2024年7月8日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年7月7日

日本時間:2024年7月8日(月曜日)

5時10分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対ミルウォーキー・ブルワーズ

@ドジャースタジアム

 

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【MLB.JP 戦評】

 日本時間7月8日、ドジャースは本拠地ドジャー・スタジアムでのブリュワーズ3連戦の最終戦を迎え、投打とも振るわず2対9で敗戦。3連戦のスイープを逃し、地区首位チーム同士の3連戦はドジャースの2勝1敗で終了した。ブリュワーズ2番手のジェイコブ・ジュニスは2回2/3を投げて3安打2失点ながら今季初勝利(0敗)をマーク。メジャー初登板となったドジャース先発のジャスティン・ウロブレスキーは2本塁打を浴び、5回5安打4失点で敗戦投手となった。

 

 3回裏二死満塁のチャンスを生かせなかったドジャースは、直後の4回表にクリスチャン・イェリッチの11号2ランで先制され、5回表にもエリック・ハースの1号2ランで2失点。6回裏一死2塁からクリス・テイラーの3号2ランで2点を返したものの、7回表にブレイク・パーキンスの6号ソロでリードを広げられた。8回表には一死満塁からパーキンスに2点タイムリーを浴び、9回表にもイェリッチとギャレット・ミッチェルのタイムリー二塁打で2失点。打線はテイラーの本塁打による2得点のみに終わり、2対9で敗れた。

 

 ドジャースの大谷翔平は「1番・DH」でスタメン出場。初回の第1打席はセカンドゴロに倒れたが、3回裏の第2打席でセンター前ヒットを放ち、2つの盗塁を決めて今季20盗塁に到達した。4回裏の第3打席はセカンドゴロ、6回裏の第4打席は見逃し三振、9回裏の第5打席は空振り三振に倒れ、5打数1安打2盗塁。2試合連続安打で今季の打撃成績は打率.314、出塁率.399、OPS1.036となっている。

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

1番DH

 

【出場成績/打者】

5打数 1安打 2三振 2盗塁(19・20個)

通算打率・314

OPS1・036

 

◆第1打席:

(結果)セカンドゴロ

(状況)1回無死走者なし

(投手)ダラス・カイケル左

※フルカウントから外角高め140キロツーシームを打って二ゴロ。

 

◆第2打席:

(結果)センター前ヒット

(状況)3回1死走者なし

(投手)ダラス・カイケル左

※過去10打数1安打、5三振と苦手としている36歳のベテラン左腕だが、フルカウントから外角のシンカーを中前にはじき返した。これで今季221塁打。球宴前に221塁打に到達するのは、2019年のコディ・ベリンジャー(現カブス)の220塁打を抜いて球団新記録となった。

 

さらに次打者スミスの打席で二盗を試みたが、スミスの打撃妨害で盗塁は取り消し。しかし、3番フリーマンの打席で二盗を成功させ、今季19個目の盗塁を決めた。さらにフリーマンが四球で歩いて2死一、二塁となったところで大谷とフリーマンがスタートを切ってダブルスチールを決めた。この盗塁で大谷は2年連続3度目のシーズン20盗塁に到達した。

 

 

◆第3打席:

(結果)セカンドゴロ

(状況)4回2死1、2塁

(投手)ダラス・カイケル左

※イエリチの2ランで先制された直後の4回は2死一、二塁で大谷に第3打席が回った。ここはフルカウントまで持ち込んだが、2球チェンジアップをファウルした後のシンカーを引っかけさせられて二ゴロに倒れた。

 

◆第4打席:

(結果)見逃し三振

(状況)6回1死走者なし

(投手)ジェーコブ・ジュニス右

※2番手の右腕ジェーコブ・ジュニスと対戦し、ファウル、見送りで2-0とされた3球目。94.1マイル(151・4キロ)の内角寄りにきたシンカーを見逃し、三振に倒れた。

 

◆第5打席:

(結果)空振り三振

(状況)9回無死走者なし

(投手)トレバー・メギル右

※抑えメギルに3球三振。初球158キロフォーシームを空振りした後、161キロストライクを見送って追い込まれる。最後はワンバウンドになる140キロのナックルカーブにバットは空を切った。

