2024年6月18日

 

-------------------------------------------------------------

 ■ 試合データ

-------------------------------------------------------------

 

米国時間:2024年6月17日

日本時間:2024年6月18日(火曜日)

9時40分開始

ロサンゼルス・ドジャース

対コロラド・ロッキーズ

@クアーズ・フィールド

 

image

 

【MLB.JP 戦評】

 日本時間6月18日、ドジャースは敵地クアーズ・フィールドでのロッキーズ4連戦がスタート。不動のリードオフマンだったムーキー・ベッツを故障で欠き、打線を組み替えた一戦は、ロッキーズ投手陣に14安打8四球の猛攻を浴びせ、9対5で勝利した。ドジャース先発のジェームス・パクストンは「打者天国」と呼ばれるクアーズ・フィールドで7回2安打1失点の快投を見せ、7勝目(1敗)をマーク。ロッキーズ先発のカル・クアントリルは5回7安打3失点で降板し、5敗目(6勝)を喫した。

 

 ドジャースは1回表二死1塁からテオスカー・ヘルナンデスのタイムリー二塁打で先制。2回表に大谷翔平のタイムリーなどで2点を追加し、2回裏にジェイコブ・ストーリングスの4号ソロで1点を返されたものの、7回表にロッキーズ3番手のジェフ・ハートリーブを攻め、ミゲル・ロハスのタイムリー二塁打などで5対1とリードを広げた。8回表にジェイソン・ヘイワードが2点タイムリーを放つと、9回表にもギャビン・ラックスのタイムリー二塁打などで2点を追加してダメ押し。9回裏に4点を失うも9対5で勝利した。「3番・一塁」のフレディ・フリーマンは1安打5四球で全6打席出塁の活躍だった。

 

 ドジャースの大谷は今季2度目となる「1番・DH」でスタメン出場。初回の第1打席はショートゴロに倒れたが、2回表の第2打席はライトへのタイムリーを放った。4回表の第3打席は今季19本目の二塁打を放ち、6回表の第4打席でも今季20本目となる二塁打。8回表の第5打席は四球を選び、今季16個目の盗塁を決めた。9回表の第6打席はセカンドゴロに倒れ、5打数3安打1打点1四球1盗塁。今季8度目の1試合3安打をマークし、今季の打撃成績は打率.314、出塁率.388、OPS.989となっている。

 

image

 

-------------------------------------------------------------

 ■ 今日の大谷翔平(関連NEWS)

-------------------------------------------------------------

 

【スタメン】

1番DH

 

【出場成績/打者】

5打数 3安打 1打点 2得点 1四球 1盗塁(16個)

通算打率・314

OPS・988

 

◆第1打席:

(結果)ショートゴロ

(状況)1回無死走者なし

(投手)キャル・クワントリル右

※初回先頭はカウント2―2からの5球目のシンカーを中堅方向へ打球速度107・8マイル(約173・5キロ)ではじき返すも遊ゴロだった。

 

◆第2打席:

(結果)ライト前ヒット

(状況)2回2死2塁

(投手)キャル・クワントリル右

※8試合ぶりの適時打を放った。相手先発クワントリルがフルカウントから6球目に投じた真ん中の85・2マイル(約137・1キロ)のスプリットをフルスイング。打球速度107・3マイル(約172・7キロ)の痛烈なゴロは飛びついた二塁手のグラブをかすめるように右前に抜けた。続くスミスの右翼線適時三塁打で一気に生還し、3―0とリードを広げた。

 

 

◆第3打席:

(結果)右中間2塁打

(状況)4回1死走者なし

(投手)キャル・クワントリル右

※カウント1―2からの4球目、外角高めの85・3マイル(約137・3キロ)のスプリットをバットの先に乗せて振り切った。打球速度100・2マイル(約161・3キロ)のライナーは右中間を破る二塁打となった。マルチ安打は2試合連続、今季27度目。

 

 

◆第4打席:

(結果)レフト線2塁打

(状況)6回1死走者なし

(投手)ジェーク・バード右

※2ボールからの3球目、内角の95・1マイル(約153キロ)のシンカーを逆方向へバットで押し込んだ。打球速度104・3マイル(約167・9キロ)のライナーは左翼線を破る二塁打となった。

