2024年7月6日

 

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 ■ 試合データ

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米国時間:2024年7月5日

日本時間:2024年7月6日(土曜日)

11時10分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対ミルウォーキー・ブルワーズ

@ドジャースタジアム

 

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【MLB.JP 戦評】

 日本時間7月6日、ドジャースは本拠地ドジャー・スタジアムでのブリュワーズ3連戦がスタート。その初戦は4回表に一挙5失点で逆転を許したが、ウィル・スミスが3本のアーチを放つなど同点に追いつき、8回裏に3点を勝ち越して8対5で逆転勝利を収めた。ドジャース3番手のダニエル・ハドソンが6勝目(1敗)をマークし、4番手のエバン・フィリップスは14セーブ目を記録。ブリュワーズはリリーフ陣が踏ん張れず、4番手のエルビス・ペゲーロは3敗目(5勝)を喫した。

 

 初回にスミスの12号ソロで先制したドジャースは、3回裏にスミスが2打席連発の13号ソロを放ち、2点をリード。ところが、先発のタイラー・グラスナウが4回表にウィリー・アダメスのタイムリーとリース・ホスキンスの12号グランドスラムで一挙5点を失い、ブリュワーズに逆転を許した。しかし、4回裏にミゲル・バルガスの2号2ランで1点差に詰め寄ると、7回裏にスミスが14号同点ソロを放ち、捕手では球団史上4人目となる1試合3本塁打を達成。そして8回裏二死満塁からフレディ・フリーマンとテオスカー・ヘルナンデスの連続タイムリーで3点のリードを奪い、8対5でブリュワーズ3連戦の初戦を制した。

 

 現地時間で30歳の誕生日を迎えたドジャースの大谷翔平は「1番・DH」でスタメン出場したが、第1打席から空振り、見逃し、空振りで3打席連続三振。7回裏の第4打席はレフトライナー、8回裏一死1・2塁の勝ち越し機で迎えた第5打席はファーストゴロに倒れた。5打数0安打3三振で2試合連続のノーヒットに終わり、今季の打撃成績は打率.312、出塁率.394、OPS1.020となっている。

 

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 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

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【スタメン】

1番DH

 

【出場成績/打者】

5打数 0安打 3三振

通算打率・312

OPS1・020

 

◆第1打席:

(結果)空振り三振

(状況)1回無死走者なし

(投手)アーロン・シベル右

※右腕シバーレとの対戦。シンカー、スイーパーなどを駆使してカウント2―2と追い込まれると、最後は低めに変化するスイーパーにバットが空を切った。

 

◆第2打席:

(結果)見逃し三振

(状況)3回無死走者なし

(投手)アーロン・シベル右

※初球は外角高めのストライクゾーン表示から外れたスイーパーをストライクと判定されると、フルカウントから外角高めのカットボールを見逃して三振。こちらはストライクゾーンの枠にかかる際どい球だったが、場内のファンからは球審に対してブーイングが飛んだ。これで1試合4三振を喫した2021年7月17日のマリナーズ戦から翌18日の同戦の第1打席にかけて喫した自己ワーストの5打席連続三振に並んだ。

 

◆第3打席:

(結果)空振り三振

(状況)4回2死1塁

(投手)アーロン・シベル右

※カウント2―2から高めに外れるシンカーに手を出して空振り三振。前日から自己ワーストの6打席連続三振となり、これで最近33打席で15三振となった。

 

◆第4打席:

(結果)レフトフライ

(状況)7回1死走者なし

(投手)ブライアン・ハドソン左

※マウンドには2メートル超の左腕・ハドソン。先頭のテイラーが三ゴロに倒れた中、スタンドからは拍手がわき起こって打席に入った。初球の外角フォーシームは見送って1ストライク。2球目のスライダーもアウトローに決まって追い込まれた。1球見極めての4球目、外角スライダーを鮮やかに逆方向へ流し打った。きれいに合わせた打球は痛烈なライナーとなったが、左翼手の正面を突いた。直後、スミスが自身初となる1試合3本目のソロを放ち、試合を振り出しに戻した。ベンチで打球を追った大谷はポール直撃の瞬間、両手でガッツポーズを作った。

 

◆第5打席:

(結果)ファーストゴロ

(状況)8回1死1、2塁

(投手)エルビス・ペゲロ右

※マウンドにはリリーフ右腕のペゲーロ。名前がコールされると、スタンドが大きく沸いた。初球、低めの変化球を冷静に見極めた。2球目は内角低めのスライダーにバットが空を切った。カウント1-1からの3球目、外角低めのシンカーを引っかけて一ゴロ。二、三塁と走者を進めたが、快音は響かなかった。ただチームは2死満塁からフリーマンが勝ち越しの適時打を放ち、本拠地は興奮のるつぼと化した。