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

◯ MLBが7日、オールスター戦の投手とリザーブ野手を発表し、ドジャースからはすでにファン投票でスタメンに選出されている大谷に続き、新たに5人が選出された。投手は先発右腕タイラー・グラスノー(30)が選出。野手リザーブはウィル・スミス捕手(29)、ムーキー・ベッツ内野手(31)、フレディ・フリーマン内野手(34)、テオスカー・ヘルナンデス外野手(31)の4人が選ばれた。

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

(試合前)

「あと1本に迫っている節目のメジャー通算200号について)翔平を見れば見るほど、毎日、何かの記録をつくっている気がする。200号を打って、またすぐに300号を打つよ」

 

「翔平の記録を聞くのは慣れてきたね。毎日、何か違うことが起こっているように思う。これからも色々出てくるよ」

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 大谷翔平&ジャッジ、91年ぶりに両リーグ同時3冠王の可能性 アベレージヒッター減り好機到来

福島良一氏/日刊スポーツ)

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 ドジャース大谷翔平投手が、4年連続のオールスター先発出場を決めました。7月5日には30歳の誕生日を迎えました。前回のコラムでも書いたように、シーズン前半終了を前に、ナ・リーグで打率、本塁打、打点とも上位につけ、打撃3冠を狙える位置にいます。

 

 メジャーで3冠王は、打者にとって最も難しい偉業の1つです。1920年にメジャーで打点が公式記録となって以降、最初の48年間で9人、のべ11人も3冠王が誕生しました。しかし、68年以降の56年間でたった1人しか3冠王を成し遂げていないからです。

 

 理由として、選手数の増加が挙げられます。1961年以降ア、ナ両リーグとも球団数拡張、いわゆるエクスパンションの時代を迎えました。中南米諸国はじめ、世界中から優秀な選手たちがやって来てプレー。競技レベルが高く、才能あふれる選手が多い時代となり、特にホームランやヒット打ちの名人などスペシャリストの時代となりました。

 

 2012年、ア・リーグでミゲル・カブレラ(タイガース)が45年ぶりの3冠王に輝くと、それ以降、毎年のように3冠王を狙えそうな選手が出てきています。

 

 具体的に名前を出すと、18年ナ・リーグでクリスチャン・イエリチ(ブルワーズ)、21年ア・リーグでウラジーミル・ゲレロ(ブルージェイズ)、22年ア・リーグでアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、ナ・リーグはポール・ゴールドシュミット(カージナルス)らで、シーズン終盤まで3冠王獲得なるかと騒がれました。

 

 今年はア・リーグでジャッジ、ナ・リーグでは大谷が3冠を狙えそうです。かつて、1933年にア・リーグがジミー・フォックス(アスレチックス)、ナ・リーグがチャック・クライン(フィリーズ)と両リーグ同時に、しかも同じフィラデルフィアを本拠地としたチームから3冠王が誕生しました。それ以来、91年ぶりに両リーグとも3冠王誕生の可能性があります。

 

 3冠王獲得のために、最大の難関は打率だと思います。しかし、20世紀前半と現代の野球を比べると、最大の違いは打率にあります。20世紀前半、メジャーの平均打率は2割8分前後もありましたが、最近は2割5分以下となり、今年は68年以来最低の2割4分2厘まで下がっています。

 

 驚異的な高打率を残すアベレージヒッターが少なくなり、ホームランバッターでも首位打者を取れるチャンスが巡って来ました。それによって、3冠王の可能性が高まって来たわけです。ただし、7月2日にジャッジが3冠になったと思ったら、翌日にガーディアンズのスティーブン・クワンが規定打席に到達。何と、打率3割6分でトップに登場しました。

 

 一方、ナ・リーグも大谷にとって最大の強敵がいます。22年ア・リーグで首位打者、昨年はナ・リーグで首位打者に輝き、今年5月に電撃トレードでパドレスに移籍した「トニー・グウィン2世」ことルイス・アラエスです。また、18、19年と2年連続ナ・リーグ首位打者に輝いたクリスチャン・イエリチ(ブルワーズ)も規定打席到達で脅威の存在となりそうです。

 

 ちなみに、大谷は21年シーズン前半戦打率2割7分9厘から、後半戦はホームラン数の失速だけでなく、打率も2割2分9厘と低下。しかし、22年は前半戦打率2割5分8厘から後半戦2割9分3厘にアップ。昨年も前半戦3割2厘から後半戦3割8厘に上げました。

