバス車中をみれば、もう少し乗れそうな余白は見えたが。

 

そのままバスは行ってしまった。

 

残されたドジャースのユニフォームを着た学生くん二人から、「あれ何なんすかねー?」と声を掛けられて、「どうやったら乗れますかねー?」と、各々スマホで情報検索に入った。

 

誰も乗車時の注釈を見つけることができず、とにかく乗り場のど真ん中に陣取って、次のバスを待機することにした。

 

そして、30分後に次のバスがやってきた。

 

またまたドライバーは、自分たち日本人以外の荷物を積み始めた。ヤバいなあと思っていたら、今回は待っている人が少なかったからか?最終的には自分たちも無事乗車することができた。

 

あの扱いは?何だったのか。

 

 

ダウンタウンのターミナル中心地、ユニオン・ステーションには、1時間ほどで到着。通常の所要時間は30分ちょっとと確認していたが、夕刻の渋滞タイムに差し掛かった為であろう。

 

バスを降りると近辺には、すでにドジャースタジアム行きの無料シャトルバスを待つユニフォームを着たファンの群れで、列が出来始めていた。

 

事前情報では、試合開始の90分前からバスが出発するとあったが、その時刻は16時20分頃で、試合開始19時10分の約3時間前だった。

 

誤って治安不良?エリアへ

 

ホテルは、ユニオンステーションから徒歩5分程度の便利な安宿を手配していた。

 

地図アプリでホテルまでのアクセスを表示すると、ステーションからの道筋が案内されたが、よくわからず、とにかくホテル方面へと足を進めてみた。

 

すると、誤ってステーション東側の空き地側へ出てしまい、ステーション構内へ戻れなくなってしまった。

 

入ってきた扉にはロックがかかり、他の扉に行っても全てロックがかかっていて、身動きが取れないエリアに迷い込んでしまった。

 

周辺は明らかに異臭が漂い、ゴミの山が無造作にあり、ステーションを完全に遮断するエリアであることは、すぐに察知できた。

 

慌てふためいた自分は、スーツケースを引いたまま、そのエリアからの脱出先を必死に探す。そのときに慌て過ぎて、左足太腿裏の筋を伸ばしてしまい歩行難にも陥ってしまった。

 

その後、何とか出口は発見できたが、ホテルまでの道のりは、治安の良く無さそうなステーション外周路を通って向かわざる得なかった。

 

後で調べてわかったことだが、迷い込んだエリアは、ステーション東側の開発空き地だったようだ。

 

そして、ホテルまでの道のりは、バス停のある東側から駅真ん中の構内通路を抜けて西側出口に出れば、そこから目と鼻の先、徒歩2、3分で到着できる距離にあった。

 

事前にもう少し下調べをしておくべきだった。

 

備忘録のため、俯瞰地図を残しておく。

 

 

ステーションとホテルは、間違いなく近距離ではあったが、その付近一帯の西側公園エリアは、浮浪者が所々に屯して居て、決して治安がいい場所で無いことも理解した。

 

倹約旅行ならではのリスクだなと思った。

 

ドジャースタジアムへ

 

ホテルへチェックイン後、シャワーを浴びて身支度し、バスターミナルへ引き返した。17時30分頃に乗車列に辿り着いたが、駅構内にまで長蛇の列が続いていた。

 

18時過ぎに乗車できたバスがドジャースタジアムに着いたのは、18時30分頃。外野ライト側後方のゲート付近まで、バスは付けてくれた。

 

 

まずは、真っ先に入場口横にある、大きなチームストアに入った。しかしながら、自分が購入したくなる逸品は、何も無かった。

 

ユニフォームやTシャツは、大谷と山本由伸ばかりが並んでいた。他のドジャースメンバーは、ベッツやフリーマン位で全く無い。キャップも定番仕様ばかり。

 

今年行ったヤンキースタジアムでも、昨年行ったペトコパークでも、様々な選手グッズやバリエーション豊かなキャップが揃っていた。

 