 

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

◯ 試合前からドジャースタジアムは祝福ムードに包まれた。ドジャースブルペン前の内野席には黄色を基調とした特製Tシャツに青文字で「HAPPY BIRTHDAY SHOHEI OHTANI」とつづったファンが登場。それ以外にも球場の各所で大谷の誕生日を祝うファンの姿が見られた。

 

 

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 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

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【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

(試合前)

「盛大なお祝いは好まないから。ハッピーバースデーと声をかけてワインを1本プレゼントしたよ」

 

「彼は低めの球を追いかけてしまっている。特にカーブボール。高めの球に対するスイングは私は好きだ。前に突っ込んで打ってはいない。低めの球以外は大丈夫だろう。問題ない」

 

(試合後)

「素晴らしい夜だった。スミスは本当に凄い。安定している。(6回5失点の)タイラー(グラスノー)も一晩中素晴らしかった。四球が絡んで満塁本塁打を浴びたがそれ以外は素晴らしかった。ブルペン陣もファンタスティックだった。アンディ(パヘス)は成長して輝き続け、(4回に2ランを放った)バルガスも私たちにとって本当に大きな夜だった」

「フレディー(フリーマン)に対して左投手(ミルナー)が投入されたが、フレディーはどんな瞬間でもいつも通りにプレーできる能力があり、結果を残す術を知っている。これまでに何度も同じようなことをやってのけており、きょうもその内の一つ」

 

クリスチャン・イエリチ外野手:

「(大谷やパドレスのアラエスらとの首位打者争いについて)規定打席に到達するまでまだ十分ではないが、様子を見よう。最終的にどうなるかは、数カ月してどうなるかだね。まだまだ試合はあるし、打席数もたくさんある。彼は素晴らしい選手です。MLBで一番じゃないとしても、トップの内の1人です。彼の数字の近くにいられることは僕にとっていいことだ」

 

「彼とは2018年シーズン後のNYでの晩さん会で一度会っただけだと思う。彼は新人王、私はMVPだった。握手をして自己紹介を互いにした。オールスター戦でもう一度あいさつできればいいね」

 

「(腰の状態について)日々良くなっている。100%ではないが、今の状態をキープしたい」

 

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 ■ 球界情報

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藤浪晋太郎投手:

◯ 右肩を痛めて60日間の負傷者リスト(IL)入りしているメッツ藤浪が傘下2Aビンガムトンの試合で2度目のリハビリ登板を行い3者連続奪三振をマークした。ハートフォード戦で2点を追う6回無死満塁に2番手で登板。最初の打者にはフルカウントから9球目まで粘られたが90マイル(約145キロ)のカットボールで空振り三振に仕留め、2人目はカウント2-2から5球目の95マイル(約153キロ)で空振り三振。最後の打者は1ボール2ストライクから左打者の内角に切れ込みながら落ちる94マイル(約151キロ)の4球目で空振り三振を奪った。

 

藤浪は5月13日にメジャーに昇格すると同時に15日間のILに入り、6月5日に60日間のILに移行。同月25日にフロリダ州で傘下ルーキーリーグの試合にリハビリ登板して約1カ月半ぶりに実戦復帰し、同月28日にフロリダ州で傘下1Aの試合で2度目のリハビリ登板した。これが4度目のリハビリ登板で2Aでは2度目。ここまで4試合連続で無失点を続けている。

 

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 ■ 注目記事&コラム

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◆ 【デーブ大久保コラム】大谷翔平の打撃フォームは異次元。今季は伝説的なシーズンになると思います

デーブ大久保氏/週刊ベースボールonline)

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【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 西武での現役時代、西武球場(現ベルーナ)のバックスクリーンに本塁打を打つと、家電製品がもらえたんです。そういう賞品が出るということは、めったに飛び込まないという理由からです。120メートルは打たないと本塁打にならないですからね。

 なぜ、その話をするのかというと、ドジャースの大谷翔平が、当時の西武に在籍していたら、どれほどの家電製品をもらったのか、と思ってしまうからなんです。それくらいバックスクリーン方向へ本塁打を打っているイメージが強いですよね。しかもここ12試合中9本ですか? 笑ってしまいますね(現地時間6月29日現在)。