 

 メジャー史上初の異なるリーグで2年連続首位打者に輝いたアラエスとの首位打者争い、さらにホームラン王と打点王争い、それと両リーグ同時の3冠王誕生なるか? という意味で、大谷&ジャッジの3冠王争いから目が離せません。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

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◆ 大谷翔平の打撃成績に“驚きの変化”…1番打者なのに「1試合1打点ペース」は何がスゴい? 大谷は「自分の成績ですか?把握してないので…」

笹田幸嗣氏/NumberWEB)

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 大谷翔平、三冠王なるか。

 

 シーズンはまだ球宴前。あまりにも早い時期と感じるが、日本人初の快挙へ向け期待は膨らむばかりだ。大谷自身、現状で三冠王への思い、イメージはあるのか。彼は答えた。

 

「自分の成績ですか?  もちろんいい成績を残せたらいいかなとは思ってますけど、実際に自分がどのくらいの数字なのかっていうのは、ちょっとまだ把握していないので、あんまり自分の中でパッと思い浮かぶ感じはないかな。他の人と比べてとかってことはないかなと思います」

 

 やはり時期尚早。今は個人成績よりチームの勝利。そのために自分の果たすべき仕事に集中している。そんな彼の思いが表れる言葉だった。

 

大谷の打撃成績に“ある変化”

 とはいえ、打者一刀流で挑む今季。ファン心理としては、三冠王を是が非でも獲ってほしいところ。ドジャースが71試合を残した時点で大谷は充分に狙えるところに位置している。

 

 打率.314(2位)

 本塁打28(1位)

 打点65(3位)

 

 現状で最大の壁は打点と言えるだろう。トップは72打点でブレーブスのマルセル・オズナが走り、2位はフィリーズのアレク・ボームが70打点で追う。大谷にとっては7点のビハインドだ。

 

 打点を挙げる上で打順はひとつのポイントとなってくる。3番から6番打者あたりとなれば、塁上に走者が多くいる場面が増え、打点を稼げる可能性が高くなる。その点で考えればムーキー・ベッツ負傷後、不動のリードオフマンを務める大谷にとっては不利な状況とも考えられるが、実はこんな数字が残っている。

 

「1番」19試合、打率.315、9本塁打、19打点。

「2番」69試合、打率.314、19本塁打、46打点。

 

 ベッツが左手を骨折した6月16日のロイヤルズ戦と前後し、大谷が絶好調期を迎えたことも要因のひとつではあるが、現状で「1番」だからと言って、大谷が打点を稼ぎにくくなっているという事実はない。むしろ1番では1試合1打点ペースで2番の1試合0.67打点よりもペースアップしている。ドジャースの下位打線がそれなりの出塁率を残していることも大切なポイントと言える。

 

最強打者は勝負を“避けられる”問題点も

 そんな中、7月2日に大谷はメジャー500打点を達成した。日本人選手としては、780打点のイチロー、760打点の松井秀喜に続き3人目の大台到達となった。

 

 少し脇道に逸れるが、メジャートップは2297打点を挙げたハンク・アーロン。大谷のエンゼルス時代の師匠でもあるアルバート・プホルスが2218打点で続く。

 

 2000打点以上が5人並ぶ中で、歴代最多の762本塁打を放ったバリー・ボンズは1996打点で6位。意外な順位にも映るが、ボンズの場合、走者を置いた状況で勝負を避けられた場面が多かった。四球2558、敬遠688はいずれもメジャー歴代トップ。最強打者であるが故に打点が伸びない。そんな側面もあった。

 

 日本人選手に戻れば、イチローは通算で得点圏打率.307を誇った。しかし、シーズン平均打点は41だった。松井は得点圏打率.294で平均76打点。本塁打数が影響していることもあるが、打順、チーム力は大きな要素と言える。

 

監督が語る可能性「ショウヘイはまるで小説」

 21年以降、打者として常時出場を果たすようになった大谷はエンゼルスでコンスタントに打点を記録した。

 

 21年 100打点

 22年 95打点

 23年 95打点

 