 

 

◆第5打席:

(結果)四球

(状況)8回無死走者なし

(投手)ジェフ・ハートリーブ右

※フルカウントから四球で歩いた。続くスミスの初球にスタートを切った。セーフの判定にロッキーズはチャレンジしたが、覆らず。今季16個目の盗塁。

 

◆第6打席:

(結果)セカンドゴロ

(状況)9回無死2塁

(投手)ジャスティン・ローレンス右

※マウンドは4番手の右腕ローレンス。カウント1―1から真ん中外寄りの94・6マイル(約152・2キロ)のシンカーを強打するも打球速度104マイル(約167・4キロ)のゴロは二塁手の正面だった。

 

【コメント】

なし

 

【NEWS情報】

◯ 大谷が所属するドジャースは17日、シティコネクトの第2弾ユニホームを発表した。22日の本拠地・エンゼルス戦で初披露される。新たなユニホームのテーマは“夢”。ロサンゼルスが「夢とドリーマーの街である」という意味が込められている。正面の書体は移転当初の1958年から本拠地として使用したロサンゼルス・メモリアル・コロシアムの看板からインスピレーションを得ているという。ユニホームの生地には「星の銀河」が表現されている。

 

imageimageimageimage

imageimage

imageimageimageimage

 

◯ 大谷がロッキーズ戦の試合前練習で、右肘手術後最長となる80フィート(約24・3メートル)の距離でキャッチボールを行い、二刀流復活へ歩みを進めた。昨秋の右肘手術後、段階を経てリハビリを重ねている大谷はこれまで65フィート(約19・8メートル)が最長距離だった。この日は80フィートまで距離を伸ばし、約60球。トレーナー陣と話しながら笑顔で投げ込んだ。

 

image

 

◯ 8回先頭の四球で1試合4出塁。続くスミスへの初球で今季16個目の盗塁となる二盗を決めた。日本人歴代2位の松井稼頭央に並ぶ通算102盗塁とした。

 

◯ MLBは、7月16日に行われるオールスターゲームのファン投票の第1回中間結果を発表。大谷がナ・リーグの指名打者(DH)部門でトップに立った。大谷は100万2377票を獲得し、47万8538票で同部門2位のマルセル・オズナ外野手(ブレーブス)を大量リード。1次投票で球宴先発出場が決まるリーグ最多得票のブライス・ハーパー一塁手(フィリーズ)とは約11万票差となっている。ア・リーグではアーロン・ジャッジ外野手(ヤンキース)が136万6315票でトップに立った。

 

imageimage

 

◯ 日本時間6月18日、米公式サイト「MLB.com」では今季3度目となるMVP模擬投票の結果を公開した。今回の模擬投票には同サイトの有識者42人が参加し、現時点の成績だけでなく、残りの試合で何が起こるかを予測したうえで投票が行われている。1位票5ポイント、2位票4ポイント、3位票3ポイント、4位票2ポイント、5位票1ポイントという形式で集計が行われ、ア・リーグはアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、ナ・リーグは大谷翔平(ドジャース)が1位となった。ジャッジと大谷が1位になるのは、ともに今季初めてである。

 

 

◯ 大谷がインスタグラムのストーリーズを更新。1歳を迎えた愛犬デコピンの写真を投稿した。投稿された写真によると、ソファにいるデコピンの頭には王冠のような被り物が乗せられている。その隣には「1」の数字が乗ったケーキのような縫いぐるみが置かれ、デコピンはおもちゃのボールで遊んでいる。1歳の誕生日を迎えたとみられる。

 

imageimage

 

-------------------------------------------------------------

 ■ 試合情報(ドジャース関連NEWS)

-------------------------------------------------------------

 

【コメント】

デーブ・ロバーツ監督:

(試合前)

ーーベッツについて医師と話す機会はあったか。

「今日は話していない。様子を見るつもりだと思う。2、3週間はそのまま手を動かさないことになると思う。その後、治療のプロセスを踏みながら体のコンディションを維持するためにできる限りのことをする。6~8週間はかかるだろう。」