 なぜこれだけの打撃ができるのか、デーブ的な解説をさせてもらいます。まず、パワーがすごいのは皆さんも知っていますよね。しかもノーステップのようにして打つ打撃フォームです。この打ち方は、日本人ではなかなか飛距離が出ないです。足を上げての地面反力(地面からの跳ね返るパワー)を強くして打つのが一番パワーを生みやすい。これはアジア系の骨格がそういうふうになっていて、足を上げることで膝でタイミングが取りやすいからです。

 2008年に西武で打撃コーチをしていたときに、ある打者がこのノーステップで打ち出して、猛打賞を打ったことがあります。そのときに私は「ノーステップはいいけど、これを続けると膝でタイミングが取れなくなるぞ」と忠告しました。しかし、翌試合でもその選手は猛打賞。「大丈夫でしょ?」という感じでいましたが、その次の試合から20打席連続無安打に。「デーブさん助けてください」と言って聞きました。それだけ日本人にとってはリスクが高い打ち方なんです。しかし、大谷はそこを超えるパワーが上半身、下半身のどちらにもあるからこそ、あのステップでメジャー投手の速いボールに対応できています。膝も柔らかく使えていますし、異次元ですよね。

 それとスイングです。バットの構える位置は高いですよね。でもよく見ると腕の位置はしっかりと楽に構えられるポジションに収まっています。私が指導するときによく「バットは傘を持つときのように」と言います。それが一番腕と脇がリラックスできるから。その位置に腕を置きながら、手は高い位置に持っていき、そこからスイングするときにゆっくりとバットを下に落としていきます。

 バットの長さと重さを生かして、バットを落としたら(重力を生かして落とすイメージ)、そこからノーステップながら左足から右足へ、地面反力を使い体重を押し出すように前へ移動させます。ここで地面反力によって発生する前へ行こうとするパワーは大きくなり、そこから体のパワーを使って体を回転させます。この地面反力と回転のパワーが加わり、そしてバットを落とし切ったところ2つのパワーによってバットスピードが加速され、すべてのパワーがインパクトへと集中していきます。

 こんな打撃は大谷しかできません。多分ケガさえなければ三冠王は見えてきます。なにより、伝説的なシーズンを過ごしていると思いますので、皆さん、今年の活躍は目に焼き付けておいてください。私もそうします(笑)。

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◆ 二刀流でなく、打者オンリーでもMVP候補となった、絶好調大谷

奥田秀樹氏/週刊ベースボールonline)

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【MLB最新事情】

 大谷翔平が絶好調だ。6月16日から26日まで10試合で16安打、8本塁打、17打点である。理由について「シンプルにストライクを振るのが一番のポイント。そこさえできていれば、ある程度は良いスイング、良い構えができている証拠じゃないかなと思います」と話している。

 この期間、ストライクゾーンの外に来た球は95球、その内振ったのは12球、チェイス率は12.63%だった。大谷と言えば以前はボール球によく手を出していた。2019年は30.4%、23年は29.7%であった。体も大きく手も長いため、ボール球でも強い打球が飛ばせる。

 23年はボール球を打ち、7本サク越えにした。しかしそれでは安定感に欠ける。加えてポストシーズンで勝つことを目標にするドジャースでは全員がつなぐ意識を持つことが重要だ。球団記録の10試合連続打点を挙げられていることについては「ノーヒットでも得点になるシチュエーションをチーム全体でつくれている。無死二塁から引っ張った昨日のジェイソン(ヘイワード)の打席もそうでしたけど、ああいう(進塁打の)打席が多いと得点を重ねることが多くなる」と本人。

 デーブ・ロバーツ監督は今季記者と話すときに頻繁に「Move the ball forward」という言い回しを使ってきた。直訳すれば「ボールを前に進める」だが、具体的には打者が打席で三振せずにボールを打ち返し、走者を前に進めることを指す。ドジャースが勝てないときは、打者は三振を積み重ねるだけだった。チャンスで確実に走者を前に進めよう。監督のメッセージを大谷も受け止め、みんなで実践しているのである。

 とはいえ今季は大谷が二刀流でなくても、一人の打者として、MVPに該当する特別な存在であると証明するシーズンにもなっている。5月からスタットキャストで発表しているバットトラッキングデータで分かったことは、傑出した攻撃力を持つ打者は2つの才能を併せ持つということだ。

「AveBatSpeed(平均のバット速度)」が速く、「Squared-up Rate(芯でとらえる確率)」も高い。大谷のバット速度は75.4マイルで全体15位、芯でとらえる率は28.9%で51位である。ちなみに一番バット速度が速いのはヤンキースのジャンカルロ・スタントンだが、空振りも多い。芯でとらえるのが一番うまいのはパドレスのルイス・アラエスだがパワーがない。両方で数値が上位の打者は大谷以外にヤンキースのフアン・ソト、オリオールズのガナー・ヘンダーソンなど限られた打者だけだ。