いくら日本人観光客が多いとはいえ、あの大きなストアであの品揃えは如何なものかと思った。

 

大谷の50/50記念グッズはほとんど売り切れで、シティコネクト仕様のグッズは売れ残ったサイズばかり。

 

まあ、この品揃えが一番ビジネスできているんだろうから、文句は言えないが。

 

vsパドレス!第1戦

 

この試合のチケットは、在米友人が持つ年間レギュラーシートの1枚を買い取っていた。座席は、外野ライト側の上段エリア。

 

座席に着くと、すぐ目の前にダルビッシュ有やパドレス投手陣が試合開始を待っていた。国家演奏と両チームのスターティングラインナップの発表があり、試合開始。

 

 

パドレスの1回表の攻撃が三者凡退で終了し、早速、大谷の第1打席がまわってきた。

 

ウェイティングサークルでは、最近お馴染みの滑り止めスプレーをプシューと空に吹きかけてから、入念な準備に入るシーンもみられた。

 

そして、いきなり初球を豪快に打って出る。

 

先発マイケル・キングが投じた内角高めの150・8キロのフォーシームを捉えると、弾丸ライナーはライトのライン際で弾むと、そのまま観客席に飛び込むエンタイトル二塁打となった。

 

お馴染みのセレブレーションポーズは、カメラに収められなかった。

 

続く2番ムーキー・ベッツの内野ゴロを、遊撃手サンダー・ボガーツが一塁へ悪送球しカメラマン席に飛び込んだため、大谷は楽々先制のホームを踏んだ。

 

 

 

 

久しぶりのドジャースタジアム、初戦ということもあり、1打席目を見届けた後、外野席から離れて内野席へ周遊移動。

 

まずは、「Loge」と呼ばれる2階席の3塁側へ向かう。

 

2回表、パドレスに逆転を許す。

 

先発ランドン・ナックが7番ジェーク・クロネンワースに2ラン本塁打を浴びてしまう。

 

そして、むかえた大谷の第2打席は、2回裏、二死1、2塁のチャンス!

 

カウント1―1からの3球目、真ん中近い約150キロのシンカーをフルスイングするが、捉えることができ無かった。惜しかった一球。

 

フルカウントになり、内角低めのスライダーをしっかり見極めて四球で歩いた。

 

満塁のチャンスをつくるが、ベッツは空振り三振に倒れた。

 

 

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また周遊移動。

 

今度は1階に降りて、「Field Box」後方のスタンディングエリアを散策。

 

ここで腹拵えに入った。

 

お土産用のブルーのヘルメットボックスに入った、ガーリックフライと定番のドジャードッグ。

 

お供には、カリフォルニアへ来るとなぜか飲みたくなる、フルーティなゴールデン・ロードのマンゴーカート・ビール。

 

 

大谷の第3打席は、1対4と3点ビハインドの5回裏一死走者なしでまわってきた。

 

1失点で好投を続ける先発キングの4球目。カウント2―1から内角低めの約136・5キロのスライダーを逆方向へ弾き返す。

 

カメラ越しにみていた自分は、一瞬だけ行ったか!?と小踊ったが、低い弾道はハーフライナーとなり、レフトを守るジュリクソン・プロファーのダイビングキャッチに阻まれた。

 

はあー!と溜息。

 

 

また2階席の「Loge」へ戻り、今度は1塁側へ向かう。

 

大谷の第4打席は、1対4と3点ビハインドのまま7回裏、二死走者なしでまわってきた。

 

相手投手は、4番手の左腕タナー・スコット。

 

あっという間にフォーシーム2球で追い込まれる。

 

そして、3球目。

 

内角高めのフォーシーム、約158・7キロのボール球にバットが出てしまい、空をきった。

 

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試合は8回裏。2番ベッツからの好打順が、最後の勝負所と読んでいた。