 

ーー今日は翔平をリードオフにした。

「今のところこのフィーリングはがあっていると思う。」

 

 

ーー翔平はドジャースで2度目の1番。何を期待するか。

「今まで通りにやってくれればいい。彼が変わることは期待していない。彼はキャリアの中で1番を打っている。彼が以前から知っているポジションだという安心感があった。」

 

ーースイングが良くなっているようだが、どのように見ているか。

「だいぶ良くなってきていると思う。フィールドを広く使って打っているときはね。とてもいい。このような球場ならばどこでも打ち込むことができると思う。彼がフィールドの真ん中に打ち続けることを期待している。」

 

ーー山本はしばらく投げないと言っていたが。

「2週間だと思う。2週が過ぎたら彼の体の状態を見て腕のエクササイズを始めるだろう。でも2週間ほどは様子を見ようと思っている。」

 

ーー彼とは話したか。

「彼とは昨日話した。がっかりしながらも元気だった。彼はいい気概を持っていた。」

 

(試合後)

「ショウヘイはグレートだ。1番に入ったからと言ってアプローチに変化はない。今までやり続けてきたことを、(1番でも)やってほしいと思っている。(2番の)ウィル・スミスにも言えることだ」

 

「四球を選んだ場面もそうだ。ストライクゾーンを強く意識している。しばらくの間レフトに放った二塁打のような打球を見ていなかったから、これはいい兆候だ」。

 

「私たちは勝ち続けないといけない。ミギー(ロハス)はこの数か月いいスイングをしている。ショウヘイも先週からグレートだ。フレディ(フリーマン)も爆発している。今日は6出塁。感心するよ」

 

-------------------------------------------------------------

 ■ 注目記事&コラム

-------------------------------------------------------------

 

◆ まるで「不動の1番」ハッスル大谷翔平3安打1打点1盗塁 球数投げさせ2ストライク後から出塁

斎藤庸裕氏/日刊スポーツ)

###

 【デンバー(米コロラド州)17日(日本時間18日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、トップバッターでハッスルした。ロッキーズ戦に「1番DH」で出場し、5打数3安打1打点。左手の骨折で負傷者リスト(IL)入りしたムーキー・ベッツ内野手(31)に代わって1番に抜てきされ、2得点1盗塁、6打席で4度出塁し、打って走って躍動した。直近2日間、投打で故障者が続出する事態となったが、「1番大谷」が流れを作り、2連勝に貢献した。

 

    ◇   ◇    ◇

 

 まるで不動の1番だったかのように、大谷が縦横無尽に走った。まずは右翼に適時打、その後、センター方向と逆方向に二塁打を放ち、敵地にもかかわらず何度も歓声が上がった。4点差の8回は四球から出塁すると初球に今季16盗塁目となる二盗を決め、メジャー通算102盗塁で日本人歴代2位の松井稼頭央に並んだ。その後はボークで三塁まで進み、ロ軍をかき回した。6打席で4度出塁。ロバーツ監督は「チーム全体的に素晴らしいパフォーマンスだった。ショウヘイもリードオフ(1番)でそつなく仕事をしてくれて、大きかった」と目を細めた。

 

 代役ではなく、むしろ適任と言えるプレーぶりだった。第1打席、第2打席は初球ストライクを見逃し、球数を投げさせた。ボールを見極めて出塁し、長打、打点、盗塁も決め、打線をけん引する1番打者として満点と言っていいパフォーマンス。同監督も「彼はストライクゾーンをしっかり意識していて、今日も久々に左翼へ二塁打を打った。いい兆候だ」と評価した。

 

 チームとしての粘り強さも光った。「2ストライクからよく踏ん張った」(ロバーツ監督)。その打撃をけん引したのも大谷だった。適時打を放った2打席目、長打でチャンスメークした3打席目、四球を選んだ5打席目も2ストライクと追い込まれていた。例年、2ストライク後のカウントは打率1割台だったが、今季は同2割4分に上昇。初球から打つ積極打法に加え、ボール球を見極めながらクオリティーの高い打撃が続いている。

 