 加えて「Blasts/ブラスト」という指標では大谷は1位だ。ブラストは75マイル以上の速いバット速度で「Squared-up」した打球のことで、大谷はここまで103球。ちなみにすでに30本塁打を打っているヤンキースのアーロン・ジャッジは97球で3位。ジャッジのバット速度は76.8マイルで4位だが、芯でとらえる率は25.4%で106位と、そこはトップクラスではない。

 パワーに加え確実性も増してきた大谷。「毎年、経験を重ねバッターとしても成長できている。そこが良い成績に結びついていると思います」と手応えを口にしている。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images

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◆ 「これがストライクならオレも投げたいよ」NHK解説者が“大谷翔平のストライクゾーン判定”に苦言も…「ノーヒットで大谷、大丈夫?」には反論

沼澤典史氏/NumberWEB)

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NHK解説者の武田一浩氏(元日ハム、ダイエー、中日、巨人)によるドジャース大谷翔平の6月総評。1試合ノーヒットになるだけで「大谷、大丈夫か?」と騒がれる現状に反論した。【全2回の前編/後編へ】

◆◆◆

 遅い梅雨入りと過去2番目の暑さを記録した6月の日本。しかし、そんな高温多湿な列島の朝を吹き飛ばすように、6月の大谷翔平はカラッとした打球音を連日響かせてくれた。

 大谷の6月成績はホームラン12本、打率.293、24打点。現地時間26日のホワイトソックス戦で、2試合連続の先頭打者ホームランを放ち、10試合連続打点という球団記録も達成するなど、毎年6月に打撃の調子を上げる「6月男」は健在だった。これで、6月終了時点での通算成績は打率.316、26本塁打、62打点、16盗塁となった。

 そんな好調をキープする6月の大谷について、NHKで長らくMLB中継の解説を務める武田一浩氏は「すごすぎるね」と脱帽する。

「毎年、大谷は6月の中でも15日以降に打ち出すんです。それを僕は中継でも話しましたけど、本当にまた打ち始めましたね。びっくりしました。チームに慣れてきたことも好調の要因でしょうけど、おそらく開幕からの疲れが取れる時期などバイオリズムも関係あるのかもしれません。僕の経験も含めると野球選手は、この時期に調子が上がってくるとタイトル争いに加われることが多いです。大谷の打撃タイトル獲得の可能性もぐっと上がりましたね」

「1番バッター」日本とアメリカの差


 武田氏が指摘するように、確かに大谷は6月15日以降にホームランを量産している。14日までは3本塁打(11安打)だが、15日以降は9本塁打(18安打)と3倍の成績を叩き出した。

 ときを同じくして、大谷は現地17日から打順が2番から1番に変更となった。それまで「不動の1番」だったショートのムーキー・ベッツがデッドボールによる左手の骨折で長期離脱を余儀なくされたためである。この打順変更も、大谷に好影響を与えていると武田氏は指摘する。

 そもそも日本とアメリカでは1番バッターの起用法は大きく異なるそう。日本だと足が速くてアベレージを残す打者を1番に置くことも多いが、アメリカではヒットもホームランも打てるバッターに多く打席を回すため、1番に起用することが主流で「足が遅い1番バッターも普通にいる」(武田氏)という。

「大谷は1番のほうがのびのびと打てている気がします。打席がたくさん回ってくることもありますが、前の打者など周りを気にしないで打てる環境が大谷には合っているのでしょう。実際、ドジャースの3番、フレディ・フリーマンも大谷と打順が空いてから打つようになりました。大谷が2番のときは打ちづらそうにしていましたからね。やはり、前の大谷がボコボコ打つから力が入っていたのでしょう。MLB選手といえども人間ですから、精神的な部分は大きいのです。それは大谷も同様で、前の打者の影響を受けないのが成績にもつながっているのではないでしょうか」

 実際、大谷は1番に座ってから3度の先頭打者ホームランを放ち、18日には第3打席で今季メジャー最長飛距離となる145m弾も打っている。

 

「1番だと打点は稼ぎづらい」


 一方、1番としてのバッティングの変化は、大谷の打球方向でも感じると武田氏は語る。

「シーズン開幕からしばらくは、つなぐような意識が強かったと思います。一塁に寄る大谷シフトを抜こうとするような逆方向への打球も今より多かったし、やはり勝つためのチームバッティングを考えていた場面もあったのかなと。1番になってからは、より思い切り振れているように見えます。打順変更で、そのような変化も感じました」