 

しかしながら、ベッツ、フレディ・フリーマンと外野フライに倒れて、テオスカー・ヘルナンデスが二塁打で反撃を見せたものの、後続の5番マックス・マンシーも外野フライに倒れた。

 

9回裏は、6番ウィル・スミスからの下位打線。パドレスの守護神が出てくれば、1番の大谷には、少なくともふたりの選手が出塁しないと、5打席目がまわってこない。

 

今日の試合は、ムードや展開的にも「厳しい」と判断した。

 

そう判断させたのは、ほかに二つの理由もあった。

 

一つは、ボールパーク全体を常に周遊移動しながら、ほとんどスタンディング状態で観戦していたこと。到着日の時差ボケや長旅の疲労も重なったであろう。

 

もう一つは、帰りのシャトルバスだ。

 

往路はバラバラに集まってくるファンも、試合終了後の復路は、一斉に乗り場へ集まってくることは、十分予測できた。

 

そんな事情も相まって、8回裏の攻撃が終了した時点で、今日の試合は泣く泣くあきらめて、バス停へ向かうことにした。

 

 

ノーアウトだったはず?!

 

そして、バス乗り場へ到着。

 

読み通り、まだファンの数は疎らで少しは列に並んだが、すぐにバスに乗車できた。ラッキーなことに座席も確保できた。

 

と、一安心した頃ぐらいに、ボールパーク方面から大きな歓声が聞こえた。

 

慌ててMLBのアプリを起動し、試合状況を確認すると、無死1、2塁のチャンスに、打席は8番キケ・ヘルナンデスが入るところだった。

 

マジ!?!?!?

 

そうこうしていると、ヘルナンデスがタイムリーを放ち、2対4の2点差に迫り、尚、無死1、2塁のチャンスで9番ミゲル・ロハスになった。

 

うわー!どうしよう!?

 

今から走って戻っても、大谷の打席にはほとんど間に合わない。。

 

この流れでゲームが進めば、1番大谷が打って、劇的なさよならゲームもあり得るかも!?

 

そんな滅多にお目にかかれない劇的シーン、それも生観戦の機会を見逃してしまうのか!?

 

複雑なハラハラドキドキを煩っていた。

 

車中に居る、周囲のファンもソワソワしだした。

 

そして、何人ものファンが、スマホのライブ中継に見入りだした。

 

自分もMLB.TVに加入しているが、海外では視聴できないエラーが出たため、隣席ファンのスマホを横見していた。

 

すると、今度は車中全体に「はぁ〜」という溜息が漏れた。

 

自分は何が起こったのか、その瞬間はわかりかねた。ロハスが打ったところは見えたが、その結果がよくわからなかった。

 

慌てて、MLBのアプリをチェックすると、ゲームは試合終了しドジャースは敗れていた。

 

えー!?何?

 

はじめは、本当に状況が読み込め無かった。

 

ノーアウトだったはず?

 

なぜ、大谷に打席がまわらず、ゲームセットになるのか???

 

また隣人のスマホ中継を横目でみてみると、想像もしえなかったトリプルプレーのリプレイ映像が流れていた。

 

違う意味での劇的幕切れだった。

 

また複雑な気分。

 

この特別なバッドエンドを見逃した?!

 

もし生観戦していたら、それこそ天国から地獄へ真っ逆さまだったろうなと。

 

大谷にまわって、劇的な勝利の幕切れになっていても、おそらく複雑な気持ちを抱いたはずだ。

 

なんか、この結末と見守ったシチュエーションを肯定化しようとしていたように思う。

 

勝って、次の2戦目か3戦目をとって、すんなり地区優勝するよりも、追い込まれた状態で2戦目以降を観戦できる方が、ヒリヒリするゲームが楽しめるはずだと。

 

そんなこんなを、アタマの中で繰り返しながら帰路についた。

 

1戦目から、スゴい首位攻防戦となった。

 

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