 大谷からすれば、トップバッターでも特別変わることはない。1番での出場は日米通算66試合目。過去3年間は投打で同時出場するリアル二刀流の時でも、1番打者として起用された経験がある。どういう形で投手を助け、求められる仕事ができるかは十分、理解している。山本が右肩腱板(けんばん)の損傷で離脱し、攻守の要だったベッツも左手の骨折で長期離脱となる見込み。投打の主力を欠く事態となっても、頼もしい1番打者・大谷が、チームに活気をもたらした。

 

 ◆大谷の各年の2ストライクからの打撃成績(24年は17日現在)

 

 18年 1割9分3厘

 

 19年 1割8分4厘

 

 20年 1割6分2厘

 

 21年 1割3分8厘

 

 22年 1割6分2厘

 

 23年 1割8分

 

 24年 2割4分

###

 

◆ 大谷翔平はなぜ敵地で大歓迎? 同地区でもブーイングはなし…コロラドに伝わる伝説

川村虎大氏/Full-Count)

###

 同地区のドジャースへ移籍してもコロラド州デンバーのファンは温かった。大谷翔平投手は17日(日本時間18日)、敵地・ロッキーズ戦で大歓声を受けた。異例の大歓迎はエンゼルス時代と変わらない。1年前、ロッキーズの番記者が理由を語っていたことを思い出す。

 

 今季からドジャースへ移籍。エンゼルス時代とは違いナ・リーグ西地区のライバルになった。これまでジャイアンツやパドレスの本拠地では大谷へ特大なブーイングを浴びせたが、打席に立つ大谷に対しロッキーズのファンは拍手と大歓声で迎えた。クアーズフィールドを訪れるのは2023年6月以来。当時から敵地とは思えぬ大歓声を受けていた。

 

 昨年、この光景を見たMLB公式サイトロッキーズ番、トーマス・ハーディング記者も「ファンが知っている選手は(対戦相手でも)応援することがありますが、コロラドではそういう反応をあまり見ません」と驚いていた。ただ、一方で納得する様子もあった。訪れている回数こそ少ないが、大谷はここで絶大なインパクトを残していた。

 

 有名なのは2021年に行われた球宴だった。大谷は本塁打競争1回戦でフアン・ソト外野手(現ヤンキース)と“延長の延長”の大熱戦。結果的に敗れたものの合計68スイングで28発。513フィート(約156.3メートル)の超特大アーチもかけていた。

 

 ただ、それ以上にハーディング記者が興奮気味に語ったのは2018年、大谷がルーキーイヤーで訪れたときだった。当時は代打で出場し、一ゴロと快音は響いていなかったが「2018年、打撃練習であそこまで飛ばしたんです」。推定150メートルは優に超える最上階のビルを指さし、興奮気味に語っていた。

 

 同記者は大谷を「色々なことを超越した存在」と語っていた。ライバル球団に入ってもデンバーのファンを虜にした伝説は色あせることはない。

 

川村虎大 / Kodai Kawamura

###

 

◆ ベッツ&由伸離脱も…裏方も一丸 ドジャース全員野球の舞台裏、指揮官「グレートだ」

小谷真弥氏/Full-Count)

###

 ドジャースの結束力を示す勝ちっぷりだった。不動の1番だったベッツが左手骨折で戦線離脱。大きな戦力ダウンとなったが、それがどうだ。1番・大谷翔平、遊撃・ロハスとベッツの“定位置”に入った2人がそれぞれ3安打1打点。フリーマンは5四球6出塁だ。試合後のロバーツ監督は実感を込めて、全員野球を評価した。

 

「グレートだった。好守において、素晴らしいパフォーマンスだった。ミギー(ロハス)は攻撃面でいい活躍をした。ショート(の守備でも)いつものように安定していた。1番のショウヘイが機能したことも大きかった。打線全体がいい活躍をしてくれた」

 

 山本由伸も右肩腱板を損傷。1日にして投打の主力を失うダブルショックとなった。そして、いきなりの敵地4連戦。ビジターにしては広いドジャース・クラブハウスは試合前、閑散としていた。

 