 昨季は9月4日の打撃練習中に右脇腹を痛め最後の25試合を欠場したが、その中で44本塁打を放ちホームラン王を獲得した。最後まで出場を続けていれば打点王との2冠も十分可能だった。マイク・トラウト、アンソニー・レンドンを欠く中でのこの数字は大きな評価に値する。

 

 今季、ブレーブスのオズナ、フィリーズのボームとの三つ巴の打点王争いは、3チームの生産性の高いラインナップを考えればシーズン最後まで続くだろう。果たして、打点王は誰に輝くのか。そして、大谷の三冠王はあるのか。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は大谷翔平という打者の可能性をこんな言葉で称賛した。

 

「ショウヘイはまるで小説のような選手なんだ。何かが起こりそうな期待感が高まると、彼は必ず何かを起こす。マイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズのようなんだ。WBCで彼とトラウトが対戦したあの名場面を見返してもそうだった。彼はまさに物語のような選手なんだ」

 

 期待が高まれば、必ずそれに応えてくれる。それが大谷翔平だと語るドジャースの将。我々は三冠王を大きく期待し、信じ続けることとしよう。

 

(「メジャーリーグPRESS」笹田幸嗣 = 文)

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◆ ムーキー・ベッツ戦線離脱から約1カ月 1番・大谷翔平のドジャース打線の現状は?

奥田秀樹氏/webSportiva)

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6月の中旬、ロサンゼルス・ドジャースは攻守の柱であるムーキー・ベッツと山本由伸が立て続けに戦線離脱。ナ・リーグ西地区では変わらず2位を大きく突き放し、首位を走っているが、チームの現状はどうなっているのか。

 

2022年プレイバック「きつねダンス」で球場を盛り上げるファイターズガール

 

 まずは打線と守備から見ていく。

 

*本文中の記録は現地時間7月5日(日本時間6日)現在

 

【大谷とフリーマンの左打者が離れた効果】

 

 6月16日、ドジャースの攻守の主力、ムーキー・ベッツと山本由伸が相次いで戦線を離脱した。ベッツは左手骨折で復帰まで6~8週間。山本は右肩腱板損傷で、2週間はノースローとの発表だったが、7月5日時点(日本時間6日)でまだ投げていない。山本は3日、「重症ではないが、復帰の見通しはわからない」と話している。

 

 大谷翔平はふたりの離脱について当初「特にケガ人が多くなる時期ではあるので、全員でカバーしたい。不幸中の幸いでムーキーも由伸も、シーズン中に戻ってくると思うので」と前向きにコメントしていた。

 

 ドジャースは7月5日終了時点で54勝35敗、ナ・リーグ西地区の首位で2位のサンディエゴ・パドレスに6.5ゲーム差をつけている。現有戦力でも地区優勝は可能だろう。問われるのは、短期決戦のポストシーズンでも勝てるチームを作れるかどうか。

 

 筆者は、首脳陣が離脱したふたりの穴埋めにいろいろと工夫を強いられるが、結果的にそれが新たな可能性を育み、チームの総合力を上げることにつながるのでは、と期待する。災い転じて福とできるのではないか。

 

 具体的には、打順だ。大谷はベッツに代わって1番を任された。フレディ・フリーマンは3番のままで、間の2番にウィル・スミス、テオスカー・ヘルナンデスなど、右打者を入れた。これは合理的だし、正しい試みだ。

 

 開幕からドジャースは、大谷2番、フリーマン3番と左打者を並べていた。相手チームはドジャースを封じるには、このふたりを抑えることに注力し、より多くの左投手をぶつけてきていた。計算すると、大谷はキャリアで対左投手の打席が31.6%だったのに対し、今季最初の2カ月は35%と増え、フリーマンもキャリアで30.6%だったのに、37%と著しく多くなっていた。

 

 大谷は左投手を苦にしないと言われている。今季も対左投手には、打率.291、出塁率.349、長打率.487、OPS(出塁率+超打率). 836、6本塁打でオールスター級の数字だ。ちなみに対右投手になるとそれぞれ.323、.416、.700、1.116、21本塁打でMVP級である。

 

 フリーマンだとその違いはさらに顕著になる。今季対左投手は打率.243、出塁率.336、長打率.383、OPS.719、3本塁打で主力打者としては物足りない。一方、右投手だとMVP級でそれぞれ.332、.438、.578、1.016、10本塁打である。

 