 とはいえ、1番バッターの懸念点もある。

「難点は打点が稼ぎづらいところですね。下位打線が塁にいればいいのですが、確率的にそのケースは少なくなります。本当は5番くらいで今のホームラン数を出せれば、もっと打点は稼げるようにはなるんでしょうけど。この点、タイトルが絡んでくれば、また大谷の打順は考慮されるかもしれません」

「これがストライクなら俺も投げたいよ…」


 前回の記事で武田氏は審判のストライクゾーンの広さを指摘した。明らかなボール球でもストライク宣告され、たびたび大谷が首を傾げるシーンがあったのだ。このような審判とのせめぎ合いは、6月どうだったのだろうか。

「まだ、たまにそういう審判はいますね。『これがストライクなら俺も投げたいよ』と思うくらいですが、大谷は審判によるストライクゾーンは気にせず、自分のゾーンで打っていると思います。三振を嫌ってボールに手を出せば、バッティングの形が崩れます。そうしたボール球を追いかけている場面は少ないので、自分の形がしっかりわかっているのでしょう。そのぶん、三振も多くなってしまいますが、打率3割打っていますから気にしなくてもいいです。三振が続いてノーヒットという試合があると『大谷、大丈夫か? 』みたいな論調の記事やコメントが出ますけど、バッターは10回に7回は失敗するので期待しすぎです。『みなさん、打率4割を期待しているんですか? 』と聞きたいぐらいです。相手もプロなので、そんな毎日打てないですよ」

 

最終成績予想「ホームランは50本いくでしょう」


 6月はちょうどシーズン試合数の折り返し。こうした好調の大谷を見て、武田氏は今シーズンの最終成績を予想する。

「ホームランは50本いくでしょう。打点は120。打率は3割3分近く。このくらいの打率であれば、首位打者もとれると思うので三冠王もありえます。ケガだけしなかったらね。首位打者争いでは、ルイス・アラエス(パドレス)がライバルになります。彼は現在3割1分4厘(7月1日時点)なので、大谷は3割2分後半を残せれば、首位打者をとれるはずです。盗塁も現在16個ですから、単純計算で30個は記録するのではないでしょうか。30盗塁をして、なおかつ三冠王までとる可能性があります。そんな選手、過去にいませんから、とんでもないことになるでしょうね」

 ただ、シーズン後半に向けてひとつの不安要素があるという。

<続く>

(「メジャーリーグPRESS」沼澤典史 = 文)

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◆ ジャッジの“パーソナル”打撃コーチが「ヤンキースの選手育成はひどい」と批判投稿、波紋呼ぶ

(スポニチ)

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 ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジのパーソナルな打撃コーチ、リチャード・シェンクが5日(日本時間6日)に「X(旧ツィッター)」で「ジャッジがMVPのように打っている間に18試合中13試合も負けている。ヤンキースの打者の選手育成はひどい」と投稿、波紋を呼んでいる。

 5日のヤンキースのラインナップには、生え抜きの選手が4人いる。ジャッジ、ベン・ライス一塁手、オースティン・ウェルズ捕手、アンソニー・ボルピ遊撃手だ。大リーグ公式サイトの記者がチームのキャプテンであるジャッジにこの投稿について尋ねると、「そのメッセージは見ていないし、正直、私には関係ないです。他の人がコメントしたことに、私はコメントするつもりはありません。他人がすることについてコントロールできない」と返答している。

  ジャッジはシェンクと2週間に一度一緒に仕事をする間柄だと認めた。フロリダ州セントピーターズに拠点を置くビリヤードホールのオーナー兼オペレーターで、バリー・ボンズのスイングメカニクスの秘密を解き明かしたのも自分だと主張している。頻繁にヤンキースを訪れてホームやアウェイでジャッジと会う。ただし、メジャーリーグの球場ではなく、そこから離れたバッティングケージで一緒に仕事をする。ヤンキースに雇われているわけではないからだ。アンソニー・リゾなど、他の選手も時折このセッションに参加している。

 ヤンキースのアーロン・ブーン監督もシェンクのコメントについて「自分にはコントロールできない。人々は言いたいことを言うし、特にチームが勝てていないときは、このユニフォームを着ていれば、いろいろと批判されるもの。それを気にしていてはならない。他に考えることがあるし、毎日最善を尽くして準備することに集中しなければならない」と話している。

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 ■ NOTE