 大谷のロッカーは本拠地でも敵地でも常に山本が隣だったが、このコロラド遠征に山本は帯同していない。今回の“お隣さん”はテオスカー・ヘルナンデスだった。報道陣にオープンにされた時間帯に2人の交流は見られなかったが、日頃から笑いの絶えない名コンビ。ロッカーの配置は事前に球団スタッフが決めているそうだが、なかなか良い人選だ。

 

 それだけではない。報道陣に公開されている間、通訳のウィル・アイアトン氏、中島陽介トレーナーが大谷の話し相手になっていた。中島トレーナーといえば、色々あった4月に大谷、山本らをシカゴの焼き肉屋を連れて行き、なおかつ会計もスマートに済ませた好漢。ただ話していただけかもしれないが、こういったさりげないサポートができるのは、複数の日本人スタッフがいるドジャースならではないか。

 

 山本は前半戦絶望。ベッツは復帰まで6~8週間かかるという。フリーマンは「間違いなくベッツの代わりになる選手なんていない。でもこのチームにはいい選手が多い。しかも、経験のあるベテランも多い。怪我で多くの選手を欠いているけど、私たちは持ちこたえることができるいいチームだ」と語った。裏方も入れた全員野球で、この難局を乗り越えたいところだ。

 

小谷真弥 / Masaya Kotani

###

 

◆ 大谷翔平とアーロン・ジャッジが演じた“名勝負”の興奮いまだ冷めやらず。再戦が実現するのはワールドシリーズの舞台か<SLUGGER>

藤原彬氏/THE DIGEST)

###

 2人のスーパースターの“直接対決”の興奮は、1週間以上経った今でもまだ冷めやらない。

 

 6月9日、ヤンキー・スタジアムでのヤンキース対ドジャース戦、8回1死三塁でライトフライをつかんだアーロン・ジャッジが投じたホームへの返球は今季の自身最速93.4マイルを計測した。しかし、三塁走者の大谷翔平はスプリントスピード29.4フィートの快足を飛ばし、キャッチャーのタッチより先に本塁へ滑り込んだ。

 

 2022年にMVPレースを繰り広げた2人が守備と走塁で魅せたこのプレーに、4万8023人の大観衆も興奮。8年ぶりにニューヨークで行われた東西名門シリーズを大いに盛り上げた。

 

 試合後、ジャッジは「速すぎる。彼はスピードスターだ」と大谷を称賛。「アウトにするつもり」だった送球で刺せず、チームは1点差に詰め寄られたが、ジャッジは直後の攻撃でソロホームランを放り込み即座にリベンジ。ドジャース3連戦を通じて3ホーマー含む11打数7安打と大暴れした。

 この3連戦に限っては、13打数2安打とあまり見せ場を作ることができなかった大谷に“勝利”したジャッジだが、二刀流のユニコーンこそが「MLB最高の選手」なのだと認めている。現役選手から何度となく繰り返されてきた称賛ではあるが、22年にシーズン62本塁打のアメリカン・リーグ記録を樹立した現役最強のホームランアーティストが口にすれば響きは違う。

 

 先日、米メディア『ジ・アスレティック』が発表した現役選手の投票でも、全体の46%が大谷を球界最高の選手と回答。昨季は故障でフル稼働できなかったジャッジは、このアンケートでは大谷に水を開けられたが、現時点で再投票すれば両者の差はかなり縮まっているはずだ。

 

 アメリカン・リーグ、ナショナル・リーグでそれぞれMVPを受賞する可能性もある両者が今季再び対決するとすれば、舞台はワールドシリーズ。頂上決戦でのリマッチに期待したい。

 

文●藤原彬

###

 

◆ 大谷翔平とドジャース“仲良しコーチ”の絆…即興アナウンスごっこ、大谷がジブリ作品を紹介? スミスコーチの願い「エネルギーを与えたいんだ」

斎藤庸裕氏/NumberWEB)

###

今シーズン初の2打席連続ホームランを放つなど、絶好調のドジャース・大谷翔平。その活躍の裏には、大谷をフィジカル・コンディショニングの面から支えるコーチの存在がある。日本のアニメ好きでも知られるトラヴィス・スミス氏に、大谷との秘話を聞いた。

 