 2020年、アトランタ・ブレーブスに所属していたフリーマンは打率.341、出塁率.462、長打率.640、OPS1.102の成績でナ・リーグMVPに選ばれた。実はそのシーズン、ブレーブスはフリーマンの前後をロナルド・アクーニャ、ダンスビー・スワンソン、マルセル・オズナと右の強打者で固めていた。おかげでフリーマンは左投手と当たることが少なく、対左投手の打席は、わずか23.7%だった。

 

 ちなみに右打者のベッツは右投手であろうが左投手であろうが、それほど大きな差はない。はっきりしているのはベッツが戻れば、再びこの3人が打順の1~3番を任せられるということ。ベッツが戻るまでは左、右、左をテストし、どちらがドジャースにとってベターなのかを判断すればいい。

 

 大谷は打順について聞かれると、「打順というよりは前後のバッターが誰かというのが一番大事かなと思います」と答えた。「打線のメンバーが変われば流れも変わるし、アプローチも変わる。そしてそれに慣れていかないといけない。特にポストシーズンに向けて大事なんじゃないかなと思います」とも話している。

 

 大谷は1番で起用されるようになって以降の数字を振り返ると(カッコ内は2番での起用)、17試合(69試合)で打率.303(.314)、出塁率.420(.387)、長打率.727(.602)、OPS1.147(.989)、本塁打8(19)。サンプルとしては小さいが、1番のほうが出塁率も長打率も上になっている。

 

【ベッツ復帰後に光明照らすロハスの堅守】

 

 守備では、ベッツ不在の間、ベテランのミゲル・ロハスが正遊撃手を務めている。これもいい選択肢になっている。

 

 ベッツは身体能力の高い選手で、右翼手で6度のゴールドグラブに輝き、二塁も守れる。そして今年は初めて遊撃手にチャレンジしたが、このポジションは難易度が高い。今季531.1イニングをプレーし、9失策。責任感の強いベッツは、毎日自主練習に取り組み、新しいポジションを学んでいたが、今回の長期離脱で遊撃手としての成長は止まってしまう。一方のロハスは遊撃手が本職で、今季も242.2イニングを守り無失策。守備範囲は広いし、グラブさばきも軽快、肩も強く正確で、併殺の動きも熟達している。

 

 ドジャースのディノ・イベル三塁ベースコーチは「私に言わせれば、ミゲルは球界でトップ5の守備力を持つ遊撃手」と称賛しており、ベッツとの差は明らかだ。ドジャース首脳陣も10月のポストシーズンに向け、守備で信頼できる遊撃手がどれほど重要かを再認識している。

 

 そのロハスの課題は打力だったが、今季は打率.283、出塁率.327、長打率.428と、レギュラーとして十分な数字を残している。開幕からロハスが安打を打った試合ではドジャースは24連勝、これは新たなメジャー記録にもなった。チームリーダーでムードメーカーでもある彼がこのまま打ち続けられるなら、ロハスが正遊撃手でいいし、ベッツは二塁を守ればいい。現在のギャビン・ラックス二塁手は、守備はうまいが、打撃は打率.211と一向に調子が上がってこない。

 

 デーブ・ロバーツ監督は、ロハスにレギュラーを任せることについて「守備力については議論する必要はない。ムーキーの復帰のタイミングや、ミゲルの体調など、状況次第だ。我々はこの選択肢について必ず検討する」と説明している。

 

 懸念は、ロハスが35歳の年齢で毎日プレーしながら、体調を維持し、よいパフォーマンスを続けられるかどうかだ。過去に足のケガに悩まされたことがあり、今は両足に血流制限(BFR /blood flow restriction)のサポーターを巻いている。血流を一時的に制限することで、筋肉が硬くなるのを防ぎ、ケガのリスクを減らせる。試合前後に約30分間治療を受け、さらに疲労をためないよう試合前の練習時間を減らした。食事や水分補給にも気を配り早く寝るようにしている。ロバーツ監督は「トレーナーの意見を聞きながら、適度に休みを与えていきたい。我々にとって非常に貴重な選手。健康な状態に保ちたい」と言う。

 

 懸念点があるにせよ、ロハスの現状は、ベッツ復帰後の打線・守備のバリエーションに幅を持たせていることは間違いない。

 

奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

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 ■ NOTE

 

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