 ドジャース大谷翔平選手(29)が、さまざまなパフォーマンスでも新たな仲間との絆を深めている。約1カ月前の5月半ば、数人が輪になって両手を合わせて上に広げる“新儀式”が話題になった。メンバーは日替わりだったが、山本由伸投手(25)や園田芳大通訳、大谷の通訳も務めているウィル・アイアトン氏、トレーナーやチームスタッフも加わって行っていた。

 

 その中心にいたのが、ストレングス&コンディショニング担当のトラヴィス・スミスコーチだ。5月18日のレッズ戦前、例のポーズの真相を聞くと「なんだと思う?  日本の有名な映画だよ」と言い残し、ダグアウト裏へと引き揚げていった。

 

 後日、「となりのトトロだね」と答えをぶつけると、「イエス!」とうなずいた。同コーチによると発案者は「みんな共同で」とのことで謎のままだったが、スタジオジブリ制作の名作アニメ「となりのトトロ」を真似たポーズ。主人公のサツキと妹のメイが、植えた苗の前で伸びるポーズをすると、草木がグングン成長するシーンをイメージしたようなパフォーマンスだった。

 

ド軍12年目・スミスコーチと大谷の絆

 スミスコーチは、ドジャースに所属してから今季で12年目。大谷がドジャース入団を決めて以降、オフの走塁改革でトレーニングを見守ってきた人物でもある。世界的に人気のアニメ「ドラゴンボールZ」が大好きで、イチ押しのキャラクターは主人公の孫悟空。春キャンプのオープン戦から開幕当初までは、フュージョンポーズ(2人のキャラクターが合体し、超戦士が生まれる技)を大谷と行っていたことも話題を集めた。

 

 スタジオジブリの作品では「となりのトトロ」に加え、「千と千尋の神隠し」もお気に入りだという。元々、日本を代表するアニメが好きなのか。同コーチは「ドラボンボールZやポケットモンスターは好きだったよ。それ以外は、僕の新しい“日本人の友達”が教えてくれたんだ」と明かした。その視線の先には大谷がいた。ともに戦うチームメートでもあり、友人。試合のプレー以外の場面でも、絆の深さが感じ取れる。

 

興“アナウンスごっこ”に大谷も思わず笑顔

 トレーニングの合間など、同コーチは度々、大谷をリラックスさせ、笑顔にしている。米アリゾナ州グレンデールで春キャンプを行っていた2月27日、ホワイトソックスとのオープン戦で大谷は初めて、ドジャースのユニホームを着て実戦に出場した。開始直前、同コーチは道具をはめて準備している大谷の前で大声のアナウンスを始めた。

 

「みなさん、そして世界中の野球ファンの方々、キャメルバック・ランチ(ドジャースのキャンプ拠点の地名)からライブです。さぁ、ショータイムだ!」

 

 イベントの司会者になったかのようにベンチ内を歩き回り、声を張り上げていた。締めの「It's Sho-time!!」は特に強調した言い方で思いっきり盛り上げた。球団スタッフを含め、大谷も思わず頬が緩んだ。大谷にとっても、移籍後の初実戦で緊張感は多少あっただろう。だが、スミスコーチの絶叫アナウンスで、場が和んだのは間違いない。すると、大谷は3打席目で左越えのドジャース“1号”を放った。

 

盛り上げ役の願い「エネルギーを与えたいんだ」

「僕はみんなを盛り上げて、エネルギーを与えたいと思ってるんだ。ショウヘイにも、シーズン前に『何かセレブレーション(祝いの儀式)を君のために考えるよ』って伝えて、最初にショータイムから始めたんだ。彼のような男に、盛大なお祝いはとてもマッチしていた。いくつかのセレブレーションは彼のアイデアでもあるよ。ドラゴンボールZとかね」

 

 最近ではウオーターボトルでの乾杯ポーズもあったが、その時々でパフォーマンスを変えていくという。スミスコーチを中心に、大谷は同僚とのパフォーマンスも楽しみながら試合に臨めている。

 

(「メジャーリーグPRESS」斎藤庸裕 = 文)

###

 

-------------------------------------------------------------

 ■ NOTE

 

imageimageimage